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第331話 迷探偵ゴロウ
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それにしても風を司る龍神か……。
そんな存在からの加護を得られるなんて――、
「あれ? もしかして……」
「どうかなさいましたか? ゴロウ様」
「前に婚約うんたら言っていたじゃないですか? もしかして龍神と婚約しているのって、ナイルさんだったりしますか?」
それだと根室恵美さんには酷だよな。
そもそも俺から見たら、ナイルさんも、根室恵美さんもお互い意識し合っているように見えるし……。
だが、ナイルさんが龍神と婚約しているとなると、風の加護を得られたのにも説明がつく。
ただ、そんなすごい加護を得ていたのなら、ノーマン辺境伯が俺に話さない訳がないんだよな……。
そう考えると、メディーナさんが契約しているのか? とも思ったが、また、それは違う気がする。
「違いますよ?」
「そうですか……」
「はい。龍神の加護は、現在は竜帝国の王族からしか受けることはできませんので――」
「竜帝国……、それってこっちの世界の国じゃないですよね?」
「はい。エルム王国の隣国です」
「なるほど……、あと竜帝国って、国力的には……」
「アガルタの世界においては、世界最強の国です。竜帝国一国で、アガルタの世界、全ての国を攻め滅ぼせる軍事力を有しています」
「あー」
それなら、俺には一切関係の無い国だな。
それにしても、そう説明されると、ますます分からないな。
だって、そうだろ? ナイルさんか、メディーナさんが、龍神というか竜帝国の王族と繋がりがあるのなら、間違いなくノーマン辺境伯は俺に説明してくる。
渋る理由がない。
それどころか地球に派遣する訳がない。
つまり、龍神が婚約しているのはナイルさんでもメディーナさんでもない。
――と、いうことは加護を得られて尚且つ異世界に行った事がある人物! 消去法で考えるのなら、藤和さんか姪っ子の桜か雪音さんと言ったところだろう。
だが、藤和さんと雪音さんは常に俺と行動を共にしていたし、そういうことはないだろう。
――と、なると、可能性としてもっとも高いのは桜か?
いや、流石に王族が町中でウロウロしているわけがないだろう。
「あ……」
「どうかなさいましたか?」
気が付いてしまった。
龍神の加護を得ている人物に心当たりがある。
しかも、高貴な人が3人も地球に来ているじゃないか。
「なるほど、分かりました」
「何がですか?」
「いえ。龍神と婚約している人物に心当たりが――、その人物が分かったんです」
「え? ええええええー」
大声を上げるメディーナさん。
しかも一瞬で顔面蒼白。
「ゴ、ゴロウ様……」
「大丈夫ですよ。気を使わなくても。俺には、全てお見通しです」
俺は生まれたての小鹿なみに体を震わせているメディーナさんの肩に手を置き落ち着かせるように優しく語り掛ける。
「――で、ですが……」
まぁ、俺も公言するつもりはない。
そして、他人の恋路に関して――、婚約に関して、とやかく言うつもりもない。
そう! 龍神と婚約しているであろうエメラス・フォン・クラウス侯爵令嬢の事に関しては何も言うつもりはない!
「大丈夫です。侯爵令嬢が、龍神と婚約していると言う事は一切! 公言するつもりはありませんから安心してください」
「――え? ど、どうして……、クラウス家の侯爵令嬢様の名前が?」
呆気に取られたような表情をしたメディーナさんが、そんな事を口にする。
やれやれ――、俺の口から答え合わせを聞きたいのか。
仕方ないな。
「まず第一に、ナイルさんかメディーナさんが、龍神と婚約をしていたら、間違いなくノーマン辺境伯様は、こちらの世界に二人を俺の警護のためとは言え派遣してないと思います。そして、もし仮に派遣したとしても、そういう重大なことは、話してくれていると思うので、お二人が竜国の王族と婚約関係にあるという可能性はないと推測できます」
「はあ……」
何だか呆れたような表情をして俺を見てくるが、俺の名探偵ばりの名推理は、ここからが本番だ。
「そうなると、あとは異世界と繋がりのある人物がピックアップされますが、雪音さんと藤和さんは、俺と常に行動を共にしていたので、その可能性も薄いです」
「……」
「――と、なると桜が、一人で異世界を出歩いた時かと思いましたが、軍事力が最強の国家の王族が、町中にいるとは考えられません」
「……」
「と、なると桜でもない」
俺は額に手を当てる。
「そうなると俺の身近でなく、ごく最近! 地球に来た異世界人が、竜国の王族と婚約していると考えられる!」
「えっと、つまり誰と婚約されているとゴロウ様は、考えておられるのですか?」
「リーシャは、俺と婚約していて、ルイーズ王女も、それは一緒です。つまり! 残された選択肢は! クラウス侯爵令嬢のエメラスさんになるということです!」
「はい! 正解です。では、母屋に戻りましょう」
「――あ、あれ?」
すごく淡泊な返し方してきたんだが?
溜息をつき、風の加護の円の中から出ていくメディーナさん。
「メディーナさん? 俺の推理正解ですよね?」
「はい、正解です。――ですから、早く戻りましょう。これ以上、風が強くなったら困りますから」
強風に煽られているメディーナさんの返しは本当に容赦ないが正解だと答えてきている以上、正解なのだろう。
まるで俺の推理が間違っているような態度を取られたからビックリしたな。
そんな存在からの加護を得られるなんて――、
「あれ? もしかして……」
「どうかなさいましたか? ゴロウ様」
「前に婚約うんたら言っていたじゃないですか? もしかして龍神と婚約しているのって、ナイルさんだったりしますか?」
それだと根室恵美さんには酷だよな。
そもそも俺から見たら、ナイルさんも、根室恵美さんもお互い意識し合っているように見えるし……。
だが、ナイルさんが龍神と婚約しているとなると、風の加護を得られたのにも説明がつく。
ただ、そんなすごい加護を得ていたのなら、ノーマン辺境伯が俺に話さない訳がないんだよな……。
そう考えると、メディーナさんが契約しているのか? とも思ったが、また、それは違う気がする。
「違いますよ?」
「そうですか……」
「はい。龍神の加護は、現在は竜帝国の王族からしか受けることはできませんので――」
「竜帝国……、それってこっちの世界の国じゃないですよね?」
「はい。エルム王国の隣国です」
「なるほど……、あと竜帝国って、国力的には……」
「アガルタの世界においては、世界最強の国です。竜帝国一国で、アガルタの世界、全ての国を攻め滅ぼせる軍事力を有しています」
「あー」
それなら、俺には一切関係の無い国だな。
それにしても、そう説明されると、ますます分からないな。
だって、そうだろ? ナイルさんか、メディーナさんが、龍神というか竜帝国の王族と繋がりがあるのなら、間違いなくノーマン辺境伯は俺に説明してくる。
渋る理由がない。
それどころか地球に派遣する訳がない。
つまり、龍神が婚約しているのはナイルさんでもメディーナさんでもない。
――と、いうことは加護を得られて尚且つ異世界に行った事がある人物! 消去法で考えるのなら、藤和さんか姪っ子の桜か雪音さんと言ったところだろう。
だが、藤和さんと雪音さんは常に俺と行動を共にしていたし、そういうことはないだろう。
――と、なると、可能性としてもっとも高いのは桜か?
いや、流石に王族が町中でウロウロしているわけがないだろう。
「あ……」
「どうかなさいましたか?」
気が付いてしまった。
龍神の加護を得ている人物に心当たりがある。
しかも、高貴な人が3人も地球に来ているじゃないか。
「なるほど、分かりました」
「何がですか?」
「いえ。龍神と婚約している人物に心当たりが――、その人物が分かったんです」
「え? ええええええー」
大声を上げるメディーナさん。
しかも一瞬で顔面蒼白。
「ゴ、ゴロウ様……」
「大丈夫ですよ。気を使わなくても。俺には、全てお見通しです」
俺は生まれたての小鹿なみに体を震わせているメディーナさんの肩に手を置き落ち着かせるように優しく語り掛ける。
「――で、ですが……」
まぁ、俺も公言するつもりはない。
そして、他人の恋路に関して――、婚約に関して、とやかく言うつもりもない。
そう! 龍神と婚約しているであろうエメラス・フォン・クラウス侯爵令嬢の事に関しては何も言うつもりはない!
「大丈夫です。侯爵令嬢が、龍神と婚約していると言う事は一切! 公言するつもりはありませんから安心してください」
「――え? ど、どうして……、クラウス家の侯爵令嬢様の名前が?」
呆気に取られたような表情をしたメディーナさんが、そんな事を口にする。
やれやれ――、俺の口から答え合わせを聞きたいのか。
仕方ないな。
「まず第一に、ナイルさんかメディーナさんが、龍神と婚約をしていたら、間違いなくノーマン辺境伯様は、こちらの世界に二人を俺の警護のためとは言え派遣してないと思います。そして、もし仮に派遣したとしても、そういう重大なことは、話してくれていると思うので、お二人が竜国の王族と婚約関係にあるという可能性はないと推測できます」
「はあ……」
何だか呆れたような表情をして俺を見てくるが、俺の名探偵ばりの名推理は、ここからが本番だ。
「そうなると、あとは異世界と繋がりのある人物がピックアップされますが、雪音さんと藤和さんは、俺と常に行動を共にしていたので、その可能性も薄いです」
「……」
「――と、なると桜が、一人で異世界を出歩いた時かと思いましたが、軍事力が最強の国家の王族が、町中にいるとは考えられません」
「……」
「と、なると桜でもない」
俺は額に手を当てる。
「そうなると俺の身近でなく、ごく最近! 地球に来た異世界人が、竜国の王族と婚約していると考えられる!」
「えっと、つまり誰と婚約されているとゴロウ様は、考えておられるのですか?」
「リーシャは、俺と婚約していて、ルイーズ王女も、それは一緒です。つまり! 残された選択肢は! クラウス侯爵令嬢のエメラスさんになるということです!」
「はい! 正解です。では、母屋に戻りましょう」
「――あ、あれ?」
すごく淡泊な返し方してきたんだが?
溜息をつき、風の加護の円の中から出ていくメディーナさん。
「メディーナさん? 俺の推理正解ですよね?」
「はい、正解です。――ですから、早く戻りましょう。これ以上、風が強くなったら困りますから」
強風に煽られているメディーナさんの返しは本当に容赦ないが正解だと答えてきている以上、正解なのだろう。
まるで俺の推理が間違っているような態度を取られたからビックリしたな。
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