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第290話 雪音さんとの語らい
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――翌朝。
何時ものように、家族で朝食を食べ、午前9時近くになったところで、店を開店させる。
結局、いつものように毎日を過ごすことを俺と雪音さんは決めた。
あまり気を使う事は良くないと思ったからだ。
店を開店させたあとは、メディーナさんとナイルさんの手を借り商品を補充したあと、しばらくして根室恵美さんが、娘の和美ちゃんを連れて出社してきた。
根室さんとナイルさん、メディーナさんに仕事を任せたあと、俺は一端、和美ちゃんと共に母屋に戻る。
「ただいま」
「五郎さん、おかえりなさい」
俺が帰ってくるのが分かっていたかのように、雪音さんが玄関で出迎えてくれる。
すると雪音さんの足元にはフーちゃんいた。
犬は主人が帰ってくる前に分かるらしいから、おそらくフーちゃんが先に玄関に行って知らせたのかも知れない。
「おじちゃん、お帰りなさい」
トタトタと廊下を軽い音を鳴らしながら近づいてくる桜が、そう俺に挨拶をしてくる。
「ああ。ただいま」
そう俺は言葉を返す。
すると、俺の横にいた和美ちゃんは――、「桜ちゃん。今日もきたよ!」と、元気よく声をかけた。
その言葉に桜も頷く。
「うん。部屋にいくの」
和美ちゃんを連れていく桜。
その後ろを、フーちゃんが付いていく。
「和美ちゃんが来てくれて気分転換になってくれているみたいですね」
「そうですね、同年代の女の子が友達に居る事はよかったです」
あとはフーちゃんが居る事とか、アニマルセラピーになっているかも知れない。
居間で、紀元前の頃の歴史などを勉強していたところで――、
「おっさん! おっさん!」
居間に入ってくる和美ちゃんは、俺に抱き着いてきた。
「どうした?」
「桜ちゃんが手加減をしてくれなくてボコボコにされたんだよ! 今日の、桜ちゃんは鬼神だよ!」
「そっかー」
どうやら、サンドバックにされているらしい。
だが、そこは和美ちゃんに頑張ってもらおう。
「おじちゃんの邪魔をしたら駄目」
すると、和美ちゃんを追って来た桜が頭の上にフーちゃんを乗せて登場する。
「まっ、待って!」
「待たない。さあ、コンボの練習をするの」
「うわあああああ、おっさんんん」
「俺はお兄さんだ」
連れていかれる和美ちゃん。
がんばってくれと、俺は心の中でエールだけしておく。
二人と一匹が去ったあと――、
「二人とも仲がいいですね」
――と、洗濯物をカゴに入れて居間に入ってきた雪音さんが話しかけてくる。
「そうですね」
俺も相槌を打つ。
いつもの日常に、いつものこと。
それらは本当にいつも通りで――。
雪音さんは、俺と言葉を交わした後、縁側から外に出て洗濯物を干していく。
「そういえば、五郎さん」
「はい?」
「辺境伯様には、後継者となる許可は取られたのですよね?」
縁側から少し大きめの声で、俺に話しかけてくる雪音さん。
「そうですね。ただ、辺境伯の寄り子に知らせる事と王家の許可と承認を取り付ける必要があるようなので、正式にはまだですね」
「寄り子ですか。そういえば、辺境伯様には親族は居ないのですか? 貴族だと、多くの血縁の方がいるイメージがありますけど……」
「詳しくは聞いていませんが、ノーマン辺境伯の血縁者は、今の所は、俺と桜だけですね」
「そうなのですか」
雪音さんは、少し考えたあと――、
「そういえばノーマン辺境伯も、病を患っていたのですよね?」
「そうですね」
「その病は重い物だったのですか?」
「最初は結核でした」
「最初は?」
「そのあと、毒を盛られていたので」
「それって……大丈夫なのですか?」
「一応、全ては解決したそうです」
「それは良かったです。――なら、いまは全て解決しているということですね」
「そうなりますね。ですから、今は、ノーマン辺境伯領内は問題ないと思います。完全に安全とは言えないと思いますが――」
ただ王家が、此方側と利益があると考えてルイーズ王女殿下を嫁がせてきている以上、王宮と王家側は問題ないはず。
問題は寄り子の方だが、そちらはノーマン辺境伯次第と言ったところだろう。
「そうですね、完璧という事はありませんからね。そう考えますと、桜ちゃんを異世界に連れて行く時は気を付けた方がいいですね」
「そのことですけど、桜は、異世界とは極力関わらせないようにしようと思っています。王家に利用されるのは俺としては気にいらないので」
「――でも、それですと何か言われるのでは?」
「まぁ、そこは、こちらも王宮側に利益を与えているので、ある程度の無理は聞いてもらえると思っています」
流石に、ルイーズ王女殿下との間に子供が出来たら、その子供をルイズ辺境伯領の領主に将来的にしようと考えているとは今の段階では言えない。
それに、異世界人が地球では魔力欠乏症になって死に直面するのと同じように、地球人が異世界に長くとどまった時に何か弊害が起きないとは言えないからな。
それなら、適材適所と言った感じで、ルイーズ王女殿下には辺境伯領を――、雪音さんには、こちらの世界をと考えた方がいいだろう。
何時ものように、家族で朝食を食べ、午前9時近くになったところで、店を開店させる。
結局、いつものように毎日を過ごすことを俺と雪音さんは決めた。
あまり気を使う事は良くないと思ったからだ。
店を開店させたあとは、メディーナさんとナイルさんの手を借り商品を補充したあと、しばらくして根室恵美さんが、娘の和美ちゃんを連れて出社してきた。
根室さんとナイルさん、メディーナさんに仕事を任せたあと、俺は一端、和美ちゃんと共に母屋に戻る。
「ただいま」
「五郎さん、おかえりなさい」
俺が帰ってくるのが分かっていたかのように、雪音さんが玄関で出迎えてくれる。
すると雪音さんの足元にはフーちゃんいた。
犬は主人が帰ってくる前に分かるらしいから、おそらくフーちゃんが先に玄関に行って知らせたのかも知れない。
「おじちゃん、お帰りなさい」
トタトタと廊下を軽い音を鳴らしながら近づいてくる桜が、そう俺に挨拶をしてくる。
「ああ。ただいま」
そう俺は言葉を返す。
すると、俺の横にいた和美ちゃんは――、「桜ちゃん。今日もきたよ!」と、元気よく声をかけた。
その言葉に桜も頷く。
「うん。部屋にいくの」
和美ちゃんを連れていく桜。
その後ろを、フーちゃんが付いていく。
「和美ちゃんが来てくれて気分転換になってくれているみたいですね」
「そうですね、同年代の女の子が友達に居る事はよかったです」
あとはフーちゃんが居る事とか、アニマルセラピーになっているかも知れない。
居間で、紀元前の頃の歴史などを勉強していたところで――、
「おっさん! おっさん!」
居間に入ってくる和美ちゃんは、俺に抱き着いてきた。
「どうした?」
「桜ちゃんが手加減をしてくれなくてボコボコにされたんだよ! 今日の、桜ちゃんは鬼神だよ!」
「そっかー」
どうやら、サンドバックにされているらしい。
だが、そこは和美ちゃんに頑張ってもらおう。
「おじちゃんの邪魔をしたら駄目」
すると、和美ちゃんを追って来た桜が頭の上にフーちゃんを乗せて登場する。
「まっ、待って!」
「待たない。さあ、コンボの練習をするの」
「うわあああああ、おっさんんん」
「俺はお兄さんだ」
連れていかれる和美ちゃん。
がんばってくれと、俺は心の中でエールだけしておく。
二人と一匹が去ったあと――、
「二人とも仲がいいですね」
――と、洗濯物をカゴに入れて居間に入ってきた雪音さんが話しかけてくる。
「そうですね」
俺も相槌を打つ。
いつもの日常に、いつものこと。
それらは本当にいつも通りで――。
雪音さんは、俺と言葉を交わした後、縁側から外に出て洗濯物を干していく。
「そういえば、五郎さん」
「はい?」
「辺境伯様には、後継者となる許可は取られたのですよね?」
縁側から少し大きめの声で、俺に話しかけてくる雪音さん。
「そうですね。ただ、辺境伯の寄り子に知らせる事と王家の許可と承認を取り付ける必要があるようなので、正式にはまだですね」
「寄り子ですか。そういえば、辺境伯様には親族は居ないのですか? 貴族だと、多くの血縁の方がいるイメージがありますけど……」
「詳しくは聞いていませんが、ノーマン辺境伯の血縁者は、今の所は、俺と桜だけですね」
「そうなのですか」
雪音さんは、少し考えたあと――、
「そういえばノーマン辺境伯も、病を患っていたのですよね?」
「そうですね」
「その病は重い物だったのですか?」
「最初は結核でした」
「最初は?」
「そのあと、毒を盛られていたので」
「それって……大丈夫なのですか?」
「一応、全ては解決したそうです」
「それは良かったです。――なら、いまは全て解決しているということですね」
「そうなりますね。ですから、今は、ノーマン辺境伯領内は問題ないと思います。完全に安全とは言えないと思いますが――」
ただ王家が、此方側と利益があると考えてルイーズ王女殿下を嫁がせてきている以上、王宮と王家側は問題ないはず。
問題は寄り子の方だが、そちらはノーマン辺境伯次第と言ったところだろう。
「そうですね、完璧という事はありませんからね。そう考えますと、桜ちゃんを異世界に連れて行く時は気を付けた方がいいですね」
「そのことですけど、桜は、異世界とは極力関わらせないようにしようと思っています。王家に利用されるのは俺としては気にいらないので」
「――でも、それですと何か言われるのでは?」
「まぁ、そこは、こちらも王宮側に利益を与えているので、ある程度の無理は聞いてもらえると思っています」
流石に、ルイーズ王女殿下との間に子供が出来たら、その子供をルイズ辺境伯領の領主に将来的にしようと考えているとは今の段階では言えない。
それに、異世界人が地球では魔力欠乏症になって死に直面するのと同じように、地球人が異世界に長くとどまった時に何か弊害が起きないとは言えないからな。
それなら、適材適所と言った感じで、ルイーズ王女殿下には辺境伯領を――、雪音さんには、こちらの世界をと考えた方がいいだろう。
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