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第211話 王家側との交渉(1)
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それを見て、俺はホッと胸をなでおろす。
藤和さんに、ヘリに国王陛下を乗せると説明した時に俺は藤和さんに言われた。
それなら日本の建築レベルを同時に見せる方がいいと。
愚王でもない限り、建築レベルを見れば、その国の国力を分かるはずだと。
「『してゴロウ』」
「『はい?』」
「『秋田市には何人ほどが住んでおるのだ?』」
「『秋田市だけだと31万人ですね』」
「『ほう。それが一都市となると――、』」
「『秋田県だと、人口は100万人近くになります。日本国全体ですと、1億2000万人を超えます』」
「『……冗談にしか聞こえない数字だが、本当なのだな?』」
辺境伯は、東京都や静岡に視察に伺ったはず。
なのに、敢えて聞いてきたということは……、国王陛下に遠回しに釘をさすといったところか。
「『本当です』」
「『わ、我が、王国の100倍以上……』」
あ――、これは、かなりショックを受けているような気がする。
「『月山様』」
第一王女も、顔色が悪い。
「『それでは迎賓館へと向かいます』」
十分にインパクトを与えたと思い、俺は迎賓館へとヘリの進路を向けた。
迎賓館のヘリポートに到着したところで、俺は運転席から移動し外へと通じるドアをスライドさせて開ける。
「到着しました。皆様、お降りください」
そう告げるが、誰一人降りようとしない。
俺は、内心では首を傾げるが、そこでようやく国王陛下たちがシートベルトの外し方を知らないことに気が付き、全員の乗降をサポートする。
全員が降りたのを確認したところで、
「国王陛下、こちらがエルム王国の大使館兼へ迎賓館となります」
「ほう。つまり、この乗り物は――」
「今回は、急遽と言う事もあり、用意したモノになりますが、時間があればエルム王国専用のヘリを用意する予定となっています」
「なるほど……。ふむ……」
俺の言葉に、感心したように頷く国王陛下は、第三セクターが作ったあと放置していた建物の屋上を歩くと、3階建ての建物の屋上の端まで移動する。
「中々に悪くはない」
「ありがとうございます。建物の中も、確認して頂ければと思います」
「うむ。――では案内してもらおうかの」
俺を先頭にして、建物の中へと足を踏み入れる。
すると、ヘリの音を聞こえたことで藤和さんの指示で集められたのか劇団員の人達がメイド服や執事服を着た格好で並んでおり――、
「おかえりなさいませ。旦那様」
――と、声を揃えて頭を下げてきた。
それは、本当に一糸乱れることなく。
「中々に、躾に行き届いた使用人を使っているのだな。ツキヤマよ」
「お褒めに預かり光栄です」
そう俺は言葉を返す。
そんな俺と、国王陛下の話を聞いていた劇団員の人達は――、
「当主様。お茶の準備が出来ています」
そう話しかけてくる。
どうやら、芝居がかった国王陛下の口ぶり――、さらには、連れているアロイスさんやナイルさんが兵士の恰好をしていること。
そして、本物の御姫様の――、ドレスを着ているシルベリア王女や、ノーマン辺境伯を見て芝居だと思ってくれたようだ。
「ああ。少ししたら用意をしてくれ。それまでは迎賓館の中を案内するから」
「分かりました」
俺は当主らしい口調で話したあと、迎賓館の中を案内する事する。
「――陛下。こちらが浴室となります」
「ほう。このような建物の中にも浴室を完備しているとはな……」
俺は浴室の使い方を説明していく。
もちろん浴室は広い。
理由は簡単で元は、第三セクターが何十人もの宿泊者を泊めようとも考えていたからだ。
それをリフォームしたことで、一般的な宿と同じくらいの広さ迄拡張されている。
「お父様! これを――、ここを回しただけで! 水と熱い湯が、それぞれ出てきますわ!」
説明をして桶を置くとシルベリア王女が恐る恐ると言った様子で蛇口を捻る。
すると水やお湯が出てくる事に驚いていた。
「ふむ……、これはどうやっているのだ?」
蛇口を捻るだけで出る冷水と、温水。
それを興味深く観察していた国王陛下が、俺へと尋ねてくる。
「水は、浄水場と言いまして、そこで浄化された水を上下水道を通して、こちらの迎賓館に供給されていますので」
「ほう。それでは、熱いお湯については?」
「それは、ガスを使って――、簡単に説明致しますと火で水を沸かした上で、蛇口を捻ったらお湯が出る方法を取っています」
「ガスというのは知らんが理論は理解できた。それにしても、随分と――」
「どうかされましたか?」
「――いや、何でもない。それよりも、ここは蒸すな」
「一応、お風呂場ですので」
俺は、第三セクターが力を入れて作った屋内露天風呂を見て溜息をつく。
税金で作られた露天風呂は、かなり力を入れて作られたのか、40人以上がお風呂に浸かっても、余裕があるほど。
「そうか。それでは次のところを案内してもらおうかの」
「もちろんです」
俺は、台所を次に案内する。
その後は、各部屋を巡って説明していき――、一通り説明を終えたところでリビングに到着する。
「国王陛下、お待ちしておりました」
すでに俺達が来ることを見越していたのか、藤和さんが執事服を着て待っていた。
「どうでしょうか? 迎賓館の方は、ご覧いただけましたでしょうか?」
「うむ。大義であると言いたいところではあるのう」
満足そうに国王は頷くと、ソファーに腰を下ろす。
「ありがとうございます」
そう頭を下げたあと、藤和さんは両手を軽く叩く。
するとメイドの恰好をした劇団員が、お茶会の準備を行い終えると部屋から出ていく。
「本日は、月山様の指示により、用意したケーキの数々を用意致しました。国王陛下並びに辺境伯様には、サンドイッチなどの軽食を――、お口に合えば幸いです」
たしかに、テーブルの上には、これでもかと言うほどの食材が載せられている。
短時間にこれだけのモノを用意するとは、流石は藤和さんと言ったところだ。
お茶会が始まり、空腹も満たされたところで国王陛下が口を開く。
「ツキヤマよ」
「どうかなさいましたか? 国王陛下」
「今回の視察であるが、問題はないと余は思っておる」
「――と、申されますと?」
「臣下からの報告を聞いた限りでは、ツキヤマ家の全容を掴み切れることは出来なかった。そう言っているのだ」
つまり、母屋のことを言っているのか……。
それとも、経済力のことでも?
「そうでしたか。それで、ルイーズ王女殿下を、此方に送るかどうかを考えていたという事ですか」
「そうなる。だが、こちらの世界には長くはいる事は出来ないのだろう? その辺は、どう考えているのだ?」
ルイーズ王女の滞在期間について確認してくる国王陛下。
その問いかけに、俺は、藤和さんの方をチラリを見る。
「陛下。先代の当主様ゲシュペンスト様は、一ヵ月一度は体調が優れないという理由で、エルム王国に戻っていました。それを参考にされますと――」
「あの歴代の魔法師の中でも最強の力を持つ男でも一ヵ月に一回となると……、ルイーズは魔力を殆どもっておらんからな。一週間に一度は、戻った方がよいのかも知れんな」
この期間については、正直ハッタリだ。
既に故人となっている以上、いくらでも嘘をつくことはできる。
実際、ナイルさんは、一ヵ月以上、戻ってないし。
ただ、それを知っているのは辺境伯や、それに近しい人達だけで、王族の方々は知る由もない。
何しろ、命が掛かっているのだ。
自分の体で人体実験のような真似はできないだろう。
それに、俺と繋がりを持っておきたい王宮側としては、庶子の子とは言え王族の血を引くルイーズ王女殿下を無碍に扱うこともできない。
そう考えると――、
藤和さんに、ヘリに国王陛下を乗せると説明した時に俺は藤和さんに言われた。
それなら日本の建築レベルを同時に見せる方がいいと。
愚王でもない限り、建築レベルを見れば、その国の国力を分かるはずだと。
「『してゴロウ』」
「『はい?』」
「『秋田市には何人ほどが住んでおるのだ?』」
「『秋田市だけだと31万人ですね』」
「『ほう。それが一都市となると――、』」
「『秋田県だと、人口は100万人近くになります。日本国全体ですと、1億2000万人を超えます』」
「『……冗談にしか聞こえない数字だが、本当なのだな?』」
辺境伯は、東京都や静岡に視察に伺ったはず。
なのに、敢えて聞いてきたということは……、国王陛下に遠回しに釘をさすといったところか。
「『本当です』」
「『わ、我が、王国の100倍以上……』」
あ――、これは、かなりショックを受けているような気がする。
「『月山様』」
第一王女も、顔色が悪い。
「『それでは迎賓館へと向かいます』」
十分にインパクトを与えたと思い、俺は迎賓館へとヘリの進路を向けた。
迎賓館のヘリポートに到着したところで、俺は運転席から移動し外へと通じるドアをスライドさせて開ける。
「到着しました。皆様、お降りください」
そう告げるが、誰一人降りようとしない。
俺は、内心では首を傾げるが、そこでようやく国王陛下たちがシートベルトの外し方を知らないことに気が付き、全員の乗降をサポートする。
全員が降りたのを確認したところで、
「国王陛下、こちらがエルム王国の大使館兼へ迎賓館となります」
「ほう。つまり、この乗り物は――」
「今回は、急遽と言う事もあり、用意したモノになりますが、時間があればエルム王国専用のヘリを用意する予定となっています」
「なるほど……。ふむ……」
俺の言葉に、感心したように頷く国王陛下は、第三セクターが作ったあと放置していた建物の屋上を歩くと、3階建ての建物の屋上の端まで移動する。
「中々に悪くはない」
「ありがとうございます。建物の中も、確認して頂ければと思います」
「うむ。――では案内してもらおうかの」
俺を先頭にして、建物の中へと足を踏み入れる。
すると、ヘリの音を聞こえたことで藤和さんの指示で集められたのか劇団員の人達がメイド服や執事服を着た格好で並んでおり――、
「おかえりなさいませ。旦那様」
――と、声を揃えて頭を下げてきた。
それは、本当に一糸乱れることなく。
「中々に、躾に行き届いた使用人を使っているのだな。ツキヤマよ」
「お褒めに預かり光栄です」
そう俺は言葉を返す。
そんな俺と、国王陛下の話を聞いていた劇団員の人達は――、
「当主様。お茶の準備が出来ています」
そう話しかけてくる。
どうやら、芝居がかった国王陛下の口ぶり――、さらには、連れているアロイスさんやナイルさんが兵士の恰好をしていること。
そして、本物の御姫様の――、ドレスを着ているシルベリア王女や、ノーマン辺境伯を見て芝居だと思ってくれたようだ。
「ああ。少ししたら用意をしてくれ。それまでは迎賓館の中を案内するから」
「分かりました」
俺は当主らしい口調で話したあと、迎賓館の中を案内する事する。
「――陛下。こちらが浴室となります」
「ほう。このような建物の中にも浴室を完備しているとはな……」
俺は浴室の使い方を説明していく。
もちろん浴室は広い。
理由は簡単で元は、第三セクターが何十人もの宿泊者を泊めようとも考えていたからだ。
それをリフォームしたことで、一般的な宿と同じくらいの広さ迄拡張されている。
「お父様! これを――、ここを回しただけで! 水と熱い湯が、それぞれ出てきますわ!」
説明をして桶を置くとシルベリア王女が恐る恐ると言った様子で蛇口を捻る。
すると水やお湯が出てくる事に驚いていた。
「ふむ……、これはどうやっているのだ?」
蛇口を捻るだけで出る冷水と、温水。
それを興味深く観察していた国王陛下が、俺へと尋ねてくる。
「水は、浄水場と言いまして、そこで浄化された水を上下水道を通して、こちらの迎賓館に供給されていますので」
「ほう。それでは、熱いお湯については?」
「それは、ガスを使って――、簡単に説明致しますと火で水を沸かした上で、蛇口を捻ったらお湯が出る方法を取っています」
「ガスというのは知らんが理論は理解できた。それにしても、随分と――」
「どうかされましたか?」
「――いや、何でもない。それよりも、ここは蒸すな」
「一応、お風呂場ですので」
俺は、第三セクターが力を入れて作った屋内露天風呂を見て溜息をつく。
税金で作られた露天風呂は、かなり力を入れて作られたのか、40人以上がお風呂に浸かっても、余裕があるほど。
「そうか。それでは次のところを案内してもらおうかの」
「もちろんです」
俺は、台所を次に案内する。
その後は、各部屋を巡って説明していき――、一通り説明を終えたところでリビングに到着する。
「国王陛下、お待ちしておりました」
すでに俺達が来ることを見越していたのか、藤和さんが執事服を着て待っていた。
「どうでしょうか? 迎賓館の方は、ご覧いただけましたでしょうか?」
「うむ。大義であると言いたいところではあるのう」
満足そうに国王は頷くと、ソファーに腰を下ろす。
「ありがとうございます」
そう頭を下げたあと、藤和さんは両手を軽く叩く。
するとメイドの恰好をした劇団員が、お茶会の準備を行い終えると部屋から出ていく。
「本日は、月山様の指示により、用意したケーキの数々を用意致しました。国王陛下並びに辺境伯様には、サンドイッチなどの軽食を――、お口に合えば幸いです」
たしかに、テーブルの上には、これでもかと言うほどの食材が載せられている。
短時間にこれだけのモノを用意するとは、流石は藤和さんと言ったところだ。
お茶会が始まり、空腹も満たされたところで国王陛下が口を開く。
「ツキヤマよ」
「どうかなさいましたか? 国王陛下」
「今回の視察であるが、問題はないと余は思っておる」
「――と、申されますと?」
「臣下からの報告を聞いた限りでは、ツキヤマ家の全容を掴み切れることは出来なかった。そう言っているのだ」
つまり、母屋のことを言っているのか……。
それとも、経済力のことでも?
「そうでしたか。それで、ルイーズ王女殿下を、此方に送るかどうかを考えていたという事ですか」
「そうなる。だが、こちらの世界には長くはいる事は出来ないのだろう? その辺は、どう考えているのだ?」
ルイーズ王女の滞在期間について確認してくる国王陛下。
その問いかけに、俺は、藤和さんの方をチラリを見る。
「陛下。先代の当主様ゲシュペンスト様は、一ヵ月一度は体調が優れないという理由で、エルム王国に戻っていました。それを参考にされますと――」
「あの歴代の魔法師の中でも最強の力を持つ男でも一ヵ月に一回となると……、ルイーズは魔力を殆どもっておらんからな。一週間に一度は、戻った方がよいのかも知れんな」
この期間については、正直ハッタリだ。
既に故人となっている以上、いくらでも嘘をつくことはできる。
実際、ナイルさんは、一ヵ月以上、戻ってないし。
ただ、それを知っているのは辺境伯や、それに近しい人達だけで、王族の方々は知る由もない。
何しろ、命が掛かっているのだ。
自分の体で人体実験のような真似はできないだろう。
それに、俺と繋がりを持っておきたい王宮側としては、庶子の子とは言え王族の血を引くルイーズ王女殿下を無碍に扱うこともできない。
そう考えると――、
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