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第322話 フーちゃんと仲良くしよう
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夕飯を食べたあとは、桜と雪音さんがお風呂に入っている間、
「フーちゃん、暇だな」
「わうーっ」
ぐたーっと俺の布団の上で伏せているフーちゃんは怠そうに言葉を返してくる。
返してくるというか吠えてくるというか何と言うか微妙な感じだが。
俺は、横になりながら、フーちゃんのお腹をさする。
「わうっ!?」
フーちゃんのお腹をさすったところでビクッ! と、動いたかと思うと、フーちゃんが、俺から距離を取る。
「ガルルルルルッ」
「いや、触って欲しそうにしていたから触ったんだろう?」
「わんっ! わんっ!」
どうやら、俺にお腹を触られた事が気に入らなかったらしい。
「はいはい。もう、触らないから」
「わうううう」
不信感な感じというかオーラというか、そんな雰囲気なフーちゃんは、俺の布団の上で、伏せるようにして目を閉じた。
「まったく、俺が寝るベッドを占領するとは……」
どう考えても、ご主人様が寝るベッドを占領する時点で、フーちゃんは飼い犬として躾がキチンと出来てないと思うんだが……。
それにしては、俺以外には、それなりに対応しているんだよな。
「ふっ――」
触らないと言ったが! 添い寝しないとは言っていない!
ここはご主人様の威厳を見せるしかない。
俺は、畳の上で横になっていたが、畳の上をゴロゴロと転がりつつ、布団の中に突っ込み――、さらにフーちゃんを抱きかかえる。
「わふっ!? わふうううううう」
何だが知らないが犬らしからぬ声で何か言っているが、フーちゃんは所詮は仔犬。
そして、フーちゃんは、俺の腕の中にすっぽりと入ってしまっている。
つまり何が言いたいのかと言うと、フーちゃんは身動きが取れないまま、俺の抱き枕状態になっているのだ。
「お前、温かいな」
「わう! わう! わううう」
「ふっ。必死に暴れて逃れようとしても、体格差から逃れることは不可能だろ? さて――、肌寒くなってきたし、今日は一緒に寝るか!」
「わうっ!?」
スピッツのようなモフモフな毛並み。
フーちゃんの毛並みは素晴らしい。
フーちゃんの体を触っていると――、俺は思い出す。
「そういえば、フーちゃんは雌だったよな!」
「ガルルルルルルルルッ!」
超お怒り気味になったフーちゃんが爪をシャキン! と、伸ばし俺の皮膚に爪を突き立てるが、所詮は仔犬の爪。
さらに、雪音さんが丁寧に爪切りをしているからなのか、尖ってないから刺さることもない。
「わうーっ」
「フーちゃん。今日は、ゆっくりと語り合おうじゃないか」
まぁ、話は出来ないから語り合うという事はできないがな。
「五郎さん。お風呂から出てきました」
「あ、雪音さん」
「五郎さん、何をしているのですか?」
「フーちゃんとコミュニケーションっを取っています」
「わううううううっ」
「何だか、フーちゃんが、すごーっく嫌そうな顔をしていますけど?」
「気のせいですよ。そうだよな! フーちゃん!」
「わうわうわうううう。ハッ! ハッ! ハッ! ハッ!」
「やっぱり、フーちゃんは桜ちゃんの方が良いみたいですよ?」
「そうですか?」
雪音さんと会話をしている間にも、トタトタと軽い音が近づいてきたかと思うと、台所の通路から桜が顔を出してくる。
「おじちゃん! フーちゃんは?」
「ここに居るぞ?」
俺は、抱き抱えていたフーちゃんを解放する。
すると、フーちゃんは走って桜のパジャマを登っていくと、桜の頭の上に座ると、伏せた。
「わーふ」
「おじちゃん、フーちゃんが疲れたって言っているの」
「ひどいなあ! フーちゃんとは友情を芽生えさせたと思ったのにな……」
「ガルルルルッ」
どうやら、フーちゃんは、俺とは仲良くなりたいとは思っていないようだ。
おかしいな。
フーちゃんには料理も作ったというのに。
「それじゃ、おじちゃん! おやすみなさいなの!」
「おやすみ」
「それでは、五郎さん、おやすみなさい」
「ああ。お休み」
雪音さんと桜とフーちゃんが桜の部屋に入っていくのを見届けたあと、俺は消灯し布団の上に寝転がり目を閉じた。
翌朝は、午前6時に目が覚めた。
まだ雪音さんは起きてきていないようで、俺は久しぶりに一人、スウェットを着て外へと出た。
「今日は、清々しい一日だな」
俺は一人呟きながら家の裏側を流れる川へと向かう。
そして、河原まで来たところで、メディーナさんが川の中で腰まで浸かっているのが見えた。
「何かの修行か? そういえば、今日からは台風が来るんだよな?」
空を見れば、まだ快晴ではあったが、遥か西の空は黒い雲で覆われていた。
「昼までには天気は崩れそうだな……」
俺は、視線をメディーナさんに向けてから呟く。
すると俺の視界の中で、メディーナさんが川に浸かったまま蹴りなどをしていた。
川の中では重心も安定しないというのに、その動きは流れる水の如く安定していた。
さすがは熊を素手で圧倒しただけはある。
普段から、ああいう鍛錬をしているのだろう。
「――あ、ゴロウ様! どうかされましたか?」
俺の視線に気が付いたメディーナさんの方から俺に話しかけてきた。
「フーちゃん、暇だな」
「わうーっ」
ぐたーっと俺の布団の上で伏せているフーちゃんは怠そうに言葉を返してくる。
返してくるというか吠えてくるというか何と言うか微妙な感じだが。
俺は、横になりながら、フーちゃんのお腹をさする。
「わうっ!?」
フーちゃんのお腹をさすったところでビクッ! と、動いたかと思うと、フーちゃんが、俺から距離を取る。
「ガルルルルルッ」
「いや、触って欲しそうにしていたから触ったんだろう?」
「わんっ! わんっ!」
どうやら、俺にお腹を触られた事が気に入らなかったらしい。
「はいはい。もう、触らないから」
「わうううう」
不信感な感じというかオーラというか、そんな雰囲気なフーちゃんは、俺の布団の上で、伏せるようにして目を閉じた。
「まったく、俺が寝るベッドを占領するとは……」
どう考えても、ご主人様が寝るベッドを占領する時点で、フーちゃんは飼い犬として躾がキチンと出来てないと思うんだが……。
それにしては、俺以外には、それなりに対応しているんだよな。
「ふっ――」
触らないと言ったが! 添い寝しないとは言っていない!
ここはご主人様の威厳を見せるしかない。
俺は、畳の上で横になっていたが、畳の上をゴロゴロと転がりつつ、布団の中に突っ込み――、さらにフーちゃんを抱きかかえる。
「わふっ!? わふうううううう」
何だが知らないが犬らしからぬ声で何か言っているが、フーちゃんは所詮は仔犬。
そして、フーちゃんは、俺の腕の中にすっぽりと入ってしまっている。
つまり何が言いたいのかと言うと、フーちゃんは身動きが取れないまま、俺の抱き枕状態になっているのだ。
「お前、温かいな」
「わう! わう! わううう」
「ふっ。必死に暴れて逃れようとしても、体格差から逃れることは不可能だろ? さて――、肌寒くなってきたし、今日は一緒に寝るか!」
「わうっ!?」
スピッツのようなモフモフな毛並み。
フーちゃんの毛並みは素晴らしい。
フーちゃんの体を触っていると――、俺は思い出す。
「そういえば、フーちゃんは雌だったよな!」
「ガルルルルルルルルッ!」
超お怒り気味になったフーちゃんが爪をシャキン! と、伸ばし俺の皮膚に爪を突き立てるが、所詮は仔犬の爪。
さらに、雪音さんが丁寧に爪切りをしているからなのか、尖ってないから刺さることもない。
「わうーっ」
「フーちゃん。今日は、ゆっくりと語り合おうじゃないか」
まぁ、話は出来ないから語り合うという事はできないがな。
「五郎さん。お風呂から出てきました」
「あ、雪音さん」
「五郎さん、何をしているのですか?」
「フーちゃんとコミュニケーションっを取っています」
「わううううううっ」
「何だか、フーちゃんが、すごーっく嫌そうな顔をしていますけど?」
「気のせいですよ。そうだよな! フーちゃん!」
「わうわうわうううう。ハッ! ハッ! ハッ! ハッ!」
「やっぱり、フーちゃんは桜ちゃんの方が良いみたいですよ?」
「そうですか?」
雪音さんと会話をしている間にも、トタトタと軽い音が近づいてきたかと思うと、台所の通路から桜が顔を出してくる。
「おじちゃん! フーちゃんは?」
「ここに居るぞ?」
俺は、抱き抱えていたフーちゃんを解放する。
すると、フーちゃんは走って桜のパジャマを登っていくと、桜の頭の上に座ると、伏せた。
「わーふ」
「おじちゃん、フーちゃんが疲れたって言っているの」
「ひどいなあ! フーちゃんとは友情を芽生えさせたと思ったのにな……」
「ガルルルルッ」
どうやら、フーちゃんは、俺とは仲良くなりたいとは思っていないようだ。
おかしいな。
フーちゃんには料理も作ったというのに。
「それじゃ、おじちゃん! おやすみなさいなの!」
「おやすみ」
「それでは、五郎さん、おやすみなさい」
「ああ。お休み」
雪音さんと桜とフーちゃんが桜の部屋に入っていくのを見届けたあと、俺は消灯し布団の上に寝転がり目を閉じた。
翌朝は、午前6時に目が覚めた。
まだ雪音さんは起きてきていないようで、俺は久しぶりに一人、スウェットを着て外へと出た。
「今日は、清々しい一日だな」
俺は一人呟きながら家の裏側を流れる川へと向かう。
そして、河原まで来たところで、メディーナさんが川の中で腰まで浸かっているのが見えた。
「何かの修行か? そういえば、今日からは台風が来るんだよな?」
空を見れば、まだ快晴ではあったが、遥か西の空は黒い雲で覆われていた。
「昼までには天気は崩れそうだな……」
俺は、視線をメディーナさんに向けてから呟く。
すると俺の視界の中で、メディーナさんが川に浸かったまま蹴りなどをしていた。
川の中では重心も安定しないというのに、その動きは流れる水の如く安定していた。
さすがは熊を素手で圧倒しただけはある。
普段から、ああいう鍛錬をしているのだろう。
「――あ、ゴロウ様! どうかされましたか?」
俺の視線に気が付いたメディーナさんの方から俺に話しかけてきた。
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