上 下
94 / 437

第94話 これからの課題

しおりを挟む
 
「いえいえ、月山様にはお世話になっておりますので――、新規オープンでしたらこのくらいは、それでそちらの方が?」
「そうですね。うちの祝い花を依頼しました」
「田所 美鈴と言います」
「こちらこそ、私はこのような者です」
 
 すかさず名刺を取り出した藤和さんは、美鈴さんに名刺を渡しつつ、「藤和一成と言います。問屋業を営んでおります。何か用入りがあれば、ご連絡ください。お安くしておりますので」と、営業を掛けている。
 
「五郎とは違って商機を逃すような人物ではないね」
「絹さん、何か俺に当たりが厳しくないですか?」
「そりゃ40歳にもなって結婚もしてない男には風当たりは強くなるってものさ」
 
 絹さんと話をしていたところで――、
 
「どうも初めまして、藤和一成と言います。問屋業をしております」
「田所絹だよ、園芸農家をしているよ」
「園芸農家ですか」
「うむ、何かあればよろしく頼むよ」
「こちらこそ――」
 
 二人して名刺を交換している。
 
「五郎、どうかしたのか?」
「ところで、祝い花を置く場所ですが――」
「それは孫の美鈴に聞くといいよ」
 
 突き放すような絹さんの言葉に藤和さんは頷くと、美鈴さんと相談しながら車から祝い花を持ち運び店前に並べていく。
 祝い花が全て並び終える前に、また車が駐車場に入ってくる。
 今度、車から出てきたのは田口村長。
 
「五郎」
「村長、どうかしましたか?」
「どうかしたも何も、結城村ではただ一軒の店だからのう、ほれ! 祝い花を持ってきたぞ!」
 
 これまた立派な3万円前後はする祝い花が軽トラックの荷台に乗っている。
 
「田口!」
「田所のばあさんか!」
「あんただって爺だろうに!」
「それで、絹さんが何のようだ?」
「あんた、祝い花をどうして私のところに頼まなかったんだ?」
「――いや」
 
 そういうと村長の目が泳ぐ。
 その様子に俺は内心、首を傾げる。
 何か、二人の間には確執というか問題があるのか? と――。
 
「月山さん」
「美鈴さん、どうかしましたか?」
「うちの祖母と村長は、昔から馬が合わないらしいので、気にしないでください」
「そうなんですか」
「はい。歳をとると色々あるみたいです。それより村長が持ってきた祝い花も並べてしまいましょう」
「そうですね。村長、祝い花を頂きます」
「うむ」
 
 村長が頷くのを確認してから、美鈴さんと一緒に軽トラックから祝い花を下ろしたあと店先に並べる。
 そのあとも車は何台も来て――、夕方までには多くの祝い花が到着した。
 
 
 
「おじちゃん」
「――ん? どうした桜」
 
 夕方近くになり全員が帰ったあと、雪音さんと桜が店先にきていた。
 
「いっぱいお花があるの」
「これは祝い花と言って、お祝いの意味を込めて贈ってくれるプレゼントだよ。皆が、ここで店を開くことを祝福してくれている証でもあるんだよ」
「そうなの?」
 
 桜が俺を見てくる。
 俺は頷きつつ、横に立っていた雪音さんが、「そうよ、桜ちゃん」と、俺の言葉を肯定するかのように相槌を打ってきた。
 
 俺達の目の前には、問屋の藤和、結城村一同、都筑診療所、リフォーム踝、踝建設、宗像冷機、あとは自分が頼んだ分の祝い花と色とりどりの祝い花が飾られていた。
 
 トントントンとリズミカルな心地よい音が聞こえてくる。
 
「――月山さん、桜ちゃん、朝ですよ」
「……」
 
 俺は無言のまま、欠伸をしつつ瞼を開ける。
 それに釣られて――、
 
「眠いの……」
 
 桜も起きた。
 そして――、俺達が起きたのを見て今日から開店と言う事で泊まり込みをしていた雪音さんが、居間から縁側に続く戸を開けていく。
 
「今日は晴天のようですね」
「はい。大事な門出が晴れで良かったです。雨ですと、お客さんの出足も悪くなりますから」
 
 外から吹き込む適度に湿度を含んだ夏朝の風。
 そして照り付け始めた太陽。
 そんな詩が思い浮かんでくる中、エプロン姿の雪音さんが――、
 
「朝食は、もうすぐ出来ますので月山さんと桜ちゃんは洋服と下着を着替えてくださいね。今日は、忙しくなると思いますので早めに洗濯をしておいた方がいいと思いますので」
 
 ――と、話しかけてくる。
 俺と桜は、了承しながら着替えたあと――、居間に戻るとすでに朝食が出来上がっていた。
 
「今日は豪勢ですね」
「大きなお魚さんがあるの!」
「はい。祖父から差し入れがありましたので――」
「鯛ですか、高いのに――」
 
 それに、ここは山の中。
 田口村長も、ずいぶんと奮発してくれたものだ。
 テーブルの上には、赤飯や鯛の塩焼きが人数分置かれている。
 
「今日は、忙しくなりますから早めに食事にしましょう」
「「「いただきます」」」
 
 朝食を食べたあと、俺と雪音さんは店の方へと開店準備に向かう。
 外からシャッターを開けたあとは、開店初日の特売品をチェックする。
 バックヤードから、特売品を運んでいる間は雪音さんはレジの商品登録をチェックし――、開店1時間前になったところで――、
 
「おっさん!」
 
 元気に俺の名指ししてくる声。 
 店の入り口には、桜と同年代の和美ちゃんが母親である恵美さんと一緒に立っていて――、すぐに頭を叩(はた)かれていた。
 
「おはようございます。すいません、うちの娘ったら口が悪くて――」
「いえ、大丈夫です。それより用意の方をお願いできますか?」
「はい。和美、貴女は桜ちゃんと静かにしているのよ?」
「わかってるよ」
 
 プイと顔を背けると和美ちゃんは、母屋の方へと向かって走っていく。
 
「本当にすいません。どうして、もう少しお淑やかに出来ないのか――」
「まぁ、元気があるのが子供の特権みたいなものですから」
 
 元気がないよりはいい。
 それに桜も、同年代の女の子が居た方が気分転換も含めていいだろう……たぶん……。
 今日のこれからのことを含めて話をした後――、一通り準備が終わったところで店の出入り口の鍵を開ける。
 
「それでは開店をします」
 
 ――ようやく店舗を開店させることが出来た。
 
 
 
「ありがとうございました」
 
 最後の買い物客が退店。
 閉店間際と言う事もあり店の照明光度を落とす。
 
「はぁ、疲れた……」
 
 思ったより、ずっと疲れた。
 その理由は、開店してから、お客が途切れることが無かった事にある。
 時刻は、午後8時57分。
 午前9時開店の午後9時閉店の12時間営業と言う事で店の運営方針を打ち出していたが、初めての仕事内容、さらにうまくいかなかったら? と思うプレッシャーでいろいろと疲労蓄積が酷いことになっている。
 
「そろそろ閉店でもしないとな」
 
 疲れ切った頭で、そう考えていると店のドアが開く。
 
「いらっしゃいま――、雪音さんですか」
「お疲れ様です。もう、買い物客はいないんですね」
「そうですね」
「それでは、私がレジ閉めをしてしまいますので月山さんは店内の確認をお願いできますか? それだけ疲れているとレジ閉め大変だと思いますので」
「分かりました。よろしくお願いします」
 
 彼女の言葉に、今日は甘えておこう。
 それにしても、やはり従業員は増やした方がいいかも知れない。
 恵美さんの出勤時間は、本来は午前10時から午後3時まで――。
 今日は、初日と言う事もあり午前9時から午後5時までやってもらったが、今後のことを考えると従業員の追加募集は急務だろう。
 コンビニの店長が大変な理由がよくわかった。
 これが24時間店舗とかだったら、洒落にならなそうだ。
 
 レジは、雪音さんに任せ店内とバックヤード側の商品の在庫を確認していく。
 一通りチェックが終わった所で、レジへ戻るとレジ閉めが終わったようで――、
 
 
「月山さん、どうでしたか?」
「こちらは特には――、レジの方はどうでしたか?」
「金額に誤差はありませんでしたので、あとは帳簿を付けるだけですね。それと発注の事も考えないといけないですね」
「そうですね」
 
 二人で会話をしながら、店内の照明を落としたあとシャッターを閉める。
 店の明りが無くなると、周りには畑と田んぼしかないので辺り一面は街灯がある場所以外は真っ暗になる。
 
「もう8月も中旬ですね」
 
 語ってくる雪音さんの横顔はどこか寂し気に見える。
 俺の気のせいかも知れないが――。
 
「そうですね」
「あと3ヵ月、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
 
 そうだった。
 雪音さんは、3ヵ月間だけ働くという約束をしていたんだった。
 そして、その3か月間は――、俺のタイムリミットでもある。
 何とか雪音さんに生きるという意味について前向きになってもらうように考えてもらうという期限。
 しかし、俺には別れた彼女くらいしか女性経験がない。
 なんと説得するべきか……。
 
 ――正直! まったく分からない!
 
 考え事をしている間に母屋に到着。
 玄関を上がったところで――、
 
「月山さん、夕食の用意をしますので先にお風呂とかどうですか?」
「そうですね」
 
 その心遣いに感謝。
 問題は、風呂に入ったらすぐに寝てしまうほど疲れているのが自覚出来ている事くらいだろう。
 
「タオルと着替えは、脱衣所に置いておきましたので――」
「――あ、はい……、そういえば桜は?」
「夕食を食べたあと、フーちゃんと遊んでいましたけど、もう寝ていますよ?」
「そうですか。何か言っていましたか? 今日は、一日ほとんど桜を構ってやれなかったので――」
「桜ちゃんは、時々――、和美ちゃんと一緒に店の外から店内を見ていましたよ?」
「――え? そ、そうなんですか?」
 
 まったく気が付かなかった。
 どれだけテンパっていたんだ……。
 
「はい。仕事をしているのを見て何度も母屋と店の間をウロウロしていましたよ? それで疲れたんでしょうね」
「そうでしたか」
「でも、桜ちゃんも大事な事だと知っているみたいですから、邪魔にならないように見ているだけだったのかも知れません」
「……」
 
 桜が起きている間に、頭を撫でるとしよう。
 
「それでは月山さん、もう遅いので早めに夕食を摂ってしまいましょう」
「そうですね」
 
 頷き、脱衣所に行ったあとは服と下着を脱ぎ風呂に浸かる。
 一人で風呂に入るなんて、何時頃ぶりだろう。
 桜が家に来てからかも知れないな。
 
 風呂にゆっくりと入りながら、そんな事を思いながらも何となくだが少しの違和感がある。
 
「この俺が感傷的になっているのか?」
 
 頭を振るい余計な考えを排除し、風呂に肩まで浸かる。
 風呂を出たあとは、用意されていた寝間着に着替え居間に向かうと――、「月山さん、夕食の準備は出来ていますよ」と、台所に立っていた雪音さんが話しかけてくる。
 
「ありがとうございます」
「ご飯とお味噌汁は、いまから持っていきますので座って待っていてください」
「ご飯くらいは自分で――」
「いいですから。顔色がすごく悪いですよ? 今日は、私に任せてください」
 
 自分では気が付いていないのか、雪音さんが強い押しをしてくる。
 
「分かりました」
 
 まぁ、ここで押し問答をしていても桜が起きてしまうだけだからな。
 素直に聞いておくとしよう。
 
 居間に入ると、桜が俺の布団の上でフーちゃんを枕にして寝ている。
 この前、枕にしてはダメだと言ったはずなのに。
 俺の気配に気が付いたのか、フーちゃんが顔だけ上げると欠伸をしてそのまま寝てしまう。
 どうやら苦しいって感じではないようだが……。
 
 とりあえず、フーちゃんを桜から離したあと俺が使っている枕をフーちゃんの代わりに桜の頭の下に置く。
 寝息を立てていることから桜は起きていないようだ。
 そしてフーちゃんは、縁側の方へいくと寝そべる。
 
「フーちゃんって、犬にしては不思議ですよね」
 
 その声に後ろを振り返る。
 雪音さんは、お盆の上にご飯とお味噌汁の入ったお椀を載せたままフーちゃんの方を見ていて――。
 
「そうですか?」
「はい。まるで、桜ちゃんと意思疎通出来ているようにすら思えてしまいます」
「それは、きっと子供の頃特有のシンパシーとか、そんな感じなのかも知れませんよ?」
「そうでしょうか?」
「間違いないです!」
 
 断定しておく。
 少なくとも、俺はフーちゃんが犬以外の行動を取ったのを見たことが無い。
 少し食べ物に煩い犬ってくらいだ。
 
「それなら、それでいいんですけど――、それでは夕食に致しましょう」
 
 雪音さんはテーブルの上にお椀とお茶碗を置いていく。
 そして――、テーブルの上には手作りハンバーグと思われる物が3個ほどお皿に乗っていて、これでもか! と言う程、キャベツの千切りが載せられていた。
 
「キャベツ多いですね」
「はい。野菜は体にいいですから」
「雪音さんの分は?」
「私は、桜ちゃんと一緒に食べましたから」
「そうですか」
 
 何だか一人で食べるのは悪いような気がするが、下手に遠慮するとアレだからな。
 
「頂きます」
「はい」
 
 食事をしながら、雪音さんが淹れてくれたお茶を飲む。
 
「そういえば、今日は初日の新規開店ということでかなりの売り上げが出ましたね」
「まぁ、原価を切っていますが――」
 
 今日は、新規オープンと言う事で、12ロール入りのシングルとダブルのトイレットペーパーが御一人様1個まで100円、冷凍食品は半額セールを行った。
 そして、新聞の広告の力もあり全てのトイレットペーパーと冷凍食品の大半が売れまくり――、それなりの認知度を獲得できたと思う。
 
「そうですね。今日だけで21万5741円の赤字ですね。――でも、結城村に中規模のスーパーが開店したと近隣の過疎が進んでいる限界集落の村々に知らせたことを考えると、たぶん安いと思いますので」
「今後のことを考えると――、ということですね」
「はい! あとは藤和さんに、明日の朝一番に商品発注をした方がいいかも知れません。思ったより商品在庫が心もとないですから」
 
 雪音さんの言葉に頷きつつ、仕事が忙しかったことで商品発注できなかったことが悔やまれる。
 おそらく明日の朝一番に商品発注を掛けても――。
 
「藤和さんも、さすがにすぐに商品の発注が来るとは思ってないでしょう。もしかしたら数日かかるかも知れません」
「そうですね」
 
 どうやら雪音さんも同じように思っていたのか頷いてきた。
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません  

たろ
恋愛
処刑されたエリーゼ。 何もしていないのに冤罪で…… 死んだと思ったら6歳に戻った。 さっき処刑されたばかりなので、悔しさも怖さも痛さも残ったまま巻き戻った。 絶対に許さない! 今更わたしに優しくしても遅い! 恨みしかない、父親と殿下! 絶対に復讐してやる! ★設定はかなりゆるめです ★あまりシリアスではありません ★よくある話を書いてみたかったんです!!

「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」

サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます

冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。 そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。 しかも相手は妹のレナ。 最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。 夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。 最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。 それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。 「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」 確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。 言われるがままに、隣国へ向かった私。 その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。 ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。 ※ざまぁパートは第16話〜です

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

夫から国外追放を言い渡されました

杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。 どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。 抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。 そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……

処理中です...