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第332話 見た事のある天井だっ!
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――ガラガラ。
戸をスライドさせ、母屋へと入る。
すると、すぐに雪音さんがバスタオルを持って駆け寄ってきた。
「おかえりなさい。そんなに濡れて……、どこに行っていたのですか?」
「トイレに風避けの結界をかけてもらっていました」
「あ――」
そこで雪音さんも気が付いたようで――、
「そういえば、お客様用にお手洗いを設置していましたね。それで、五郎さんは顔色を変えて出て行ったのですね」
「そうなります」
もしトイレが倒れたりしたら、大変なことになるからな。
そうならないように、メディーナさんに風避けの結界を張ってもらったわけだし。
「とりあえず、これでうちは安全だと思います」
「それは良かったです。それでは、あとは台風が過ぎ去るのを待つだけですね」
「はい」
雪音さんから渡されたバスタオルで頭を拭きながら――、
「メディーナさん」
「はい、ゴロウ様」
「先にお風呂にどうぞ、女性が身体を冷やすのは良くないと聞きますから」
「――いえ。ゴロウ様が先に――」
「コレは命令です」
「――ッ!? わ、分かりました」
流石に無理を言って外に連れ出したからな。
濡れたのも俺のせいだし、何より先に気が付けていなかった俺が悪い。
バスタオルで水気をとったあと、お風呂から出てきたメディーナさんと交代するように俺は風呂に入った。
風呂から出ると、雪音さんが麦茶を差し出してくる。
「はい。五郎さん」
「すいません」
「ここ数日、立て続けで忙しかったですね」
「そうですね……。そういえば、桜とフーちゃんは?」
「自分の部屋で、ゲームをしていました。フーちゃんも桜ちゃんと一緒にいます」
「そうですか。メディーナさんは?」
「客間で休んでいます。何だか、結界を作るためにかなりの魔力を消費したらしいので」
「そうですか。無理は、良くないですからね」
それは仕方ない。
かなり無理をさせてしまったからな。
ただ、護衛が居なくなるのは、少し気にはなる。
ナイルさんでも居れば話は変わるが、まだ忙しいと思うし。
そういえば、村長が護衛役につけてくれた柳橋さんと宮越さんは、自宅に帰ったのだろうか。
これだけの台風の中、外で護衛をしていると言う事は無いと思うから大丈夫だと思うけど。
「はい。――ですから、五郎さんも今日はゆっくり休んでください」
「そうですね。たまには早めに休ませてもらいますか」
雪音さんの言葉通り、そう考えると急に眠気が襲ってくる。
結構、寝たつもりだったが、体は結構疲れているらしい。
「それでは、自分は早めに休ませてもらいますね」
「はい。私は桜ちゃんと寝ますから」
「お願いします」
そう言葉を返し、俺は居間に敷いてある布団に体を横たえる。
すると、すぐに俺の意識は眠りに落ちた。
――そなたの息子であるか。
唐突に聞こえた声。
目を開けて周囲を見渡す。
見える景色は見た事がない景色――、否! どこかで見た記憶がある場所だった。
回りには直径1メートルほどの大理石の柱が何十本も並んでいた。
その大理石の柱は、一本一本の長さが軽く20メートルはあろうという代物で、天井の巨大な石材を支えていた。
――なるほど、最強の魔法師の最後の血族たる汝の息子であるか。
声が聞こえてきた方へと視線を向ける。
そこには絶世と美女と言って差し障りのない銀髪の女性が立っていた。
――ほう。妾を認識したというのか? 時を超えて――。分かっておる。未来に干渉するような真似はせぬ。だが、汝は、それでよいのか?
何の話をしている? 時を超えた? ここは、どこだ?
――分かっているのだろうな? メディ―データが、世界を超えるという意味を――。……まったく仕方ない奴だ。輪禍の女神が――。
そこで、体を揺すぶられたような感触と共に、意識が薄れていく。
「わんっ!」
「おじちゃん!」
「……んんっ」
そして桜の声が聞こえてきた所で、俺は瞼を開ける。
するとそこは――、
「知っている天井だ……」
「おじちゃん! もうすぐ朝食が出来るって!」
「わんっ!」
「おはよう。桜」
「おはようなの!」
「わんっ!」
俺は寝ぼけた意識の中で、桜に朝の挨拶を交わしたあと、欠伸をしながら布団の中から出たあと、布団を片付けたあと、ちゃぶ台を畳の上に置く。
「朝食か。まずは朝食の準備の手伝いをしないとな。ちょっと顔を洗ってくる」
「はーい!」
「わんっ!」
「雪音さん、おはようございます」
「五郎さん、眠れましたか?」
「はい。おかげ様で」
何か夢を見ていたようだが、起きたら何を見ていたのか綺麗さっぱり忘れてしまった。
それよりも、まずは顔を洗ってこないとな。
脱衣所に行き、顔を洗ったあと、俺は客間をノックする。
「五郎さん。メディーナさんは、お店の方へ行ってます。何でも台風が過ぎたので結界を解除するとか」
「そうでしたか」
それじゃ、朝食準備の手伝いをするとするか。
朝食を作るのは雪音さんに任せて、俺は桜と一緒にお皿などを出していく。
そうしていると、メディーナさんが母屋に帰ってきた。
戸をスライドさせ、母屋へと入る。
すると、すぐに雪音さんがバスタオルを持って駆け寄ってきた。
「おかえりなさい。そんなに濡れて……、どこに行っていたのですか?」
「トイレに風避けの結界をかけてもらっていました」
「あ――」
そこで雪音さんも気が付いたようで――、
「そういえば、お客様用にお手洗いを設置していましたね。それで、五郎さんは顔色を変えて出て行ったのですね」
「そうなります」
もしトイレが倒れたりしたら、大変なことになるからな。
そうならないように、メディーナさんに風避けの結界を張ってもらったわけだし。
「とりあえず、これでうちは安全だと思います」
「それは良かったです。それでは、あとは台風が過ぎ去るのを待つだけですね」
「はい」
雪音さんから渡されたバスタオルで頭を拭きながら――、
「メディーナさん」
「はい、ゴロウ様」
「先にお風呂にどうぞ、女性が身体を冷やすのは良くないと聞きますから」
「――いえ。ゴロウ様が先に――」
「コレは命令です」
「――ッ!? わ、分かりました」
流石に無理を言って外に連れ出したからな。
濡れたのも俺のせいだし、何より先に気が付けていなかった俺が悪い。
バスタオルで水気をとったあと、お風呂から出てきたメディーナさんと交代するように俺は風呂に入った。
風呂から出ると、雪音さんが麦茶を差し出してくる。
「はい。五郎さん」
「すいません」
「ここ数日、立て続けで忙しかったですね」
「そうですね……。そういえば、桜とフーちゃんは?」
「自分の部屋で、ゲームをしていました。フーちゃんも桜ちゃんと一緒にいます」
「そうですか。メディーナさんは?」
「客間で休んでいます。何だか、結界を作るためにかなりの魔力を消費したらしいので」
「そうですか。無理は、良くないですからね」
それは仕方ない。
かなり無理をさせてしまったからな。
ただ、護衛が居なくなるのは、少し気にはなる。
ナイルさんでも居れば話は変わるが、まだ忙しいと思うし。
そういえば、村長が護衛役につけてくれた柳橋さんと宮越さんは、自宅に帰ったのだろうか。
これだけの台風の中、外で護衛をしていると言う事は無いと思うから大丈夫だと思うけど。
「はい。――ですから、五郎さんも今日はゆっくり休んでください」
「そうですね。たまには早めに休ませてもらいますか」
雪音さんの言葉通り、そう考えると急に眠気が襲ってくる。
結構、寝たつもりだったが、体は結構疲れているらしい。
「それでは、自分は早めに休ませてもらいますね」
「はい。私は桜ちゃんと寝ますから」
「お願いします」
そう言葉を返し、俺は居間に敷いてある布団に体を横たえる。
すると、すぐに俺の意識は眠りに落ちた。
――そなたの息子であるか。
唐突に聞こえた声。
目を開けて周囲を見渡す。
見える景色は見た事がない景色――、否! どこかで見た記憶がある場所だった。
回りには直径1メートルほどの大理石の柱が何十本も並んでいた。
その大理石の柱は、一本一本の長さが軽く20メートルはあろうという代物で、天井の巨大な石材を支えていた。
――なるほど、最強の魔法師の最後の血族たる汝の息子であるか。
声が聞こえてきた方へと視線を向ける。
そこには絶世と美女と言って差し障りのない銀髪の女性が立っていた。
――ほう。妾を認識したというのか? 時を超えて――。分かっておる。未来に干渉するような真似はせぬ。だが、汝は、それでよいのか?
何の話をしている? 時を超えた? ここは、どこだ?
――分かっているのだろうな? メディ―データが、世界を超えるという意味を――。……まったく仕方ない奴だ。輪禍の女神が――。
そこで、体を揺すぶられたような感触と共に、意識が薄れていく。
「わんっ!」
「おじちゃん!」
「……んんっ」
そして桜の声が聞こえてきた所で、俺は瞼を開ける。
するとそこは――、
「知っている天井だ……」
「おじちゃん! もうすぐ朝食が出来るって!」
「わんっ!」
「おはよう。桜」
「おはようなの!」
「わんっ!」
俺は寝ぼけた意識の中で、桜に朝の挨拶を交わしたあと、欠伸をしながら布団の中から出たあと、布団を片付けたあと、ちゃぶ台を畳の上に置く。
「朝食か。まずは朝食の準備の手伝いをしないとな。ちょっと顔を洗ってくる」
「はーい!」
「わんっ!」
「雪音さん、おはようございます」
「五郎さん、眠れましたか?」
「はい。おかげ様で」
何か夢を見ていたようだが、起きたら何を見ていたのか綺麗さっぱり忘れてしまった。
それよりも、まずは顔を洗ってこないとな。
脱衣所に行き、顔を洗ったあと、俺は客間をノックする。
「五郎さん。メディーナさんは、お店の方へ行ってます。何でも台風が過ぎたので結界を解除するとか」
「そうでしたか」
それじゃ、朝食準備の手伝いをするとするか。
朝食を作るのは雪音さんに任せて、俺は桜と一緒にお皿などを出していく。
そうしていると、メディーナさんが母屋に帰ってきた。
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