413 / 437
第413話 男性には秘密の会話
しおりを挟む
月山雑貨店の駐車場に車を停めたあと、俺達は車から降りる。
先に運転席から降りたところで、メディーナさんとアリアさんが、車の中で会話をしている。
そして、何度かメディーナさんが頷いたところで車から降りてきた。
「ゴロウ様」
「どうかしましたか?」
「じつは、アリアからユキネ様にお願いしたい事があると」
「雪音さんに?」
「はい」
そのメディーナさんの言葉に一瞬思考し――、
「分かりました。雪音さんを連れてきますので、少し待っていてもらえますか?」
「それでは、そのようにアリアには伝えておきます」
「お願いします」
俺に頼める内容なら、わざわざ雪音さんを指定してはこない。
それなのに雪音さんと話し合いの場を持ちたいと言う事は、雪音さんじゃないと話せない内容があるということだ。
母屋に戻り、玄関の戸を開ける。
「五郎さん。どうかしましたか? もう、ルイーズ王女殿下の方の用事は終わったのですか?」
トタトタと小走りで玄関まで来た雪音さんが話しかけてきた。
丁度いい。
「いえ。じつは、アリアさんが雪音さんに話したい事があるらしく、少し時間とか大丈夫ですか?」
「私にですか?」
首を傾げる雪音さん。
どうやら彼女にも理由は分からないらしい。
「とくに何かアポとかは取っていませんけど……」
雪音さんは、呟きながらブーツを履いて玄関から出る。
二人で店先の駐車場に到着したところで、メディーナさんだけでなくアリアさんも車から降りており、俺達の姿を確認したところで近寄ってきた。
「ユキネ様。お忙しいところを申し訳ありません」
アリアさんが頭を下げてくる。
「いえ。お気になさらず。それよりも、何か問題でもありましたか?」
「えっと……、それは――」
困ったような表情で、アリアさんが俺の方を見てくる。
どうやら、この場に俺が居るのは好ましくないようだ。
「雪音さん。自分は、店の中に居るので何かあったら言ってください」
とりあえず、俺は場を離れることにして店の中へと入る。
すると、店番をしていた根室さんが、俺の方を見てくる、
「月山さん、どうかしたのですか? さっきから、異世界から来られた方が、店内を見てきていましたけど……」
「さあ? 俺も、よくは知らないんですが、店先に到着したところで、雪音さんと会話をしたいと言われてしまって、ハブられました」
「まぁ――、そうなのですか?」
「ですね」
俺は頷く。
事情は知らないが、メディーナさんや雪音さんと言った女性陣同士で話が出来るのだから、男の俺には聞かれなくない事なのだろう。
そう邪推してしまうが――、
「あ、そういえば、問屋の方から連絡がありました。午後に、店に納品に来られるとのことです」
「そうですか」
昨日の今日だというのに、随分と対応が早いな。
まぁ、納品の速さに関しては、そのフットワークの軽さが毎回助かってはいるが。
「それでは、午後ですね」
「はい。午後だと言っていました」
根室さんと会話をしながら店内を見渡せば、客は疎ら。
先日の大入りの時とは雲泥の差だ。
「あの! 五郎さん!」
一人考えていると、雪音さんが店内に入ってくると俺の名前を呼んできた。
「はい?」
「今日って、ホームセンターに行くことって出来ますか?」
「今日は納品日だと藤和さんから連絡があったみたいですよ?」
「はい。それは重々承知していますけど、車の運転できる人は五郎さんしかいませんから」
――ん? つまり、どこか遠くに行きたいと?
しかも、会話の流れからアリアさんからの要請だと考えるのが自然だろう。
「ホームセンターに何か買いにいくんですか?」
「えっと……その………」
俺の質問に困った表情になる雪音さん。
その様子からして――、
「それって男の俺には言い難いことですか?」
「そうです」
「そうですか」
それだけで何となく察することが出来た。
男の俺に説明できないが、女性同士なら話を共有できる内容。
それは――、一つしか思いつかない。
「分かりました。それではホームセンターまでの車の運転は任せてください」
「ありがとうございます。それでは、アリアさんに伝えておきますので、ゴロウ様は少し待っていてください」
雪音さんが店から出ていきアリアさんへと話しかけているのを確認しつつ――、
「根室さん。自分は今日は納品に立ち会えないのでナイルさんと共に立ち会ってもらえますか?」
「分かりました」
「あの! 五郎さん」
根室さんに納品の立ち会いをお願いしたところで戻ってきた雪音さん。
「すぐに出発することって出来ますか?」
「出来ますが……」
「それでは、私は着替えてきますので、待っていてください」
小走りで店の外へ出ていく雪音さん。
どうやら母屋に戻って準備をするらしい。
俺は雪音さんが戻ってくる間に、車のエンジンをかけて出発する準備を整える。
エンジンをかけたあとは、ホームセンターの場所を検索して一番近い場所をカーナビに表示する。
「あのゴロウ様」
俺が車に乗り込んだあと、すぐに車内に入ってきたメディーナさんとアリアさん。
その片割れであるアリアさんが話しかけてきた。
先に運転席から降りたところで、メディーナさんとアリアさんが、車の中で会話をしている。
そして、何度かメディーナさんが頷いたところで車から降りてきた。
「ゴロウ様」
「どうかしましたか?」
「じつは、アリアからユキネ様にお願いしたい事があると」
「雪音さんに?」
「はい」
そのメディーナさんの言葉に一瞬思考し――、
「分かりました。雪音さんを連れてきますので、少し待っていてもらえますか?」
「それでは、そのようにアリアには伝えておきます」
「お願いします」
俺に頼める内容なら、わざわざ雪音さんを指定してはこない。
それなのに雪音さんと話し合いの場を持ちたいと言う事は、雪音さんじゃないと話せない内容があるということだ。
母屋に戻り、玄関の戸を開ける。
「五郎さん。どうかしましたか? もう、ルイーズ王女殿下の方の用事は終わったのですか?」
トタトタと小走りで玄関まで来た雪音さんが話しかけてきた。
丁度いい。
「いえ。じつは、アリアさんが雪音さんに話したい事があるらしく、少し時間とか大丈夫ですか?」
「私にですか?」
首を傾げる雪音さん。
どうやら彼女にも理由は分からないらしい。
「とくに何かアポとかは取っていませんけど……」
雪音さんは、呟きながらブーツを履いて玄関から出る。
二人で店先の駐車場に到着したところで、メディーナさんだけでなくアリアさんも車から降りており、俺達の姿を確認したところで近寄ってきた。
「ユキネ様。お忙しいところを申し訳ありません」
アリアさんが頭を下げてくる。
「いえ。お気になさらず。それよりも、何か問題でもありましたか?」
「えっと……、それは――」
困ったような表情で、アリアさんが俺の方を見てくる。
どうやら、この場に俺が居るのは好ましくないようだ。
「雪音さん。自分は、店の中に居るので何かあったら言ってください」
とりあえず、俺は場を離れることにして店の中へと入る。
すると、店番をしていた根室さんが、俺の方を見てくる、
「月山さん、どうかしたのですか? さっきから、異世界から来られた方が、店内を見てきていましたけど……」
「さあ? 俺も、よくは知らないんですが、店先に到着したところで、雪音さんと会話をしたいと言われてしまって、ハブられました」
「まぁ――、そうなのですか?」
「ですね」
俺は頷く。
事情は知らないが、メディーナさんや雪音さんと言った女性陣同士で話が出来るのだから、男の俺には聞かれなくない事なのだろう。
そう邪推してしまうが――、
「あ、そういえば、問屋の方から連絡がありました。午後に、店に納品に来られるとのことです」
「そうですか」
昨日の今日だというのに、随分と対応が早いな。
まぁ、納品の速さに関しては、そのフットワークの軽さが毎回助かってはいるが。
「それでは、午後ですね」
「はい。午後だと言っていました」
根室さんと会話をしながら店内を見渡せば、客は疎ら。
先日の大入りの時とは雲泥の差だ。
「あの! 五郎さん!」
一人考えていると、雪音さんが店内に入ってくると俺の名前を呼んできた。
「はい?」
「今日って、ホームセンターに行くことって出来ますか?」
「今日は納品日だと藤和さんから連絡があったみたいですよ?」
「はい。それは重々承知していますけど、車の運転できる人は五郎さんしかいませんから」
――ん? つまり、どこか遠くに行きたいと?
しかも、会話の流れからアリアさんからの要請だと考えるのが自然だろう。
「ホームセンターに何か買いにいくんですか?」
「えっと……その………」
俺の質問に困った表情になる雪音さん。
その様子からして――、
「それって男の俺には言い難いことですか?」
「そうです」
「そうですか」
それだけで何となく察することが出来た。
男の俺に説明できないが、女性同士なら話を共有できる内容。
それは――、一つしか思いつかない。
「分かりました。それではホームセンターまでの車の運転は任せてください」
「ありがとうございます。それでは、アリアさんに伝えておきますので、ゴロウ様は少し待っていてください」
雪音さんが店から出ていきアリアさんへと話しかけているのを確認しつつ――、
「根室さん。自分は今日は納品に立ち会えないのでナイルさんと共に立ち会ってもらえますか?」
「分かりました」
「あの! 五郎さん」
根室さんに納品の立ち会いをお願いしたところで戻ってきた雪音さん。
「すぐに出発することって出来ますか?」
「出来ますが……」
「それでは、私は着替えてきますので、待っていてください」
小走りで店の外へ出ていく雪音さん。
どうやら母屋に戻って準備をするらしい。
俺は雪音さんが戻ってくる間に、車のエンジンをかけて出発する準備を整える。
エンジンをかけたあとは、ホームセンターの場所を検索して一番近い場所をカーナビに表示する。
「あのゴロウ様」
俺が車に乗り込んだあと、すぐに車内に入ってきたメディーナさんとアリアさん。
その片割れであるアリアさんが話しかけてきた。
186
お気に入りに追加
1,931
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる