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第73話 ジンギスカン
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大きな獲物というのは、熊やイノシシのことを言うのだが、どう考えてもフーちゃんだとワンパンで倒されてしまうだろう。
まぁ、そもそも桜がフーちゃんと話が出来るというファンタジーからしてありえないと思っているし、子供特有の比喩なのかも知れないな。
「そっか」
「ほんとうなのにー」
とりあえず、話に乗っておくとしよう。
朝食を食べたあとは、ログハウスをチェックアウトして車に乗り込む。
そのあとは国道5号線に向かったあと、大沼公園インターチェンジから札幌方面に向かって車を走らせた。
――月山達が、ログハウスを出てから1時間が経過した頃。
ログハウスのオーナーである長谷川加奈は、掃除の為にバンガロー周辺を掃除中に3メートル以上もある熊が宿の近くで転がっているのを確認した。
あまりにも衝撃的な事に彼女は一瞬思考が停止した。
何故なら、熊が倒されたばかりだと言うのが地面に飛び散っている血が乾いていない事から分かったから。
そして何より――、熊の頭部が粉々に粉砕されていたからであった。
彼女は何が起きたのか分からず――、すぐに警察へ連絡をしたが――、それはまた別の話である。
道央自動車道を北上し、八雲町から室蘭を経由し蛇田洞爺湖インターチェンジで国道に降りたあとは、札幌市内に向かう為に洞爺湖の方へと向かう。
「すごい長いの!」
桜が興味津々と言った様子で続く三豊トンネルを見ながら呟く。
「そうだな」
蛇田洞爺湖インターチェンジから、洞爺湖へと通じる三豊トンネルはかなりの距離があり車で走っても数分は掛かる距離。
正直に言えば結城村も山に囲まれているから、トンネルを設置してもらいたいものだが――、人口が少ないことと隣接している村々も過疎が進んでいる事から交通の要所でもないのでトンネルが作られることはないだろう。
「トンネルが出来れば雪とか雨に左右されないんだけどな」
「そうなの?」
「ああ、雨とか雪とかが降ってもトンネルの中に居れば濡れることはないんだよ」
桜に説明しながら車を運転する。
「トンネルを抜けたの!」
ようやく暗いトンネルを抜けたところで、日差しがトンネル入り口から差し込んできた。
速度を落としながら明暗に目を慣らす。
「――さて……」
俺はカーナビを横目で見たあと、トンネルを抜けた突き当りを左折する。
此処からは、洞爺湖を右手に見ながら北上することになるが――、その前に食事にした方がいいだろうな。
国道230号線を北上する前にペット可のレストランへと向かう。
車を駐車場に停車し――。
「お昼にするぞ」
「ご飯?」
「わんっ!」
さっきまで後部座席で寝ていたフーちゃんがバッ! と立ち上がると反応してくる。
レストランに入ると、そこはペット可のレストランという事だけあって間取りが広い。
席に通されたあとはメニュー表を渡される。
「おじちゃん」
「――ん?」
「ジンギスカンってなに?」
「羊の肉を焼く料理って意味だって昔に聞いたことがあるな」
「ひつじ?」
「桜は羊を見たことはないのか?」
「うん。ひつじってどんななの?」
「そうだな……」
なんて説明すればいいんだろうか。
もふもふした白い毛を持った馬とでも説明すればいいのか?
いや――、ここは現物を見せた方がいい気がするな。
まぁ、とりあえず食事をしてからだな。
「あとで羊でも見にいくか?」
「見にいくー!」
ジンギスカンは、初めて食べる料理らしいが、桜にもフーちゃんにも好評。
そのあとは、洞爺湖サイロ展望台で観光をしてから、羊牧場に行く。
「すごいの! もふもふなの! あれがジンギスカンなの?」
「あれは羊って言うんだよ」
「ひつじなのに、ジンギスカンなの?」
「料理の名前がジンギスカンで、動物は羊って言うんだよ」
「そうなの? ――でも暑そうなの……」
たしかに桜の言う通り毛がモフモフしてて夏場だから暑そうではある。
それでも、結城村に居る時より10度以上は気温が低いので暮らしやすいとは思う。
「たしか、羊は夏に向けて毛刈りをするって聞いたことがある」
「本当に!?」
桜が、目をキラキラさせて好奇心満載で俺を見てくる。
「本当だ……たぶん……」
羊の生態系を検索していたスマートフォンを後ろに隠しながら頷く。
当然、俺には羊に対しての詳しい知識なんてものはまったくない。
ただ、すごく尊敬ある眼差しで見られると上辺だけの知識で語ったなど言えない。
「毛って何時刈るの?」
「そ、そうだな……。暑くなりそうになったら刈るんじゃないのかな……、ほら――、桜も髪の毛が伸びて暑くなったら切るだろう?」
「うん」
何とかアドリブで乗り切れると思ったところで――、「はい! 皆さん、羊は暑さに弱いので3月から5月にかけて毛を刈ります。暑くなってから刈ってからでは遅いので事前に刈ります」と、何とか乗り切った俺の努力を泡にするかのように俺達が参加していた牧場の案内員が、颯爽と説明をしている。
「おじちゃん……」
「…………さすがプロの羊専門家……」
もう少し空気読んで! 俺の威厳を返して!
羊牧場で羊を見終わったあと――、国道230号線を北上し日が沈む前に札幌市内に到着し事前に、予約しておいた札幌大通り沿いのホテルにチェックインする。
もちろんペット同伴可能というホテルの件数は多くないので殆ど埋まっていた。
しかも夏場ということもあり、価格も高い。
「おじちゃん」
「――ん?」
部屋に荷物を置いたあと、桜が話しかけてくる。
「フーちゃん、籠から出してもいいの?」
俺が頷くとフーちゃんを籠から出す桜。
すぐに籠から出たフーちゃんは体を震わせると部屋の中のベッドの上にジャンプすると横になって目を閉じる。そんなフーちゃんを見ていた桜が俺の方を見てくると「フーちゃん、ずっと車に乗っていたから疲れたみたい」と呟いてくるが、桜も眠そうだ。
手を握ってみると、ほんのりと手が温かい。
「少し休むか」
先に風呂に入りたかったが、風呂に入ったら桜は寝てしまいそうだ。
俺はカバンの中から寝間着を取り出して、眠そうな目をしている桜を着替えさせると室内のツインベッドの一つに寝かせる。
しばらく、身動ぎしていた桜であったが、すぐにスヤスヤという寝息が聞こえてくる。
やはり長時間、車に乗っていたこと――、そして牧場でテンションが高かったことを含めると疲れは溜まっていたのだろう。
「――さて……」
俺はと……。
一応、ノートパソコンは自宅から持ってきておいたから、金を売るための店をピックアップしておくとするか。
ホテルのWiFiに接続してから、金の買い取りをしている店を調べて、ワード内に落とし込んでいく。
「とりあえず、3日間の宿泊中に売れるだけ売らないとな……」
――流石、北海道の中心――、札幌なだけあって金の買い取り店や質屋は多い。
数えただけでも20店舗を超える。
「あれだな……」
ノートパソコンのモニターを見ながら思案する。
今、手元には5000万円近い金の装飾品がある――、これらを全て売るためには札幌市内だけでは難しいと言わざるを得ない。
「そうすると……」
旭川、小樽、滝川、帯広、釧路辺りを回った方がいいな。
それぞれの場所でホテルをネットで予約することにする。
俺一人だけなら、車の中で寝るという方法も出来るが、さすがに桜やフーちゃんを連れている状態だと、それは良くない。
第一、車の中で寝ても疲れは取れないからな。
疲れが取れない状態で運転して事故でも起こしたら、目も当てられない。
「――さて……、こんなものか……」
一段落したところで、パソコンのモニターを見ると時刻は午後8時を表示していて、ちょうどお腹がクーッと鳴る。
「そういえば、ジンギスカンを食べたあとは何も食べてないな……。夕食は、どうするか……」
まぁ、そもそも桜がフーちゃんと話が出来るというファンタジーからしてありえないと思っているし、子供特有の比喩なのかも知れないな。
「そっか」
「ほんとうなのにー」
とりあえず、話に乗っておくとしよう。
朝食を食べたあとは、ログハウスをチェックアウトして車に乗り込む。
そのあとは国道5号線に向かったあと、大沼公園インターチェンジから札幌方面に向かって車を走らせた。
――月山達が、ログハウスを出てから1時間が経過した頃。
ログハウスのオーナーである長谷川加奈は、掃除の為にバンガロー周辺を掃除中に3メートル以上もある熊が宿の近くで転がっているのを確認した。
あまりにも衝撃的な事に彼女は一瞬思考が停止した。
何故なら、熊が倒されたばかりだと言うのが地面に飛び散っている血が乾いていない事から分かったから。
そして何より――、熊の頭部が粉々に粉砕されていたからであった。
彼女は何が起きたのか分からず――、すぐに警察へ連絡をしたが――、それはまた別の話である。
道央自動車道を北上し、八雲町から室蘭を経由し蛇田洞爺湖インターチェンジで国道に降りたあとは、札幌市内に向かう為に洞爺湖の方へと向かう。
「すごい長いの!」
桜が興味津々と言った様子で続く三豊トンネルを見ながら呟く。
「そうだな」
蛇田洞爺湖インターチェンジから、洞爺湖へと通じる三豊トンネルはかなりの距離があり車で走っても数分は掛かる距離。
正直に言えば結城村も山に囲まれているから、トンネルを設置してもらいたいものだが――、人口が少ないことと隣接している村々も過疎が進んでいる事から交通の要所でもないのでトンネルが作られることはないだろう。
「トンネルが出来れば雪とか雨に左右されないんだけどな」
「そうなの?」
「ああ、雨とか雪とかが降ってもトンネルの中に居れば濡れることはないんだよ」
桜に説明しながら車を運転する。
「トンネルを抜けたの!」
ようやく暗いトンネルを抜けたところで、日差しがトンネル入り口から差し込んできた。
速度を落としながら明暗に目を慣らす。
「――さて……」
俺はカーナビを横目で見たあと、トンネルを抜けた突き当りを左折する。
此処からは、洞爺湖を右手に見ながら北上することになるが――、その前に食事にした方がいいだろうな。
国道230号線を北上する前にペット可のレストランへと向かう。
車を駐車場に停車し――。
「お昼にするぞ」
「ご飯?」
「わんっ!」
さっきまで後部座席で寝ていたフーちゃんがバッ! と立ち上がると反応してくる。
レストランに入ると、そこはペット可のレストランという事だけあって間取りが広い。
席に通されたあとはメニュー表を渡される。
「おじちゃん」
「――ん?」
「ジンギスカンってなに?」
「羊の肉を焼く料理って意味だって昔に聞いたことがあるな」
「ひつじ?」
「桜は羊を見たことはないのか?」
「うん。ひつじってどんななの?」
「そうだな……」
なんて説明すればいいんだろうか。
もふもふした白い毛を持った馬とでも説明すればいいのか?
いや――、ここは現物を見せた方がいい気がするな。
まぁ、とりあえず食事をしてからだな。
「あとで羊でも見にいくか?」
「見にいくー!」
ジンギスカンは、初めて食べる料理らしいが、桜にもフーちゃんにも好評。
そのあとは、洞爺湖サイロ展望台で観光をしてから、羊牧場に行く。
「すごいの! もふもふなの! あれがジンギスカンなの?」
「あれは羊って言うんだよ」
「ひつじなのに、ジンギスカンなの?」
「料理の名前がジンギスカンで、動物は羊って言うんだよ」
「そうなの? ――でも暑そうなの……」
たしかに桜の言う通り毛がモフモフしてて夏場だから暑そうではある。
それでも、結城村に居る時より10度以上は気温が低いので暮らしやすいとは思う。
「たしか、羊は夏に向けて毛刈りをするって聞いたことがある」
「本当に!?」
桜が、目をキラキラさせて好奇心満載で俺を見てくる。
「本当だ……たぶん……」
羊の生態系を検索していたスマートフォンを後ろに隠しながら頷く。
当然、俺には羊に対しての詳しい知識なんてものはまったくない。
ただ、すごく尊敬ある眼差しで見られると上辺だけの知識で語ったなど言えない。
「毛って何時刈るの?」
「そ、そうだな……。暑くなりそうになったら刈るんじゃないのかな……、ほら――、桜も髪の毛が伸びて暑くなったら切るだろう?」
「うん」
何とかアドリブで乗り切れると思ったところで――、「はい! 皆さん、羊は暑さに弱いので3月から5月にかけて毛を刈ります。暑くなってから刈ってからでは遅いので事前に刈ります」と、何とか乗り切った俺の努力を泡にするかのように俺達が参加していた牧場の案内員が、颯爽と説明をしている。
「おじちゃん……」
「…………さすがプロの羊専門家……」
もう少し空気読んで! 俺の威厳を返して!
羊牧場で羊を見終わったあと――、国道230号線を北上し日が沈む前に札幌市内に到着し事前に、予約しておいた札幌大通り沿いのホテルにチェックインする。
もちろんペット同伴可能というホテルの件数は多くないので殆ど埋まっていた。
しかも夏場ということもあり、価格も高い。
「おじちゃん」
「――ん?」
部屋に荷物を置いたあと、桜が話しかけてくる。
「フーちゃん、籠から出してもいいの?」
俺が頷くとフーちゃんを籠から出す桜。
すぐに籠から出たフーちゃんは体を震わせると部屋の中のベッドの上にジャンプすると横になって目を閉じる。そんなフーちゃんを見ていた桜が俺の方を見てくると「フーちゃん、ずっと車に乗っていたから疲れたみたい」と呟いてくるが、桜も眠そうだ。
手を握ってみると、ほんのりと手が温かい。
「少し休むか」
先に風呂に入りたかったが、風呂に入ったら桜は寝てしまいそうだ。
俺はカバンの中から寝間着を取り出して、眠そうな目をしている桜を着替えさせると室内のツインベッドの一つに寝かせる。
しばらく、身動ぎしていた桜であったが、すぐにスヤスヤという寝息が聞こえてくる。
やはり長時間、車に乗っていたこと――、そして牧場でテンションが高かったことを含めると疲れは溜まっていたのだろう。
「――さて……」
俺はと……。
一応、ノートパソコンは自宅から持ってきておいたから、金を売るための店をピックアップしておくとするか。
ホテルのWiFiに接続してから、金の買い取りをしている店を調べて、ワード内に落とし込んでいく。
「とりあえず、3日間の宿泊中に売れるだけ売らないとな……」
――流石、北海道の中心――、札幌なだけあって金の買い取り店や質屋は多い。
数えただけでも20店舗を超える。
「あれだな……」
ノートパソコンのモニターを見ながら思案する。
今、手元には5000万円近い金の装飾品がある――、これらを全て売るためには札幌市内だけでは難しいと言わざるを得ない。
「そうすると……」
旭川、小樽、滝川、帯広、釧路辺りを回った方がいいな。
それぞれの場所でホテルをネットで予約することにする。
俺一人だけなら、車の中で寝るという方法も出来るが、さすがに桜やフーちゃんを連れている状態だと、それは良くない。
第一、車の中で寝ても疲れは取れないからな。
疲れが取れない状態で運転して事故でも起こしたら、目も当てられない。
「――さて……、こんなものか……」
一段落したところで、パソコンのモニターを見ると時刻は午後8時を表示していて、ちょうどお腹がクーッと鳴る。
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