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第415話 東京都の人口は1400万人です
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車に全ての荷物を積んだあと、大館市から結城村まで戻ることに。
車を走らせていると――、「ゴロウ様。この町は随分と人が多いのですね」と、メディーナさんが話しかけてきた。
「そうですね」
俺は、車の運転をしながら相槌を打つ。
「メディーナさん。大館市の人口は、7万人ほどいますよ」
「奥方様、それは本当ですか!?」
「はい。まあ、最近は過疎地域してされていますから、それほど人口は多くありませんけど」
「多くないって……。この町だけで、辺境伯領の総人口に匹敵します。もしかして、ここは、日本の王都に次ぐ町なのですか?」
「いえいえ。先ほど、過疎だと説明したとおり、大館市の人口は7万人ほどしかいませんから地方都市の一つといったところです」
「……もしかして王都の人口は……」
「王都の定義は、この際、省くとしまして日本の首都は東京と言いまして、東京都の人口は1400万人ほどですね」
雪音さんの説明に一瞬固まるメディーナさん。
「――あ、あの……ゴロウ様の領地の人口は……」
恐る恐ると言った様子で、アリアさんが聞いてくる。
俺に領地なんてモノはないし、そもそも江戸幕府の最後の将軍、徳川慶喜が大政奉還してから、日本には領地という概念は消滅している。
ただし、それを説明したところで余計に混乱させるだけだし、何よりもエメラスさんや、ルイーズ王女殿下にアリアさんは、俺を日本の貴族だと思っている。
それは異世界のエルム王国側の王宮も同じで、態々、本当のことを言う必要もない。
そして、俺の領地はとりあえず秋田市も含まれていると言う事になっている。
「そうですね。人口的には30万人以上と言ったところですか」
完全に嘘でありビックマウスだが、訂正するとややこしい事になるのは目に見えている。
そんな俺の言動を助手席に座っている雪音さんは、何も突っ込んでくる事もなく静かに聞いている。
まぁ、そもそも雪音さんが大館市の人口を教えたから、仕方ないと言えるが……。
「そんなにいるのですか!?」
「ええ。まあ……」
「どう考えても人口数百人程度しかいない村ですよね?」
「まぁ、治めている領土は広大なので――。それに自身の首都で暮らさないといけないという事もないので」
「そうなのですか……。それにしても人口30万人って、エルム王国の人口の30%に匹敵します。――でも、この国の王都が1400万人もいる事を考えますと、そんなに多く居るとは感じられないのは、感覚的に麻痺している感じがします」
後部座席に座っていたアリアさんが一気に捲し立ててくる。
「もしかして、ゴロウ様は……」
何かブツブツと呟いたアリアさんは黙りこくる。
そして――、
「私、ゴロウ様のことを勘違いしていたみたいです」
「勘違い?」
「はい。どう見ても一般人にしか見えませんでした」
まぁ、そりゃ一般人だからな。
一般人に見られるのは当たり前だろう。
「失礼ながら、ゴロウ様は貴族ではないのでないのかと――」
まぁ、貴族じゃないからな。
一般人だし。
「それは、私の早計だったようです」
早計でも何でもなく当たりだが?
ただしそれを指摘するつもりはないけど……。
「はははっ。納得してくれたのなら、よかったです」
「はい。もしかしたら、ただの一般の方がノーマン様の血筋だからという理由で、エルム王国やノーマン様と繋がりを持ったと思っていました」
鋭い指摘だ。
ノーマン辺境伯のメイドが、こちらの事情に関して、ここまで的確に考えることが出来るのなら、もしかしたらエルム王国側も分かっているのかも知れない。
今後は、より一層、注意して行動した方がいいかもな。
「なるほど……」
「ご無礼を申し訳ありません」
「気にしなくていいですよ」
俺は運転しながら答える。
「――いえ! ルイーズ王女殿下にもエメラス様にも、今日! あったことを伝えておきます! お二方とも、ゴロウ様を誤解していますから!」
「そうですか……」
一体、俺はどう思われているのか? と、疑問に思ってしまうが、それを聞くのは、どうも躊躇ってしまう。
そもそも聞くことでもないことだろう。
「そうなの? 五郎さんは、此方の世界に来ている貴族の方からは、どう思われているの?」
俺が聞くことを止めたのに、雪音さんが何気ない様子でアリアさんに問いかけた。
「えっと……。ゴロウ様は、成金な商人の雰囲気を醸し出しているとエメラス様は言っていました」
間違っていないな!
思わず、額から汗を流しながら、俺はアリアさんの言葉に無言で! 心の中で! ツッコミを入れておく。
「そうなのね……」
「はい。ただ、ゴロウ様はご自分で動かれる方だというのが分かりましたので、安心しました」
どこに安心する要素があるのか小一時間は問いただしたいところだか、そんな事はする必要はないか。
問題は、俺が誤解を招くような行動をしている点だ。
「普通の貴族は人を上手く扱う術を心がけておりますので。ゴロウ様のように率先して動かれるのは、平民の方がする事でしたので」
そうアリアさんは異世界の貴族に関しての特徴を口にした。
車を走らせていると――、「ゴロウ様。この町は随分と人が多いのですね」と、メディーナさんが話しかけてきた。
「そうですね」
俺は、車の運転をしながら相槌を打つ。
「メディーナさん。大館市の人口は、7万人ほどいますよ」
「奥方様、それは本当ですか!?」
「はい。まあ、最近は過疎地域してされていますから、それほど人口は多くありませんけど」
「多くないって……。この町だけで、辺境伯領の総人口に匹敵します。もしかして、ここは、日本の王都に次ぐ町なのですか?」
「いえいえ。先ほど、過疎だと説明したとおり、大館市の人口は7万人ほどしかいませんから地方都市の一つといったところです」
「……もしかして王都の人口は……」
「王都の定義は、この際、省くとしまして日本の首都は東京と言いまして、東京都の人口は1400万人ほどですね」
雪音さんの説明に一瞬固まるメディーナさん。
「――あ、あの……ゴロウ様の領地の人口は……」
恐る恐ると言った様子で、アリアさんが聞いてくる。
俺に領地なんてモノはないし、そもそも江戸幕府の最後の将軍、徳川慶喜が大政奉還してから、日本には領地という概念は消滅している。
ただし、それを説明したところで余計に混乱させるだけだし、何よりもエメラスさんや、ルイーズ王女殿下にアリアさんは、俺を日本の貴族だと思っている。
それは異世界のエルム王国側の王宮も同じで、態々、本当のことを言う必要もない。
そして、俺の領地はとりあえず秋田市も含まれていると言う事になっている。
「そうですね。人口的には30万人以上と言ったところですか」
完全に嘘でありビックマウスだが、訂正するとややこしい事になるのは目に見えている。
そんな俺の言動を助手席に座っている雪音さんは、何も突っ込んでくる事もなく静かに聞いている。
まぁ、そもそも雪音さんが大館市の人口を教えたから、仕方ないと言えるが……。
「そんなにいるのですか!?」
「ええ。まあ……」
「どう考えても人口数百人程度しかいない村ですよね?」
「まぁ、治めている領土は広大なので――。それに自身の首都で暮らさないといけないという事もないので」
「そうなのですか……。それにしても人口30万人って、エルム王国の人口の30%に匹敵します。――でも、この国の王都が1400万人もいる事を考えますと、そんなに多く居るとは感じられないのは、感覚的に麻痺している感じがします」
後部座席に座っていたアリアさんが一気に捲し立ててくる。
「もしかして、ゴロウ様は……」
何かブツブツと呟いたアリアさんは黙りこくる。
そして――、
「私、ゴロウ様のことを勘違いしていたみたいです」
「勘違い?」
「はい。どう見ても一般人にしか見えませんでした」
まぁ、そりゃ一般人だからな。
一般人に見られるのは当たり前だろう。
「失礼ながら、ゴロウ様は貴族ではないのでないのかと――」
まぁ、貴族じゃないからな。
一般人だし。
「それは、私の早計だったようです」
早計でも何でもなく当たりだが?
ただしそれを指摘するつもりはないけど……。
「はははっ。納得してくれたのなら、よかったです」
「はい。もしかしたら、ただの一般の方がノーマン様の血筋だからという理由で、エルム王国やノーマン様と繋がりを持ったと思っていました」
鋭い指摘だ。
ノーマン辺境伯のメイドが、こちらの事情に関して、ここまで的確に考えることが出来るのなら、もしかしたらエルム王国側も分かっているのかも知れない。
今後は、より一層、注意して行動した方がいいかもな。
「なるほど……」
「ご無礼を申し訳ありません」
「気にしなくていいですよ」
俺は運転しながら答える。
「――いえ! ルイーズ王女殿下にもエメラス様にも、今日! あったことを伝えておきます! お二方とも、ゴロウ様を誤解していますから!」
「そうですか……」
一体、俺はどう思われているのか? と、疑問に思ってしまうが、それを聞くのは、どうも躊躇ってしまう。
そもそも聞くことでもないことだろう。
「そうなの? 五郎さんは、此方の世界に来ている貴族の方からは、どう思われているの?」
俺が聞くことを止めたのに、雪音さんが何気ない様子でアリアさんに問いかけた。
「えっと……。ゴロウ様は、成金な商人の雰囲気を醸し出しているとエメラス様は言っていました」
間違っていないな!
思わず、額から汗を流しながら、俺はアリアさんの言葉に無言で! 心の中で! ツッコミを入れておく。
「そうなのね……」
「はい。ただ、ゴロウ様はご自分で動かれる方だというのが分かりましたので、安心しました」
どこに安心する要素があるのか小一時間は問いただしたいところだか、そんな事はする必要はないか。
問題は、俺が誤解を招くような行動をしている点だ。
「普通の貴族は人を上手く扱う術を心がけておりますので。ゴロウ様のように率先して動かれるのは、平民の方がする事でしたので」
そうアリアさんは異世界の貴族に関しての特徴を口にした。
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