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第360話 店舗拡大の構想(3)
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「あの……、少し気になったのですけど……」
恐る恐ると言った感じで根室さんが口を開く。
「もしかして、理紗さんって異世界人だったりしますか?」
「……」
「だって、月山さんのことをゴロウ様って言っていましたから……」
これは盲点というか、ずっと言われていたから完全に麻痺していたな。
そりゃ、俺のことをゴロウ様と言っていたのだから、ナイルさんが異世界人だと教えた以上、簡単に想像がつくことだよな……。
「まぁ、そうですね……」
隠しておく必要もない。
むしろ隠しておくと面倒になりかねないので俺は頷く。
「やっぱり……。もしかして藤和さんも?」
「いえ。彼は普通に地球人です」
「そうなのですか」
「はい。ただ、これは内緒でお願いします」
「分かっています。それにしても異世界人の方って、結構、多いのですね」
「まぁ、そうですね」
「あれ?」
「どうかしましたか?」
何かに勘付いたかのように首を傾げる根室さん。
「もしかして、時々、メイドの方が商品を持って行きますけど……、もしかして……」
本当に、根室さんは勘が良いな。
「そうですね。異世界人です」
「やっぱり! もしかしたら、ヨーロッパからの貴族な方だと思っていましたけど、異世界人だと思えば、おかしな点も納得できますね!」
「ですね……」
「ほんとに、異世界人が多いのですね」
「まぁ、色々とありましたからね。――でも、月山さん」
「はい?」
「先ほどの理紗さんと言う方ですけど、大型の車を運転していましたけど、運転免許などは持っているのですか?」
「まぁ戸籍も取得していますから」
「え……ええええっ!? ど、どうやって戸籍を取得したのですか? もしかして催眠術とかで?」
「そういう不確かなモノではないので。普通に申請したみたいですよ。難民とか、そんな感じで」
「そうなのですか……。結構、日本の区役所の審査でガバガバなのですね」
「まぁ、公務員ですから」
俺は、「すまん! 公務員のみんな!」と、心の中で謝罪しつつ、適当に言い訳をする。
流石に魔法で人心を操って戸籍を作ったとか非合法的な説明はできない。
まぁ、戸籍を適当に作る時点で問題ではあるが、そこは公務員が悪いこと言う事にしておく。
「たしかに……、適当ですものね! 公務員さんは!」
ぷんぷんと怒る根室さん。
過去に何か公務員と問題でもあったのだろうか?
ただ、それを俺は知る由もないし、火中の栗を拾うような愚かな真似はしたくないので、態々、聞くような真似はしない。
「まぁ、とりあえず秘密でお願いします」
「分かりました。私は、約束は違えませんし、月山さんには何時も良くしてもらっていますから」
「ははは、ありがとうございます」
「それでは、ブルーシートでも掛けておきますか」
「雨が降って濡れたら困りますものね」
俺は、バックヤード側に置いてあるブルーシートを取りに行こうとするが、ナイルさんが既に察してくれていたのか、ブルーシートを持って店の外へと出てきた。
「ゴロウ様。ブルーシートを持ってきました」
「ありがとうございます。それでは異世界に持っていくのは4パレットありますので、全てにブルーシートをかけてもらえますか?」
「はっ」
「分かりました」
4パレット全てにブルーシートを掛けた後、縄で縛る。
3人でやった事もあり10分も掛からなかった。
「それにしても、これを異世界に持って行くのですか?」
根室さんの言葉に俺は頷く。
「はい。これは、先日、応援で頼んだ兵士というか騎士達への報酬ですから」
「あ……。そういえば台風が来る前に、月山さんが大勢の人手を手配したことをお義父さん達が言っていましたけど……、そのことだったのですね」
俺は頷きつつ――、
「そうですね。店の評判の向上のために人手を手配しました」
「そうなのですか……。じつは、月山さんは色々とやっていたんですね」
「思いつきですけどね」
俺は肩を竦める。
少しだけ根室さんからの信頼度が上がった気がする。
「いえいえ。自腹を切ってまで村に貢献することは素晴らしいことだと思います!」
「そう言って頂ければ助かります。ただ、これも皆には内緒でお願いします」
「分かっています」
それにしても、根室さんは思ったよりも適応力が高いな。
そう思っていると――、
「あの月山さん」
「はい?」
「メディーナさんは、異世界から此方に来ないんですか?」
「まだ体調が戻っていませんから。以前に根室さんにお教えした魔力枯渇の件ありましたよね?」
「あ――」
そこでハッ! と、したような表情を根室恵美さんは見せる。
「メディーナさんは魔力枯渇が原因で体調不良を起こしていて、現在は異世界で静養中なので、しばらくは出社できません」
「そうなのですか……。――でも、実際に、知っている方が魔力枯渇で出社できないと知らされると思う所がありますね。それで、メディーナさんは、どのくらいで仕事に復帰できるのですか?」
そこで、俺はジッと話を聞いていたナイルさんへと視線を向ける。
ナイルさんは頷くと――、
「根室さん。メディーナは、早ければ一週間ほどで職務に復帰できると思います」
恐る恐ると言った感じで根室さんが口を開く。
「もしかして、理紗さんって異世界人だったりしますか?」
「……」
「だって、月山さんのことをゴロウ様って言っていましたから……」
これは盲点というか、ずっと言われていたから完全に麻痺していたな。
そりゃ、俺のことをゴロウ様と言っていたのだから、ナイルさんが異世界人だと教えた以上、簡単に想像がつくことだよな……。
「まぁ、そうですね……」
隠しておく必要もない。
むしろ隠しておくと面倒になりかねないので俺は頷く。
「やっぱり……。もしかして藤和さんも?」
「いえ。彼は普通に地球人です」
「そうなのですか」
「はい。ただ、これは内緒でお願いします」
「分かっています。それにしても異世界人の方って、結構、多いのですね」
「まぁ、そうですね」
「あれ?」
「どうかしましたか?」
何かに勘付いたかのように首を傾げる根室さん。
「もしかして、時々、メイドの方が商品を持って行きますけど……、もしかして……」
本当に、根室さんは勘が良いな。
「そうですね。異世界人です」
「やっぱり! もしかしたら、ヨーロッパからの貴族な方だと思っていましたけど、異世界人だと思えば、おかしな点も納得できますね!」
「ですね……」
「ほんとに、異世界人が多いのですね」
「まぁ、色々とありましたからね。――でも、月山さん」
「はい?」
「先ほどの理紗さんと言う方ですけど、大型の車を運転していましたけど、運転免許などは持っているのですか?」
「まぁ戸籍も取得していますから」
「え……ええええっ!? ど、どうやって戸籍を取得したのですか? もしかして催眠術とかで?」
「そういう不確かなモノではないので。普通に申請したみたいですよ。難民とか、そんな感じで」
「そうなのですか……。結構、日本の区役所の審査でガバガバなのですね」
「まぁ、公務員ですから」
俺は、「すまん! 公務員のみんな!」と、心の中で謝罪しつつ、適当に言い訳をする。
流石に魔法で人心を操って戸籍を作ったとか非合法的な説明はできない。
まぁ、戸籍を適当に作る時点で問題ではあるが、そこは公務員が悪いこと言う事にしておく。
「たしかに……、適当ですものね! 公務員さんは!」
ぷんぷんと怒る根室さん。
過去に何か公務員と問題でもあったのだろうか?
ただ、それを俺は知る由もないし、火中の栗を拾うような愚かな真似はしたくないので、態々、聞くような真似はしない。
「まぁ、とりあえず秘密でお願いします」
「分かりました。私は、約束は違えませんし、月山さんには何時も良くしてもらっていますから」
「ははは、ありがとうございます」
「それでは、ブルーシートでも掛けておきますか」
「雨が降って濡れたら困りますものね」
俺は、バックヤード側に置いてあるブルーシートを取りに行こうとするが、ナイルさんが既に察してくれていたのか、ブルーシートを持って店の外へと出てきた。
「ゴロウ様。ブルーシートを持ってきました」
「ありがとうございます。それでは異世界に持っていくのは4パレットありますので、全てにブルーシートをかけてもらえますか?」
「はっ」
「分かりました」
4パレット全てにブルーシートを掛けた後、縄で縛る。
3人でやった事もあり10分も掛からなかった。
「それにしても、これを異世界に持って行くのですか?」
根室さんの言葉に俺は頷く。
「はい。これは、先日、応援で頼んだ兵士というか騎士達への報酬ですから」
「あ……。そういえば台風が来る前に、月山さんが大勢の人手を手配したことをお義父さん達が言っていましたけど……、そのことだったのですね」
俺は頷きつつ――、
「そうですね。店の評判の向上のために人手を手配しました」
「そうなのですか……。じつは、月山さんは色々とやっていたんですね」
「思いつきですけどね」
俺は肩を竦める。
少しだけ根室さんからの信頼度が上がった気がする。
「いえいえ。自腹を切ってまで村に貢献することは素晴らしいことだと思います!」
「そう言って頂ければ助かります。ただ、これも皆には内緒でお願いします」
「分かっています」
それにしても、根室さんは思ったよりも適応力が高いな。
そう思っていると――、
「あの月山さん」
「はい?」
「メディーナさんは、異世界から此方に来ないんですか?」
「まだ体調が戻っていませんから。以前に根室さんにお教えした魔力枯渇の件ありましたよね?」
「あ――」
そこでハッ! と、したような表情を根室恵美さんは見せる。
「メディーナさんは魔力枯渇が原因で体調不良を起こしていて、現在は異世界で静養中なので、しばらくは出社できません」
「そうなのですか……。――でも、実際に、知っている方が魔力枯渇で出社できないと知らされると思う所がありますね。それで、メディーナさんは、どのくらいで仕事に復帰できるのですか?」
そこで、俺はジッと話を聞いていたナイルさんへと視線を向ける。
ナイルさんは頷くと――、
「根室さん。メディーナは、早ければ一週間ほどで職務に復帰できると思います」
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