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第406話 雪が降るという幻想
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店を閉めたあとは、ナイルさんとメディーナさんと共に店を出たあとシャッターを閉める。
「随分と此方の世界は冷えるのですね」
シャッターを閉めて鍵をしていた所で、後ろでメディーナさんがポツリと言葉を呟いた。
「そうですね。やはりというか異世界だからという事もあるのでしょう」
そう同意を示すナイルさん。
そんな二人の会話を聞きながら俺は――、
「日本は四季があるので、これからはもっと! 寒くなりますよ?」
――と、声をかけた。
四季については、二人に話していなかったか? と、心の中で自問自答するが、そんな細かいことを覚えていない。
「そうなのですか? どのくらいまで寒くなるのですか?」
「そうですね。雪が降ります」
ここは秋田県でも日本海側に位置する場所で内陸部ではあるが、雪は降る。
しかも、かなり積もる。
まぁ、最近は温暖ということもあり、そこまでは積もらないと思うが。
「雪ですか! 私、雪とか初めて見ます!」
「私もです。ゴロウ様」
「そうですか……。まぁ、去年までは10センチも積もればいい方だったとニュースで見たので、たぶん1月に入る少し前から雪は降り始めると思いますよ」
俺が小さい頃は、積雪20センチとか30センチとかいったが、最近は本当に暖かくなったから雪がまったく降らない。
近くのスキー場なんかも、これからは冬に入るのに雪が降らないからシーズン中の営業は大変だろう。
何せ、11月中旬なのに、肌寒いで済んでいるからな。
「副隊長! 楽しみですね!」
「そうですね。ルイズ辺境伯領では、雪が降るのは、本当にエルフが根城にしている森を超えた遥か南の山脈くらいですから」
「あれ? そうするとナイルさんもメディーナさんも雪を直接見た事は?」
「メディーナは初めてのはずです」
「はい! すごく楽しみにしています!」
「――と、言う事はナイルさんは……」
「私はダンジョンで氷のエリアがあるので、そこで見た事があります」
「なるほど……」
どうやら、ルイズ辺境伯領にはダンジョンがあるらしい。
ここは詳しく聞いておくべきだろう。
もしかしたら将来、俺が治める領地になるわけだし。
俺はシャッターの鍵を閉め終えると、立ち上がる。
「雪音さんが夕飯を作って待っているはずなので早く帰りましょう」
「そうですね。奥方様を待たせるのは問題ですからね」
ナイルさんは、そう言い歩きだす。
その後を、俺とメディーナさんは付いていく。
「そういえば、メディーナさん」
「はい? 何でしょうか? ゴロウ様」
「ルイズ辺境伯領には、ダンジョンがあるんですか?」
「あ、はい。あります。――ゴロウ様は、ご存知では無かったのですか?」
「そうですね……」
そういう異世界っぽいことは、まったく聞かされていなかったからな。
「メディーナ。ダンジョンについては私の方から説明します。貴女も、ダンジョンには入ったことはないでしょう?」
「は、はい!」
「ゴロウ様。誤った情報がありますと困りますから、私の方からダンジョンについては説明させて頂きます」
前を歩いていたナイルさんが歩きながら語る。
「――ただ、もうすぐ母屋に到着いたしますので、ダンジョンについての情報については、食事後でも宜しいでしょうか?」
「そうですね」
丁度、玄関前に到着しナイルさんが玄関の戸を横にずらす。
すると――、
「わんっ! わんっ!」
フーちゃんの元気な声が聞こえてくる。
どうやら、家の主たる俺のことを待っていたらしい。
「これはフーちゃん様。どうかされましたか? ふむふむ。なるほど……。ゴロウ様」
「どうかしましたか?」
俺は靴を脱いで土間から上がりながらナイルさんの問いかけに応じる。
「あと2週間ほどで、かなりの量の雪が降るとのことです」
「かなり?」
ここ10年以上、秋田県ではまとまった雪は降ってないはずだが……。
それに地球温暖化真っ最中だというのに?
「はい」
「それは、どこ情報ですか?」
「フーちゃん様です」
「……」
ナイルさんも時々、面白いジョークを言うのだなと思いつつも、何て言葉を返していいのか分からず、俺は思わず無言になった。
そもそも、ここ数年の気象庁のデーターから雪は辛うじて振っているレベルなのに、まとまった雪と言われても……。
しかもソースというか情報源はフーちゃん。
「本当にフーちゃんが?」
「はい!」
真面目にキリッ! と、した目で俺を見てくるナイルさん。
「……」
俺は無言のまま、額に手を当てる。
流石に、まとまった雪が降るという情報源が、ただの犬のフーちゃんというのは無理がありすぎる。
しかも、それが本当なら犬のフーちゃんと話せると言う事になる。
「まぁ、気を付けておきます」
「はっ! ありがとうございます!」
まあ、ナイルさんからの忠告を無碍にすることは出来ないから、当たり障りのない答えをしておく。
そもそも犬と話せるとか超常現象もいいところだ。
そんな非現実的なことを信じろって、少しどころか! かなり! 無理があるだろ!
「豪雪ですか! それは楽しみですね!」
「はははっ、そうですね」
まぁ、地球温暖化している現状では、雪なんてそんなに降るわけがない。
「随分と此方の世界は冷えるのですね」
シャッターを閉めて鍵をしていた所で、後ろでメディーナさんがポツリと言葉を呟いた。
「そうですね。やはりというか異世界だからという事もあるのでしょう」
そう同意を示すナイルさん。
そんな二人の会話を聞きながら俺は――、
「日本は四季があるので、これからはもっと! 寒くなりますよ?」
――と、声をかけた。
四季については、二人に話していなかったか? と、心の中で自問自答するが、そんな細かいことを覚えていない。
「そうなのですか? どのくらいまで寒くなるのですか?」
「そうですね。雪が降ります」
ここは秋田県でも日本海側に位置する場所で内陸部ではあるが、雪は降る。
しかも、かなり積もる。
まぁ、最近は温暖ということもあり、そこまでは積もらないと思うが。
「雪ですか! 私、雪とか初めて見ます!」
「私もです。ゴロウ様」
「そうですか……。まぁ、去年までは10センチも積もればいい方だったとニュースで見たので、たぶん1月に入る少し前から雪は降り始めると思いますよ」
俺が小さい頃は、積雪20センチとか30センチとかいったが、最近は本当に暖かくなったから雪がまったく降らない。
近くのスキー場なんかも、これからは冬に入るのに雪が降らないからシーズン中の営業は大変だろう。
何せ、11月中旬なのに、肌寒いで済んでいるからな。
「副隊長! 楽しみですね!」
「そうですね。ルイズ辺境伯領では、雪が降るのは、本当にエルフが根城にしている森を超えた遥か南の山脈くらいですから」
「あれ? そうするとナイルさんもメディーナさんも雪を直接見た事は?」
「メディーナは初めてのはずです」
「はい! すごく楽しみにしています!」
「――と、言う事はナイルさんは……」
「私はダンジョンで氷のエリアがあるので、そこで見た事があります」
「なるほど……」
どうやら、ルイズ辺境伯領にはダンジョンがあるらしい。
ここは詳しく聞いておくべきだろう。
もしかしたら将来、俺が治める領地になるわけだし。
俺はシャッターの鍵を閉め終えると、立ち上がる。
「雪音さんが夕飯を作って待っているはずなので早く帰りましょう」
「そうですね。奥方様を待たせるのは問題ですからね」
ナイルさんは、そう言い歩きだす。
その後を、俺とメディーナさんは付いていく。
「そういえば、メディーナさん」
「はい? 何でしょうか? ゴロウ様」
「ルイズ辺境伯領には、ダンジョンがあるんですか?」
「あ、はい。あります。――ゴロウ様は、ご存知では無かったのですか?」
「そうですね……」
そういう異世界っぽいことは、まったく聞かされていなかったからな。
「メディーナ。ダンジョンについては私の方から説明します。貴女も、ダンジョンには入ったことはないでしょう?」
「は、はい!」
「ゴロウ様。誤った情報がありますと困りますから、私の方からダンジョンについては説明させて頂きます」
前を歩いていたナイルさんが歩きながら語る。
「――ただ、もうすぐ母屋に到着いたしますので、ダンジョンについての情報については、食事後でも宜しいでしょうか?」
「そうですね」
丁度、玄関前に到着しナイルさんが玄関の戸を横にずらす。
すると――、
「わんっ! わんっ!」
フーちゃんの元気な声が聞こえてくる。
どうやら、家の主たる俺のことを待っていたらしい。
「これはフーちゃん様。どうかされましたか? ふむふむ。なるほど……。ゴロウ様」
「どうかしましたか?」
俺は靴を脱いで土間から上がりながらナイルさんの問いかけに応じる。
「あと2週間ほどで、かなりの量の雪が降るとのことです」
「かなり?」
ここ10年以上、秋田県ではまとまった雪は降ってないはずだが……。
それに地球温暖化真っ最中だというのに?
「はい」
「それは、どこ情報ですか?」
「フーちゃん様です」
「……」
ナイルさんも時々、面白いジョークを言うのだなと思いつつも、何て言葉を返していいのか分からず、俺は思わず無言になった。
そもそも、ここ数年の気象庁のデーターから雪は辛うじて振っているレベルなのに、まとまった雪と言われても……。
しかもソースというか情報源はフーちゃん。
「本当にフーちゃんが?」
「はい!」
真面目にキリッ! と、した目で俺を見てくるナイルさん。
「……」
俺は無言のまま、額に手を当てる。
流石に、まとまった雪が降るという情報源が、ただの犬のフーちゃんというのは無理がありすぎる。
しかも、それが本当なら犬のフーちゃんと話せると言う事になる。
「まぁ、気を付けておきます」
「はっ! ありがとうございます!」
まあ、ナイルさんからの忠告を無碍にすることは出来ないから、当たり障りのない答えをしておく。
そもそも犬と話せるとか超常現象もいいところだ。
そんな非現実的なことを信じろって、少しどころか! かなり! 無理があるだろ!
「豪雪ですか! それは楽しみですね!」
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