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第364話 店舗拡大の構想(7)
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「それは、相当……」
「はい。大勢の人材を扱う為のノウハウが必要になります。ただ、それが悪いとは一概には言えません」
「――と、言うと?」
「月山様は、今度、結城村で大きなスーパーを経営されるのですよね? その予定をされているのですよね?」
その藤和さんの言葉に、
「そういうことですか」
俺も得心がいき、肯定の意を示す言葉を返す。
つまり、大型店舗を日本で経営していく上で、ルイズ辺境伯領での店舗経営は飲食店で言う所のプレオープンと同じことが体験できるという意味だということ。
しかも、異世界であるのなら出資者というか母体は、辺境伯と言う事になる。
謂わば国が後ろ盾になって会社を経営するようなもの。
査定は厳しいが、それは辺境伯の気持ち次第だが、倒産するというデメリットは限りなく低い。
何せエルム王国から見たら珍しい異世界の商品を販売するのだから。
「ご理解頂けて幸いです。それで月山様」
「はい?」
「辺境伯様との打ち合わせ時期は何時頃か決めておられるのですか?」
「――いえ。まだですね。異世界に雑貨屋を開店させるにあたって商品のリストを藤和さんが用意されるとのことでしたので、その兼ね合いも含めて大型店舗だと、より一層大変になると思ったので」
「そうですか……。それでは、今週中にはリストを用意しますので、今週末に話し合いの場を整えてもらえませんか?」
「分かりました。それで、藤和さん」
「はい? なんでしょうか?」
「毎回、辺境伯邸に1時間近くかけて通うのは大変だと思うのですが……。通信機器とかを辺境伯に渡すのは? と、考えたのですが藤和さんは、どう思われますか?」
「なるほど……。渡してしまって問題ないと思います」
「――え?」
あまりにもあっさりな回答。
藤和さんなら、情報管理が必要だからと渡さない道を提示すると思っていただけに驚く。
「いいんですか? 情報とかは武器なのでは?」
俺が知っている戦争物では情報が戦争の行方を左右するほど大事なモノであると書かれていた。
それなのに、藤和さんが問題ないというような素振りで許可を出したのは、些かというかかなり腑に落ちない。
何せ、ルイーズ王女殿下一行には余計な情報が入らないように統制をかけているというのに。
「たしかに情報は武器です。ただ、それは本質ではありません」
「?」
俺は一瞬、頭の中で疑問符が浮かぶ。
無言のままでいると――、
「月山様もお分かりかと思いますが、地球に滞在されているルイーズ王女殿下たちは、地球の情報を得る可能性があること。そして、その情報を利用される可能性があるために情報端末を制限しています。ただ、異世界に情報端末を持っていき、現地だけで運用するのなら話は別です。異世界だけで運用をするのなら、異世界の情報だけをやり取りする限定的な物になりますから、情報を制限する必要はなくなります。この違いは、月山様はご存知かと思っておりますが……」
「ソ、ソウデスネー」
――ん? つまり、現地だけで情報端末を利用している場合には、地球の情報は漏れることは無いから問題ないということか?
「あの、藤和さん」
「はい? 何でしょうか?」
「異世界で情報に関して革命が起きたりしませんか?」
「起きるとは思いますが、それは私達には関係の無い事です。むしろ、辺境伯様と王宮側の間で情報共有が瞬時に行えた方がいいまであります。そうすれば余計な憶測で、私達や辺境伯様側が王宮から変な目で見られる事もなくなりますから。むしろ王宮側としては、他国からの侵略をいち早く知れることで、感謝される可能性もあります。ただ、それにより不都合が生じる可能性もあると思いますが、それに関しては私達が気にすることではないと思います」
「そ、そうですか……」
「はい。それに業務用無線機をバッテリー方式の物にすれば、王宮側も此方側を邪険にする事は出来なくなりますから、一石二鳥です」
「……なるほど……」
つまり情報よりも情報をやり取りする端末側の充電を人質に取って身の安全を確保すると。
「それに大型店舗を運営するのでしたら無線機を持たせておくのは効率がいいですから」
「あ、たしかに……」
日本でも大型店舗だと店員が無線機を所持している事は多いからな。
そう考えると無線機を異世界に導入するのはありなのか?
「でも藤和さん」
「はい」
「辺境伯様が、それで許可を出してくれるとは限らないと思いますが……」
「出してくれると思いますよ。むしろ積極的に配備したいと考えると思います。早馬で領内の問題が届けられるよりも、無線で情報が届けられる方がリアルタイムですし、他国と国境を接しているのなら、必要とも言えますから」
「そうですか」
そういえば、ドローンについても辺境伯は、とても興味深々の様子だったからな……。
藤和さんの言っていることも強ち外れではないと思う。
「分かりました。それでは藤和さん。そのことも含めて、今週の末に辺境伯と話し場を設けておきます」
「月山様、宜しくお願いします」
話が終わったところで電話を切る。
「どうでしたか?」
雪音さんが問いかけてくる。
ずっと台所に居たのか俺の話し声は筒抜けだったらしい。
「大丈夫です。なんとか話は纏まりました」
そう、俺は雪音さんに言葉を返した。
「はい。大勢の人材を扱う為のノウハウが必要になります。ただ、それが悪いとは一概には言えません」
「――と、言うと?」
「月山様は、今度、結城村で大きなスーパーを経営されるのですよね? その予定をされているのですよね?」
その藤和さんの言葉に、
「そういうことですか」
俺も得心がいき、肯定の意を示す言葉を返す。
つまり、大型店舗を日本で経営していく上で、ルイズ辺境伯領での店舗経営は飲食店で言う所のプレオープンと同じことが体験できるという意味だということ。
しかも、異世界であるのなら出資者というか母体は、辺境伯と言う事になる。
謂わば国が後ろ盾になって会社を経営するようなもの。
査定は厳しいが、それは辺境伯の気持ち次第だが、倒産するというデメリットは限りなく低い。
何せエルム王国から見たら珍しい異世界の商品を販売するのだから。
「ご理解頂けて幸いです。それで月山様」
「はい?」
「辺境伯様との打ち合わせ時期は何時頃か決めておられるのですか?」
「――いえ。まだですね。異世界に雑貨屋を開店させるにあたって商品のリストを藤和さんが用意されるとのことでしたので、その兼ね合いも含めて大型店舗だと、より一層大変になると思ったので」
「そうですか……。それでは、今週中にはリストを用意しますので、今週末に話し合いの場を整えてもらえませんか?」
「分かりました。それで、藤和さん」
「はい? なんでしょうか?」
「毎回、辺境伯邸に1時間近くかけて通うのは大変だと思うのですが……。通信機器とかを辺境伯に渡すのは? と、考えたのですが藤和さんは、どう思われますか?」
「なるほど……。渡してしまって問題ないと思います」
「――え?」
あまりにもあっさりな回答。
藤和さんなら、情報管理が必要だからと渡さない道を提示すると思っていただけに驚く。
「いいんですか? 情報とかは武器なのでは?」
俺が知っている戦争物では情報が戦争の行方を左右するほど大事なモノであると書かれていた。
それなのに、藤和さんが問題ないというような素振りで許可を出したのは、些かというかかなり腑に落ちない。
何せ、ルイーズ王女殿下一行には余計な情報が入らないように統制をかけているというのに。
「たしかに情報は武器です。ただ、それは本質ではありません」
「?」
俺は一瞬、頭の中で疑問符が浮かぶ。
無言のままでいると――、
「月山様もお分かりかと思いますが、地球に滞在されているルイーズ王女殿下たちは、地球の情報を得る可能性があること。そして、その情報を利用される可能性があるために情報端末を制限しています。ただ、異世界に情報端末を持っていき、現地だけで運用するのなら話は別です。異世界だけで運用をするのなら、異世界の情報だけをやり取りする限定的な物になりますから、情報を制限する必要はなくなります。この違いは、月山様はご存知かと思っておりますが……」
「ソ、ソウデスネー」
――ん? つまり、現地だけで情報端末を利用している場合には、地球の情報は漏れることは無いから問題ないということか?
「あの、藤和さん」
「はい? 何でしょうか?」
「異世界で情報に関して革命が起きたりしませんか?」
「起きるとは思いますが、それは私達には関係の無い事です。むしろ、辺境伯様と王宮側の間で情報共有が瞬時に行えた方がいいまであります。そうすれば余計な憶測で、私達や辺境伯様側が王宮から変な目で見られる事もなくなりますから。むしろ王宮側としては、他国からの侵略をいち早く知れることで、感謝される可能性もあります。ただ、それにより不都合が生じる可能性もあると思いますが、それに関しては私達が気にすることではないと思います」
「そ、そうですか……」
「はい。それに業務用無線機をバッテリー方式の物にすれば、王宮側も此方側を邪険にする事は出来なくなりますから、一石二鳥です」
「……なるほど……」
つまり情報よりも情報をやり取りする端末側の充電を人質に取って身の安全を確保すると。
「それに大型店舗を運営するのでしたら無線機を持たせておくのは効率がいいですから」
「あ、たしかに……」
日本でも大型店舗だと店員が無線機を所持している事は多いからな。
そう考えると無線機を異世界に導入するのはありなのか?
「でも藤和さん」
「はい」
「辺境伯様が、それで許可を出してくれるとは限らないと思いますが……」
「出してくれると思いますよ。むしろ積極的に配備したいと考えると思います。早馬で領内の問題が届けられるよりも、無線で情報が届けられる方がリアルタイムですし、他国と国境を接しているのなら、必要とも言えますから」
「そうですか」
そういえば、ドローンについても辺境伯は、とても興味深々の様子だったからな……。
藤和さんの言っていることも強ち外れではないと思う。
「分かりました。それでは藤和さん。そのことも含めて、今週の末に辺境伯と話し場を設けておきます」
「月山様、宜しくお願いします」
話が終わったところで電話を切る。
「どうでしたか?」
雪音さんが問いかけてくる。
ずっと台所に居たのか俺の話し声は筒抜けだったらしい。
「大丈夫です。なんとか話は纏まりました」
そう、俺は雪音さんに言葉を返した。
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