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第83話 過去からの贈り物(2)
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異世界で販売する価格は、日本の販売価格を参考にと考えていた。
だが――、雪音さんの表情を見る限り、そういう答えを望んでいる訳ではないのだろう。
「雪音さんは、どのくらいの価格を考えていましたか?」
「え!? そ、そうですね……。以前に、月山さんと異世界の市場を見に行ったことがありましたけど、月山雑貨店で取り扱っている商品というよりも、この世界――、特に日本で販売している商品は、味や品質――、そしてクオリティから言ってチートだと思いますので……、異世界で販売をする前に領主様に商品チェックをしてもらった方がいいと思います。月山さんも、そういうことを考えていたんですよね?」
雪音さんの言葉とおり価格面は別として商品を販売する前に領主への確認を取ることは考えていた。
「そうですね」
「それでは一度、異世界の領主様に話を通すことが先決ですね」
彼女の言葉に俺は頷く。
雪音さんが帰ったあとは、ノートパソコンで資料作りを始める。
「思ったよりも資料の量が多いな」
データー容量だけでも商品説明と写真を含めると軽くギガバイトを超えてしまう。
それだけの用紙をプリントアウトしてもっていくのは、効率が良いとは言えない。
この際、ノートパソコンを持って行った方がいいのかも知れない。
「おじちゃん。これって何?」
居間で作業して居たこともあり、桜が印鑑やハンコが入った箱を手に取ると興味深そうな目をしながら好奇心に満ちた瞳で俺を見てくる。
「ああ、それはハンコとか印鑑が入っているんだよ?」
「見てもいい?」
「いいよ」
桜が、箱を開けて中を見ている間にノートパソコンの充電を行う為に、電源コードをコンセントに繋ぐ。
それなりに年期の入ったノートパソコンでもあるので、バッテリーの消耗が激しく今では1時間も連続使用に耐えられない。
「――さて……、作業を始めるとするか」
異世界に行く時間まで数時間しかないのでパワーポイントを使って資料を作る暇はないので、なるべくネット上のデーターをパソコンに落す。
「――あっ!?」
桜の声と共に、ガシャと言う音が室内に鳴り響く。
桜の方を見ると、畳の上に箱に入っていた印鑑やハンコが散らばっているのが見える。
「桜、大丈夫か?」
「ごめんなさい……」
「気にすることはない。それより、今度から気を付けなさい」
「うん……」
座布団から立ち上がり畳の上に散らばった印鑑やハンコを拾い集める。
「――ん?」
「おじちゃん、どうしたの?」
「いや――、これって二重底になっていたのか?」
箱の中――、底が僅かに浮かんでいる。
おそらく桜が落としたことで引っかかりがズレたのだろう。
底の木板は、嵌め込んでいただけで簡単に外れた。
中には、油紙に包まれた物が入っている。
「これは、手紙だよな……」
油紙を丁寧に剥がすと中には、手紙が入っている。
それは何の飾りもない一枚の和紙。
折りたたまれていた紙を広げて目を通す。
(この手紙を読んでいるという事は、五郎――、お前は実家に戻ってきたのだろうか?それとも誰か別の者が見ているのだろうか? いや、この手紙を読んでいる者は五郎、お前だと信じて書くとしよう。そして、この手紙を読んでいるということは、印鑑やハンコを見たのだろうか?)
書かれている文字からして父親が書いた物だというのが分かる。
――お前が、家業を継ぐ時に渡す予定だったハンコは見てくれたか?
書かれている文字に俺は頷く。
「おじちゃん?」
「これは、俺の親父の……、桜のおじいちゃんからの手紙だよ」
「おじいちゃんの?」
俺は桜の頭を撫でながら手紙を読み進める。
(お前が、田舎で暮らしたくないと――、家業を継ぎたくないと都会に出てからどれだけの日数が経ったのだろうか? 私は、異世界で貴族として暮らしてきた。だから、家を継ぐのは長男の役目だと当たり前のように考えていた。お前が、家を出て行ったあと友理奈に、進学や就職は個々が決めるものであり、それが普通だと何度も言われた。私は、貴族としての習慣が抜けきっていなかったのだろう。お前には、迷惑を掛けた。ふっ、私は何を書いているのだろうな? 誰が読んでいるのかすら分からない手紙だというのに――。だが、もし私の世界一大事な息子が、この手紙を読んでくれているのなら、体には気を付け息災に暮らしてほしい。それだけが私の望みだ。そして、もし――、五郎が帰ってきたのなら、雑貨店を継いでくれるのなら、中に入っているハンコは私からの餞別だと思って使ってほしい。月山隆二)
「親父……」
喧嘩別れするように出ていったあと、しばらくして訃報が届いた時には、壮健な親父が死ぬとは思っても見なかった。
それから、しばらく母親が店を維持していたが、体を壊して店を畳んだ。
だから、俺は――、直接は店の経営に関わったことはない。
――だから……。
「おじちゃん……」
桜が、ポケットに入れていたであろうハンカチを俺に差し出してくる。
そこで俺は自分が涙目になっている事に気が付く。
涙をハンカチで拭ったあと、俺は自分の名前が印字されたハンコの意味をようやく理解する。
そのハンコは、親父が俺に残したただ一つの父親からの形見だということに。
夕食を食べたあと、桜とフーちゃんと一緒に風呂に入ったあとは、フーちゃんの毛を乾かしたあと、桜の髪の毛を乾かす。
「桜、今日は向こうの世界に行くけど一緒にくるか?」
「おじいちゃんのお父さんに会いにいくの?」
桜に寝間着を着せながら「そうだよ」と、俺は答える。
「うーん。桜が一緒に行くとフーちゃんは?」
「そうだな……」
フーちゃんは、異世界に連れて行かない方がいいだろうな。
辺境伯が祖父だとしても何かあれば問題になりそうだし。
「フーちゃんは、お留守番かな」
「そうなの? それじゃ、桜もフーちゃんと一緒にお留守番しているの!」
「分かった。戻ってくるまで少し時間が掛かると思うから、何かあったら困るから誰か一緒に居てもらうか……」
「フーちゃんと桜、二人でお留守番できるの!」
キリッ! とした顔で見上げてくる桜。
「でも、帰ってくるまで、しばらく時間がかかるぞ?」
「どのくらい掛かるの?」
「朝7時までには帰ろうと思っているけど……」
「そのくらいなら大丈夫なの! フーちゃんも大丈夫だよね?」
「わんわん!」
「うーん」
今回は、さすがに色々とプレゼンをしないといけない。
つまり時間が掛かる。
さすがに5歳の姪っ子と、子犬だけに留守番させるのは躊躇してしまう。
やはり心配だ。
「ちょっと村長を呼ぶから――」
「…………分かったの」
「別に桜とフーちゃんを信用できないって事じゃないからな。何かあった時に大人が居た方がいいから頼むだけだからな」
「うん……」
すぐに電話機を取る。
呼び出し音が数度鳴ると――、「はい、田口ですが――」と、田口村長の妻である妙子さんの声が電話口から聞こえてくる。
「遅い時間、すみません。月山です」
「あら? 五郎ちゃんね。どうかしたの?」
「村長は?」
「いるわよ、少し待っていてね」
「五郎か? どうかしたのか?」
「実は、お願いがありまして――」
「お願い?」
「はい。商品の搬入は終わったのですが、異世界で商売をする上で、販売する商品をノーマン辺境伯に説明したいと思いまして」
「なるほど、つまり事前に商品概要を――、市場に流通させる物品の確認をしてもらうという訳か?」
「そうなります」
「――それで儂に電話を掛けてきた理由は?」
「じつは……、商品説明も含めてかなりの時間を要すると思いますので、かなりの時間――、家を空けることになると思うんですが――、その間の留守番が姪っ子の桜だけになってしまうので……」
「つまり、誰か大人が一緒に居てほしい。――そういうことかの?」
だが――、雪音さんの表情を見る限り、そういう答えを望んでいる訳ではないのだろう。
「雪音さんは、どのくらいの価格を考えていましたか?」
「え!? そ、そうですね……。以前に、月山さんと異世界の市場を見に行ったことがありましたけど、月山雑貨店で取り扱っている商品というよりも、この世界――、特に日本で販売している商品は、味や品質――、そしてクオリティから言ってチートだと思いますので……、異世界で販売をする前に領主様に商品チェックをしてもらった方がいいと思います。月山さんも、そういうことを考えていたんですよね?」
雪音さんの言葉とおり価格面は別として商品を販売する前に領主への確認を取ることは考えていた。
「そうですね」
「それでは一度、異世界の領主様に話を通すことが先決ですね」
彼女の言葉に俺は頷く。
雪音さんが帰ったあとは、ノートパソコンで資料作りを始める。
「思ったよりも資料の量が多いな」
データー容量だけでも商品説明と写真を含めると軽くギガバイトを超えてしまう。
それだけの用紙をプリントアウトしてもっていくのは、効率が良いとは言えない。
この際、ノートパソコンを持って行った方がいいのかも知れない。
「おじちゃん。これって何?」
居間で作業して居たこともあり、桜が印鑑やハンコが入った箱を手に取ると興味深そうな目をしながら好奇心に満ちた瞳で俺を見てくる。
「ああ、それはハンコとか印鑑が入っているんだよ?」
「見てもいい?」
「いいよ」
桜が、箱を開けて中を見ている間にノートパソコンの充電を行う為に、電源コードをコンセントに繋ぐ。
それなりに年期の入ったノートパソコンでもあるので、バッテリーの消耗が激しく今では1時間も連続使用に耐えられない。
「――さて……、作業を始めるとするか」
異世界に行く時間まで数時間しかないのでパワーポイントを使って資料を作る暇はないので、なるべくネット上のデーターをパソコンに落す。
「――あっ!?」
桜の声と共に、ガシャと言う音が室内に鳴り響く。
桜の方を見ると、畳の上に箱に入っていた印鑑やハンコが散らばっているのが見える。
「桜、大丈夫か?」
「ごめんなさい……」
「気にすることはない。それより、今度から気を付けなさい」
「うん……」
座布団から立ち上がり畳の上に散らばった印鑑やハンコを拾い集める。
「――ん?」
「おじちゃん、どうしたの?」
「いや――、これって二重底になっていたのか?」
箱の中――、底が僅かに浮かんでいる。
おそらく桜が落としたことで引っかかりがズレたのだろう。
底の木板は、嵌め込んでいただけで簡単に外れた。
中には、油紙に包まれた物が入っている。
「これは、手紙だよな……」
油紙を丁寧に剥がすと中には、手紙が入っている。
それは何の飾りもない一枚の和紙。
折りたたまれていた紙を広げて目を通す。
(この手紙を読んでいるという事は、五郎――、お前は実家に戻ってきたのだろうか?それとも誰か別の者が見ているのだろうか? いや、この手紙を読んでいる者は五郎、お前だと信じて書くとしよう。そして、この手紙を読んでいるということは、印鑑やハンコを見たのだろうか?)
書かれている文字からして父親が書いた物だというのが分かる。
――お前が、家業を継ぐ時に渡す予定だったハンコは見てくれたか?
書かれている文字に俺は頷く。
「おじちゃん?」
「これは、俺の親父の……、桜のおじいちゃんからの手紙だよ」
「おじいちゃんの?」
俺は桜の頭を撫でながら手紙を読み進める。
(お前が、田舎で暮らしたくないと――、家業を継ぎたくないと都会に出てからどれだけの日数が経ったのだろうか? 私は、異世界で貴族として暮らしてきた。だから、家を継ぐのは長男の役目だと当たり前のように考えていた。お前が、家を出て行ったあと友理奈に、進学や就職は個々が決めるものであり、それが普通だと何度も言われた。私は、貴族としての習慣が抜けきっていなかったのだろう。お前には、迷惑を掛けた。ふっ、私は何を書いているのだろうな? 誰が読んでいるのかすら分からない手紙だというのに――。だが、もし私の世界一大事な息子が、この手紙を読んでくれているのなら、体には気を付け息災に暮らしてほしい。それだけが私の望みだ。そして、もし――、五郎が帰ってきたのなら、雑貨店を継いでくれるのなら、中に入っているハンコは私からの餞別だと思って使ってほしい。月山隆二)
「親父……」
喧嘩別れするように出ていったあと、しばらくして訃報が届いた時には、壮健な親父が死ぬとは思っても見なかった。
それから、しばらく母親が店を維持していたが、体を壊して店を畳んだ。
だから、俺は――、直接は店の経営に関わったことはない。
――だから……。
「おじちゃん……」
桜が、ポケットに入れていたであろうハンカチを俺に差し出してくる。
そこで俺は自分が涙目になっている事に気が付く。
涙をハンカチで拭ったあと、俺は自分の名前が印字されたハンコの意味をようやく理解する。
そのハンコは、親父が俺に残したただ一つの父親からの形見だということに。
夕食を食べたあと、桜とフーちゃんと一緒に風呂に入ったあとは、フーちゃんの毛を乾かしたあと、桜の髪の毛を乾かす。
「桜、今日は向こうの世界に行くけど一緒にくるか?」
「おじいちゃんのお父さんに会いにいくの?」
桜に寝間着を着せながら「そうだよ」と、俺は答える。
「うーん。桜が一緒に行くとフーちゃんは?」
「そうだな……」
フーちゃんは、異世界に連れて行かない方がいいだろうな。
辺境伯が祖父だとしても何かあれば問題になりそうだし。
「フーちゃんは、お留守番かな」
「そうなの? それじゃ、桜もフーちゃんと一緒にお留守番しているの!」
「分かった。戻ってくるまで少し時間が掛かると思うから、何かあったら困るから誰か一緒に居てもらうか……」
「フーちゃんと桜、二人でお留守番できるの!」
キリッ! とした顔で見上げてくる桜。
「でも、帰ってくるまで、しばらく時間がかかるぞ?」
「どのくらい掛かるの?」
「朝7時までには帰ろうと思っているけど……」
「そのくらいなら大丈夫なの! フーちゃんも大丈夫だよね?」
「わんわん!」
「うーん」
今回は、さすがに色々とプレゼンをしないといけない。
つまり時間が掛かる。
さすがに5歳の姪っ子と、子犬だけに留守番させるのは躊躇してしまう。
やはり心配だ。
「ちょっと村長を呼ぶから――」
「…………分かったの」
「別に桜とフーちゃんを信用できないって事じゃないからな。何かあった時に大人が居た方がいいから頼むだけだからな」
「うん……」
すぐに電話機を取る。
呼び出し音が数度鳴ると――、「はい、田口ですが――」と、田口村長の妻である妙子さんの声が電話口から聞こえてくる。
「遅い時間、すみません。月山です」
「あら? 五郎ちゃんね。どうかしたの?」
「村長は?」
「いるわよ、少し待っていてね」
「五郎か? どうかしたのか?」
「実は、お願いがありまして――」
「お願い?」
「はい。商品の搬入は終わったのですが、異世界で商売をする上で、販売する商品をノーマン辺境伯に説明したいと思いまして」
「なるほど、つまり事前に商品概要を――、市場に流通させる物品の確認をしてもらうという訳か?」
「そうなります」
「――それで儂に電話を掛けてきた理由は?」
「じつは……、商品説明も含めてかなりの時間を要すると思いますので、かなりの時間――、家を空けることになると思うんですが――、その間の留守番が姪っ子の桜だけになってしまうので……」
「つまり、誰か大人が一緒に居てほしい。――そういうことかの?」
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