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第354話 屋敷の取材(4)
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「――さて、それでは館の中を案内したいと思うが、儂は色々とする事があるが……」
そこまで、辺境伯は呟いたところで、踝さんが持ってきたアタッシュケースへと視線を向け――、
「クルブシとやら、そのケースに入っている物は何なのかの?」
「こ、これは測量機器に近いモノが入っています」
「ほう……」
辺境伯の目が鋭く光る。
「是非に異世界の測量機器と言うのを見せてもらいたい」
踝さんが、俺へと困ったような視線を向けてくるが、この場の主導権は辺境伯が握っているので、俺に何かを求められても何も出来ない。
「まぁ、見るだけならいいのでは?」
「そ、そうか……。五郎が、そういうのならいいか……」
渋々と言った様子で、アタッシュケースをテーブルの上に置くと、踝さんはダイヤルを弄り、アタッシュケースを開く。
すると、ケースの中には少し大きめの白と黒のツートンカラーのドローンが入っている。
「これは?」
「これは、ドローンと言います」
「ほう……。これが、異世界の測量機器であるか?」
「測量機器というよりも、今回は、五郎の家を作る上で参考の為に貴族の屋敷がどのようなモノなのかを見る為のモノですので――」
「見る為のモノ?」
「はい」
「ふむ……、それは、どのように運用するのか真に気になるのう。実際に運用している様子を見せて貰う事はできるかの?」
「五郎いいのか?」
「まぁ、いいんじゃないですかね」
「そうか。――ならいいが……。それでは、辺境伯様、邸宅の全体を確認したいので、外に移動してもよろしいでしょうか?」
「うむ。とても気になるからのう! 是非に、見てみたいものだ! そうであろう? 五郎」
「いや、俺に振られても……」
「まあ、よいではないか。――では、クルブシとやら。頼んだぞ」
「分かりました」
「――では、行くとするか」
まだお茶も届いていないのに、部屋から出ていく辺境伯。
俺も、辺境伯のあとをついていく。
執務室から出ると――、
「ゴロウ様。異世界に帰られるのですか?」
ナイルさんが話しかけてくるが、俺は首を左右にふる。
「辺境伯様が、測量機器を見たいと言う事になって、一度、外に行くことになりました」
「そうなのですか……。――では、私も同行いたします」
ナイルさんと共に、辺境伯の後を俺は付いていく。
そして、俺の後ろを踝さんがアタッシュケースを持って追ってくる。
「――なあ、五郎」
近くまで来ると後ろから踝さんが話しかけてくる。
「どうかしましたか?」
「どうかしたじゃねーよ。お前、自分が辺境伯家の――、貴族家の血縁関係者だって事くらいは説明しておけよ」
「別に言わなくてもいいかなと……」
「言っておいてくれないと困るんだが……。まったく――、寿命が縮んだぞ」
踝さんは、「はぁー」と、盛大に溜息をつくと、そう呟いてきた。
「それよりも異世界に日本の技術を見せても大丈夫なのか? 測量技術なんて、国力を決定するモノだろう?」
「まぁ、ドローンとか真似できないですよね」
「まぁ、それはそうだけどさ……」
「ゴロウ様。そんなに画期的な測量機器なのですか?」
俺の横を歩いていたナイルさんが気になったのか聞いてくる。
「まあ、見れば分かると思いますよ」
そもそもドローンは、測量機器ではないし……。
あくまでも邸宅の様相を見る為だけに、踝さんは持参しているだけだからな。
邸宅の外に出て、馬車が停まっている場所まで移動したところで――、
「この辺でどうかの?」
少し屋敷から離れた場所で、辺境伯が問いかけてくる。
「ここで問題ないですね」
「ふむ。では、測量技術というのを見せてもらおうとするか」
「分かりました。それでは、始めさせてもらいます」
踝さんは、アタッシュケースを芝の上に置くと、アタッシュケースを開けると、ドローンをケースの中から取り出す。
ドローンの大きさは、一抱えあるほどの大きさ。
踝さんは、ドローンを芝の上に置くと、もう一つのアタッシュケースからタブレットとコントローラ、さらにノートパソコンを取り出す。
「ふむふむ。見た事がない測量機器だのう」
興味深々と言った様子でノートパソコンと、操作コントローラや、ドローンを見ていた辺境伯を他所に、踝さんがドローンと、コントローラとノートパソコンのリンクを確立させて確認していく。
「――では、設定が終わりましたので、ドローンから離れていてください」
「ふむ」
頷く辺境伯は、俺の傍まで移動してくる。
そして周囲を確認した踝さんは、ドローンを起動させた。
ドローンの羽が高速で回転していく。
「この音は――」
「大丈夫です。辺境伯様。ドローンが飛ぶために羽を動かしているだけなので――」
「飛ぶ?」
目をパチクリさせた辺境伯は、ドローンへと視線をむける。
それと同時にドローンは、けたたましい音を鳴らしながら、浮上していき一気に大空へと羽ばたく。
「なんと! 空を飛ぶ測量機器であるか!」
「辺境伯様」
驚愕した表情のまま立ち尽くしている辺境伯に話しかける踝さん。
「それでは、こちらを確認して頂けますか?」
「……う、うむ……」
そこまで、辺境伯は呟いたところで、踝さんが持ってきたアタッシュケースへと視線を向け――、
「クルブシとやら、そのケースに入っている物は何なのかの?」
「こ、これは測量機器に近いモノが入っています」
「ほう……」
辺境伯の目が鋭く光る。
「是非に異世界の測量機器と言うのを見せてもらいたい」
踝さんが、俺へと困ったような視線を向けてくるが、この場の主導権は辺境伯が握っているので、俺に何かを求められても何も出来ない。
「まぁ、見るだけならいいのでは?」
「そ、そうか……。五郎が、そういうのならいいか……」
渋々と言った様子で、アタッシュケースをテーブルの上に置くと、踝さんはダイヤルを弄り、アタッシュケースを開く。
すると、ケースの中には少し大きめの白と黒のツートンカラーのドローンが入っている。
「これは?」
「これは、ドローンと言います」
「ほう……。これが、異世界の測量機器であるか?」
「測量機器というよりも、今回は、五郎の家を作る上で参考の為に貴族の屋敷がどのようなモノなのかを見る為のモノですので――」
「見る為のモノ?」
「はい」
「ふむ……、それは、どのように運用するのか真に気になるのう。実際に運用している様子を見せて貰う事はできるかの?」
「五郎いいのか?」
「まぁ、いいんじゃないですかね」
「そうか。――ならいいが……。それでは、辺境伯様、邸宅の全体を確認したいので、外に移動してもよろしいでしょうか?」
「うむ。とても気になるからのう! 是非に、見てみたいものだ! そうであろう? 五郎」
「いや、俺に振られても……」
「まあ、よいではないか。――では、クルブシとやら。頼んだぞ」
「分かりました」
「――では、行くとするか」
まだお茶も届いていないのに、部屋から出ていく辺境伯。
俺も、辺境伯のあとをついていく。
執務室から出ると――、
「ゴロウ様。異世界に帰られるのですか?」
ナイルさんが話しかけてくるが、俺は首を左右にふる。
「辺境伯様が、測量機器を見たいと言う事になって、一度、外に行くことになりました」
「そうなのですか……。――では、私も同行いたします」
ナイルさんと共に、辺境伯の後を俺は付いていく。
そして、俺の後ろを踝さんがアタッシュケースを持って追ってくる。
「――なあ、五郎」
近くまで来ると後ろから踝さんが話しかけてくる。
「どうかしましたか?」
「どうかしたじゃねーよ。お前、自分が辺境伯家の――、貴族家の血縁関係者だって事くらいは説明しておけよ」
「別に言わなくてもいいかなと……」
「言っておいてくれないと困るんだが……。まったく――、寿命が縮んだぞ」
踝さんは、「はぁー」と、盛大に溜息をつくと、そう呟いてきた。
「それよりも異世界に日本の技術を見せても大丈夫なのか? 測量技術なんて、国力を決定するモノだろう?」
「まぁ、ドローンとか真似できないですよね」
「まぁ、それはそうだけどさ……」
「ゴロウ様。そんなに画期的な測量機器なのですか?」
俺の横を歩いていたナイルさんが気になったのか聞いてくる。
「まあ、見れば分かると思いますよ」
そもそもドローンは、測量機器ではないし……。
あくまでも邸宅の様相を見る為だけに、踝さんは持参しているだけだからな。
邸宅の外に出て、馬車が停まっている場所まで移動したところで――、
「この辺でどうかの?」
少し屋敷から離れた場所で、辺境伯が問いかけてくる。
「ここで問題ないですね」
「ふむ。では、測量技術というのを見せてもらおうとするか」
「分かりました。それでは、始めさせてもらいます」
踝さんは、アタッシュケースを芝の上に置くと、アタッシュケースを開けると、ドローンをケースの中から取り出す。
ドローンの大きさは、一抱えあるほどの大きさ。
踝さんは、ドローンを芝の上に置くと、もう一つのアタッシュケースからタブレットとコントローラ、さらにノートパソコンを取り出す。
「ふむふむ。見た事がない測量機器だのう」
興味深々と言った様子でノートパソコンと、操作コントローラや、ドローンを見ていた辺境伯を他所に、踝さんがドローンと、コントローラとノートパソコンのリンクを確立させて確認していく。
「――では、設定が終わりましたので、ドローンから離れていてください」
「ふむ」
頷く辺境伯は、俺の傍まで移動してくる。
そして周囲を確認した踝さんは、ドローンを起動させた。
ドローンの羽が高速で回転していく。
「この音は――」
「大丈夫です。辺境伯様。ドローンが飛ぶために羽を動かしているだけなので――」
「飛ぶ?」
目をパチクリさせた辺境伯は、ドローンへと視線をむける。
それと同時にドローンは、けたたましい音を鳴らしながら、浮上していき一気に大空へと羽ばたく。
「なんと! 空を飛ぶ測量機器であるか!」
「辺境伯様」
驚愕した表情のまま立ち尽くしている辺境伯に話しかける踝さん。
「それでは、こちらを確認して頂けますか?」
「……う、うむ……」
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