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第381話 エアコン設置完了
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「分かっています」
いろんな思いはあるが、全てを救えるほど俺は器用ではない。
踝さんは頷くと、新人社員に名前を呼ばれると、「まぁ、五郎の好きなようにすればいい」とだけ言って社員の方へと向かってしまった。
それから、すぐにエアコンの取り付け工事が始まる。
流石に、新人社員に仕事を教えている踝さんと話す訳もいかないので、俺は電話会社が来るまで手持ち無沙汰となる。
「はぁー」
母屋へと戻り、居間に置かれているコタツに足を入れると――、もふっ! と、言う擬音が付きそうな感触が足先から感じられると同時に何かに噛まれた。
もちろん、噛んだ相手には心当たりがある。
俺はコタツの中を除き込む。
そこには、フーちゃんがいた。
フーちゃんは、俺の靴下を噛んでいる。
「桜も、和美ちゃんもコタツの中で何をしているんだ?」
「エアコン付けているから避難しているの!」
「せやな」
「なるほど……」
どうやら、工事期間中は居間に撤収していたと。
まぁ、居間だけはエアコン工事が出来ない場所だから、必然的に子供達の避難場所に使われるよな
「そういえば雪音さんは?」
「雪音お姉ちゃんは、お店の方に行くって言っていたの!」
「そっか」
まぁ朝食は食べたばかりだし……。
それよりも洗濯物とかする前に、店の方に顔を出すとは何か急用でもあったのだろうか?
「まぁ、いいか……」
とりあえず電話会社の人が来るまで、俺もコタツの中で休むとしよう。
もう40歳を超えると疲れが中々抜けないからな……。
居間のコタツ上に置かれているミカンの入った菓子鉢から、ミカンを取り皮を剥いていく。
すると、フーちゃんがコタツの中から出てくると、立ち上がり、コタツの天板上で俺が向いていたミカンをジッと見つめてくると、俺へと顔を向けてくる。
「やらないからな?」
「ガルルルル」
「反抗的だからあげない」
「くぅーん」
まるで! 言葉が理解出来ているみたいだ! まぁ、気のせいだな。
「おじちゃん! みかんを食べてもいい?」
「おっさん、ミカン食べてもええ?」
二人とも上目遣いで問いかけてくる。
「いいぞ。食べ過ぎないようにな」
俺は、ミカンが入っている菓子鉢を、コタツの中から出てきた二人の前に置く。
すると二人は器用に皮を剥いて食べ始めた。
そんな二人の手元を見ているフーちゃん。
「おじちゃん」
「少しだけな」
「うん!」
「おっさん、さくらちゃんには甘いと思う」
「そうか?」
和美ちゃんに言葉を返したところで、俺はコタツの中に入ったまま横になる。
しばらくすると、寝息が聞こえてくる。
視線を向ければ、桜と和美ちゃんとフーちゃんが一緒になって寝ていた。
しばらく、寝ている様子を見ていたところで、台所側から身振り手振りで何かを訴えかけてきている踝さんの姿が――。
コタツから出て、踝さんと共に居間から少し離れる。
「踝さん、どうかしましたか?」
「工事が終わったから確認をしてくれ」
「随分と早いですね」
「まぁ、一応、雇用したやつらは全員電気技術の資格を有している経験者だからな」
「なるほど……」
それなら6人も連れてきているのなら仕事が早く終わるのも説明がつく。
「じゃ確認してもらっていいか?」
踝さんの言葉に俺は頷く。
すぐにエアコンを取り付けた場所、エアコンの使い方、室内機と室外機の場所をチェックしていく。
「仕事が早いですね」
「だろう? 見込みはあると思っているんだ。だから、五郎も頑張ってくれよ!」
「保守契約ですよね」
「ああ。もちろん! 期待しているからな! あ、これ、取り扱い説明書な」
説明書を受け取ったあとは、俺は現金の入った封筒を渡す。
お金を確認したあと、踝さんは俺へと視線を向けてくる。
「そういえば、五郎」
「何かありましたか? 枚数足りないとか?」
「――いや、そうじゃなくて、そろそろ銀行口座取引にした方が良くないか? 現金だけの取引だと色々と税務署から勘繰られる可能性も出てくるだろ?」
「そうですね……。一応、法人口座は作ったので、今度からは口座取引にしますか」
「それがお互いにとっていいと俺は思うぞ」
「ですよね……」
「まぁ、郵便局の話、うまく纏めてくれよな。うちも建設に一枚噛むんだし」
「分かってますよ」
「じゃ! またな!」
リフォーム踝というステッカーが貼られた車2台を見送ったあと、俺は居間へと戻る。
まだ桜と和美ちゃんとフーちゃんは寝たまま。
エアコンの使い方を説明しようと思ったが、まだ寝かせたままでいいか。
「まだ、午前11時か……」
午後には、石川さん親子と、携帯電話会社が来るが時間はまだあるな……。
――ガラガラ
お昼ご飯でも作ろうと思ったところで玄関の戸が開く音が聞こえてくる。
廊下へ出て玄関の方を見れば雪音さんが丁度土間から上がってくるところだった。
「あら? もう工事は終わったのですか?」
「そうですね。それよりも雪音さんは、店の方に行っていると聞きましたが?」
「ああ。売上を確認していたところです。半月に一回は纏めておかないと大変ですから」
そういえば雪音さんには会計の仕事を頼んでいたな。
いろんな思いはあるが、全てを救えるほど俺は器用ではない。
踝さんは頷くと、新人社員に名前を呼ばれると、「まぁ、五郎の好きなようにすればいい」とだけ言って社員の方へと向かってしまった。
それから、すぐにエアコンの取り付け工事が始まる。
流石に、新人社員に仕事を教えている踝さんと話す訳もいかないので、俺は電話会社が来るまで手持ち無沙汰となる。
「はぁー」
母屋へと戻り、居間に置かれているコタツに足を入れると――、もふっ! と、言う擬音が付きそうな感触が足先から感じられると同時に何かに噛まれた。
もちろん、噛んだ相手には心当たりがある。
俺はコタツの中を除き込む。
そこには、フーちゃんがいた。
フーちゃんは、俺の靴下を噛んでいる。
「桜も、和美ちゃんもコタツの中で何をしているんだ?」
「エアコン付けているから避難しているの!」
「せやな」
「なるほど……」
どうやら、工事期間中は居間に撤収していたと。
まぁ、居間だけはエアコン工事が出来ない場所だから、必然的に子供達の避難場所に使われるよな
「そういえば雪音さんは?」
「雪音お姉ちゃんは、お店の方に行くって言っていたの!」
「そっか」
まぁ朝食は食べたばかりだし……。
それよりも洗濯物とかする前に、店の方に顔を出すとは何か急用でもあったのだろうか?
「まぁ、いいか……」
とりあえず電話会社の人が来るまで、俺もコタツの中で休むとしよう。
もう40歳を超えると疲れが中々抜けないからな……。
居間のコタツ上に置かれているミカンの入った菓子鉢から、ミカンを取り皮を剥いていく。
すると、フーちゃんがコタツの中から出てくると、立ち上がり、コタツの天板上で俺が向いていたミカンをジッと見つめてくると、俺へと顔を向けてくる。
「やらないからな?」
「ガルルルル」
「反抗的だからあげない」
「くぅーん」
まるで! 言葉が理解出来ているみたいだ! まぁ、気のせいだな。
「おじちゃん! みかんを食べてもいい?」
「おっさん、ミカン食べてもええ?」
二人とも上目遣いで問いかけてくる。
「いいぞ。食べ過ぎないようにな」
俺は、ミカンが入っている菓子鉢を、コタツの中から出てきた二人の前に置く。
すると二人は器用に皮を剥いて食べ始めた。
そんな二人の手元を見ているフーちゃん。
「おじちゃん」
「少しだけな」
「うん!」
「おっさん、さくらちゃんには甘いと思う」
「そうか?」
和美ちゃんに言葉を返したところで、俺はコタツの中に入ったまま横になる。
しばらくすると、寝息が聞こえてくる。
視線を向ければ、桜と和美ちゃんとフーちゃんが一緒になって寝ていた。
しばらく、寝ている様子を見ていたところで、台所側から身振り手振りで何かを訴えかけてきている踝さんの姿が――。
コタツから出て、踝さんと共に居間から少し離れる。
「踝さん、どうかしましたか?」
「工事が終わったから確認をしてくれ」
「随分と早いですね」
「まぁ、一応、雇用したやつらは全員電気技術の資格を有している経験者だからな」
「なるほど……」
それなら6人も連れてきているのなら仕事が早く終わるのも説明がつく。
「じゃ確認してもらっていいか?」
踝さんの言葉に俺は頷く。
すぐにエアコンを取り付けた場所、エアコンの使い方、室内機と室外機の場所をチェックしていく。
「仕事が早いですね」
「だろう? 見込みはあると思っているんだ。だから、五郎も頑張ってくれよ!」
「保守契約ですよね」
「ああ。もちろん! 期待しているからな! あ、これ、取り扱い説明書な」
説明書を受け取ったあとは、俺は現金の入った封筒を渡す。
お金を確認したあと、踝さんは俺へと視線を向けてくる。
「そういえば、五郎」
「何かありましたか? 枚数足りないとか?」
「――いや、そうじゃなくて、そろそろ銀行口座取引にした方が良くないか? 現金だけの取引だと色々と税務署から勘繰られる可能性も出てくるだろ?」
「そうですね……。一応、法人口座は作ったので、今度からは口座取引にしますか」
「それがお互いにとっていいと俺は思うぞ」
「ですよね……」
「まぁ、郵便局の話、うまく纏めてくれよな。うちも建設に一枚噛むんだし」
「分かってますよ」
「じゃ! またな!」
リフォーム踝というステッカーが貼られた車2台を見送ったあと、俺は居間へと戻る。
まだ桜と和美ちゃんとフーちゃんは寝たまま。
エアコンの使い方を説明しようと思ったが、まだ寝かせたままでいいか。
「まだ、午前11時か……」
午後には、石川さん親子と、携帯電話会社が来るが時間はまだあるな……。
――ガラガラ
お昼ご飯でも作ろうと思ったところで玄関の戸が開く音が聞こえてくる。
廊下へ出て玄関の方を見れば雪音さんが丁度土間から上がってくるところだった。
「あら? もう工事は終わったのですか?」
「そうですね。それよりも雪音さんは、店の方に行っていると聞きましたが?」
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