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第362話 店舗拡大の構想(5)
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ナイルさんに異世界での搬入の大半を任せて路地の周囲を眺めていたところで、俺はある事に気が付く。
それは月山雑貨店の周辺の建物が解体されていたこと。
月山雑貨店を中心に建物が3棟ほど消えており――、
「ゴロウ様、手配は終わりました」
「お疲れ様です。あのナイルさん。店の近くの建物が幾つか撤去されているみたいですけど、もしかして……」
俺は、何となく思い当たる節があったので、確認の意味合いも込めてナイルさんに確認することにする。
「さあ? 私も、その点には……。ですが、たしかにルイズ辺境伯領の首都ブランデンで、建物が纏めて撤去される事は稀ですね」
「そうですか?」
「はい。基本的には以前あった建物を使いますので。そうしなければ、建築には莫大なコストがかかりますし、何より元が取れませんから」
「なるほど……」
そりゃ全部人力で建物を建てるのだからコストは高いよな。
しかも、月山雑貨店の周囲に建っていた建物なんて3階建て以上の建物ばかりだったし。
「少し聞いてきます」
ナイルさんも興味が出たのか近くの兵士に声をかける。
すると話しかけた兵士と共に――、
「ゴロウ様。この者が、事情を知っているようですので連れてきました。ゴロウ様に説明をしろ」
「はっ! ゴロウ様の店舗近くの店が撤去されているのは、ゴロウ様が異世界で店を開くからだとアロイス騎士団長より連絡がきております! また昼頃から、作業員が来て周辺の建物を10棟ほど解体すると」
「10棟も?」
「はい! 最終的には、ゴロウ様の店の10倍ほどの敷地面積を確保するようにと、すでに商業ギルドとは、ノーマン様は話をつけておられるようです」
「そうですか……」
「あと、ゴロウ様が異世界から持ち込まれた巨大なケースは、ノーマン様の御屋敷に移しているのを確認しております」
「それも辺境伯様の指示で?」
「はい!」
「なるほど……」
俺とナイルさんは顔を見合わせる。
思ったよりも早く辺境伯は、行動に移しているらしい。
こちらの想定を遥かに超える速度だ。
ナイルさんは頷くと――、
「情報提供ご苦労であった。もう職務に戻ってもいいぞ」
「はっ!」
俺からすぐに視線を逸らし、連れてきた兵士に仕事に戻るように言いつける。
兵士が俺とナイルさんから離れると、
「さすがはノーマン様。思っていたよりも早く行動されているようですね」
感心したかのようにナイルさんは呟くが、俺としては既存の建物を使おうと思っていただけに驚いていた。
「でも、さすがにこれはやりすぎなのでは?」
「それだけのことをしても利益が出ると踏んだと思われます。何せ異世界で――、月山雑貨店で販売している商品は、それだけの価値がありますから」
さすがに、毎日のようにレジに立って商品を並べているナイルさんは、日本で販売されている商品の価値を知っている。
だからこそ、危険だということを俺と藤和さんは話していたわけだが……。
「そうですね」
これは、異世界で開業する前に、取り扱う商品について辺境伯と詳しく相談する必要があるな。
それもなるべく早くしないと……。
「ナイルさん。異世界で取り扱う商品について、詳細を辺境伯様と詰める必要性がありそうです。しかも早急に」
「分かりました。それでは早馬で、その内容をノーマン様へ伝えるように指示を出しておきます」
「宜しくお願いします」
ナイルさんが、兵士へと伝言を頼んでいる間に、俺はトランシーバーでも今度、辺境伯に渡した方がいいのでは? と、考えてしまう。
これから色々な手続きや取引をする以上、無線機くらいはあった方がいいのでは? と、思ってしまうが……。
「――いや、それは流石に……」
俺は思い直す。
ドローンですら、情報のやり取りで辺境伯は利用しようと考えているのだから、無線機を渡した日には、それは情報のやり取りの上で革命が起きること間違いない。
言うなれば、江戸時代に通信距離10キロから20キロのタイムラグの無い通信機器を提供するようなモノ。
正直、異世界にどれだけの影響があるのか想像もつかない。
「どうかなさいましたか? ゴロウ様」
思考していると、ナイルさんが心配した表情で俺に話しかけてきた。
「――いえ。それで辺境伯様には?」
「はい。伝令兵に、ゴロウ様が近々、店のことに関して会って話がしたいことを、ノーマン様に伝えるように走らせました」
「そうですか。分かりました」
そうなると、こちらとしても納品は藤和さんに一任しているから、その時は藤和さんも一緒に連れてきた方がいいな。
異世界でも、こじんまりとした店経営を考えていたが、月山雑貨店の10倍近くの面積のある店を辺境伯が考えているのなら、それに合わせた話し合いが必要になるだろうし。
「それにしても、本当に10倍の店を作るつもりなんでしょうか?」
「それは、私にも分かりませんが……。そこはノーマン様との話し合いで確認された方が宜しいかと思います」
「そうですよね……」
あまりにも大きすぎる店舗は管理が大変だからな。
その辺を辺境伯が、どう考えているのか。
それは月山雑貨店の周辺の建物が解体されていたこと。
月山雑貨店を中心に建物が3棟ほど消えており――、
「ゴロウ様、手配は終わりました」
「お疲れ様です。あのナイルさん。店の近くの建物が幾つか撤去されているみたいですけど、もしかして……」
俺は、何となく思い当たる節があったので、確認の意味合いも込めてナイルさんに確認することにする。
「さあ? 私も、その点には……。ですが、たしかにルイズ辺境伯領の首都ブランデンで、建物が纏めて撤去される事は稀ですね」
「そうですか?」
「はい。基本的には以前あった建物を使いますので。そうしなければ、建築には莫大なコストがかかりますし、何より元が取れませんから」
「なるほど……」
そりゃ全部人力で建物を建てるのだからコストは高いよな。
しかも、月山雑貨店の周囲に建っていた建物なんて3階建て以上の建物ばかりだったし。
「少し聞いてきます」
ナイルさんも興味が出たのか近くの兵士に声をかける。
すると話しかけた兵士と共に――、
「ゴロウ様。この者が、事情を知っているようですので連れてきました。ゴロウ様に説明をしろ」
「はっ! ゴロウ様の店舗近くの店が撤去されているのは、ゴロウ様が異世界で店を開くからだとアロイス騎士団長より連絡がきております! また昼頃から、作業員が来て周辺の建物を10棟ほど解体すると」
「10棟も?」
「はい! 最終的には、ゴロウ様の店の10倍ほどの敷地面積を確保するようにと、すでに商業ギルドとは、ノーマン様は話をつけておられるようです」
「そうですか……」
「あと、ゴロウ様が異世界から持ち込まれた巨大なケースは、ノーマン様の御屋敷に移しているのを確認しております」
「それも辺境伯様の指示で?」
「はい!」
「なるほど……」
俺とナイルさんは顔を見合わせる。
思ったよりも早く辺境伯は、行動に移しているらしい。
こちらの想定を遥かに超える速度だ。
ナイルさんは頷くと――、
「情報提供ご苦労であった。もう職務に戻ってもいいぞ」
「はっ!」
俺からすぐに視線を逸らし、連れてきた兵士に仕事に戻るように言いつける。
兵士が俺とナイルさんから離れると、
「さすがはノーマン様。思っていたよりも早く行動されているようですね」
感心したかのようにナイルさんは呟くが、俺としては既存の建物を使おうと思っていただけに驚いていた。
「でも、さすがにこれはやりすぎなのでは?」
「それだけのことをしても利益が出ると踏んだと思われます。何せ異世界で――、月山雑貨店で販売している商品は、それだけの価値がありますから」
さすがに、毎日のようにレジに立って商品を並べているナイルさんは、日本で販売されている商品の価値を知っている。
だからこそ、危険だということを俺と藤和さんは話していたわけだが……。
「そうですね」
これは、異世界で開業する前に、取り扱う商品について辺境伯と詳しく相談する必要があるな。
それもなるべく早くしないと……。
「ナイルさん。異世界で取り扱う商品について、詳細を辺境伯様と詰める必要性がありそうです。しかも早急に」
「分かりました。それでは早馬で、その内容をノーマン様へ伝えるように指示を出しておきます」
「宜しくお願いします」
ナイルさんが、兵士へと伝言を頼んでいる間に、俺はトランシーバーでも今度、辺境伯に渡した方がいいのでは? と、考えてしまう。
これから色々な手続きや取引をする以上、無線機くらいはあった方がいいのでは? と、思ってしまうが……。
「――いや、それは流石に……」
俺は思い直す。
ドローンですら、情報のやり取りで辺境伯は利用しようと考えているのだから、無線機を渡した日には、それは情報のやり取りの上で革命が起きること間違いない。
言うなれば、江戸時代に通信距離10キロから20キロのタイムラグの無い通信機器を提供するようなモノ。
正直、異世界にどれだけの影響があるのか想像もつかない。
「どうかなさいましたか? ゴロウ様」
思考していると、ナイルさんが心配した表情で俺に話しかけてきた。
「――いえ。それで辺境伯様には?」
「はい。伝令兵に、ゴロウ様が近々、店のことに関して会って話がしたいことを、ノーマン様に伝えるように走らせました」
「そうですか。分かりました」
そうなると、こちらとしても納品は藤和さんに一任しているから、その時は藤和さんも一緒に連れてきた方がいいな。
異世界でも、こじんまりとした店経営を考えていたが、月山雑貨店の10倍近くの面積のある店を辺境伯が考えているのなら、それに合わせた話し合いが必要になるだろうし。
「それにしても、本当に10倍の店を作るつもりなんでしょうか?」
「それは、私にも分かりませんが……。そこはノーマン様との話し合いで確認された方が宜しいかと思います」
「そうですよね……」
あまりにも大きすぎる店舗は管理が大変だからな。
その辺を辺境伯が、どう考えているのか。
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