72 / 437
第72話 鮎の塩焼き
しおりを挟む
――3時間後。
助手席には、函館市内の貴金属買取の店舗を全部制覇した結果、100万円の入った封筒が4つ置かれている。
「思ったよりお金になったな」
結城村周辺の町よりも、ずっと貴金属を買い取ってくれる店が多かったのは幸いだ。
これは札幌まで足を運べば、今回の装飾品に関しては全部捌けるかも知れない。
スマートフォンで、近くの貴金属を売買可能な店を調べていくが――、近隣だと室蘭のみと出る。
「いまは……」
車の時計――、スマートフォン共に午後7時を示している。
室蘭までの距離は200キロ近くあり移動には3時間ほど掛かってしまう。
そうなると……。
「今日は函館市内でホテルを借りるのがベストか」
まずは近くのホテルに電話して空き室があるのか確認するが――、夏休み中ということもあり空きが殆どない。
いくつも電話をしてようやく空き室が取れたのは山間の中の宿。
金額は一人7000円くらいだが、犬を連れても良いと言う事だったので即予約。
――車を函館市内から室蘭に向けて走らせる。
国道5号線を北上し大沼を超え――、森町から山の方へ続く道へとハンドルを切る。
「ここは、冬の時期は閉鎖される道路なのか……」
積雪時や冬の時期は道路が通れませんと言う看板が幾つか立っている。
それどころか熊や鹿に注意という看板から落石注意という看板まで見えたりする。
「熊か……。まぁ会う事はないと思うけど突っ込んで来られたら車が半壊するかも知れないな」
民家も殆どない――、電柱だけが存在する山間の道路を登っていく。
すると、突然――、視界が開けた。
目の前には川が流れており――、そして車が一台ギリギリ通れるくらいの鉄橋が掛かっている。
「こっちでいいんだよな?」
カーナビで確認するが、どうやら宿はこの先にあるようだ。
アクセルを踏み込み鉄橋を超える。
そして、しばらく走っていると山間の中にポツンとログハウスのような建物が見えてきた。
「ログハウスの宿バンガロー」
丁度、車のライトに照らされた看板には予約した宿の名前が確認できる。
駐車場は、砂利を敷いただけのモノ。
一般自動車が10台停まれるかどうかの駐車場に車を停める。
「桜、桜」
「……むにゃ――、おじちゃん?」
「今日の宿に到着したから」
「うん……」
眠そうな目を擦りながら桜はフーちゃんを頭の上に載せたまま車から降りる。
桜の小さな手を手にとり、ログハウスの中に入ると入口で待っていてくれたのか、「いらっしゃいませ! バンガローへようこそ!」と張りのある声で20歳後半の女性が声をかけてくる。
「予約していた月山ですが――」
「はい。伺っています。私、オーナーの長谷川(はせがわ) 香奈(かな)と申します。お部屋の用意は出来ていますので、そちらのスリッパをご利用ください」
彼女の言葉に頷きながら桜の靴を脱がせてスリッパを履かせたあと部屋まで案内してもらう。
宿中は掃除が行き届いているばかりか、調度品は木で作られたモノばかり。
色彩も派手なモノは使われていないから好感がもてる。
「こちらがお部屋になります」
室内に通され――、中を見るが8畳一間の部屋。
基本的な作りは普通のホテルと大差はない。
奥の窓際には、テーブルに二つの椅子が置かれており、そこから窓外を見ることが出来る。
「くーっ」
部屋の中を見ていると桜のお腹から音が――。
「お客様、お食事の用意が出来ておりますので」
「ありがとうございます」
食堂にいくと鍋と肉と野菜にご飯から多種多様な山菜がテーブルの上に置かれている。
「本日は熊鍋の日ですので……」
「くまなべ?」
桜が首を傾げながら興味津々に熊肉を見ている。
フーちゃんも「くんくん」と匂いを嗅いで居るように見えるが、それにしても熊肉か――、たしか話によると獣臭いと聞いたことがあるが……。
「熊って生物の肉を鍋にかけることだよ」
「よく分からないの」
そういえば熊って説明を求められると、なんて説明していいのか分からないよな。
とりあえず熊鍋は美味しかった。
桜にもフーちゃんにも大好評であった。
夕飯後、露天風呂へ――。
ペット可と書かれている宿泊施設なだけあって、お風呂も犬と一緒に入って良いらしく、俺と桜とフーちゃんで風呂に入っていると、フーちゃんは露天風呂の中でぷかーっと浮いている。
「おじちゃん! フーちゃんの犬かき早いの!」
「ワンっ!」
露天風呂は、大人が30人一度に入っても余裕があるほど広い。
その中を、フーちゃんは犬掻きをしている。
その速度は、大人が走るのと遜色ない。
桜の言う通り、たしかに泳ぐ速度が速い。
俺は桜とフーちゃんを横目で見ながら露天風呂の中で肩まで浸かり目を閉じる。
さすがに長時間運転しただけあって疲れている。
「きゃっきゃっ」
「わんっわんっ!」
桜とフーちゃんが露天風呂の中で遊んでいる声が聞こえてきて――、それと同じくバシャバシャと音も聞こえてくる。
今日は、俺達の他に宿泊客が居ないらしいから良いが、他に宿泊客が居た場合、迷惑が掛かってしまうな。
とりあえず、露天風呂ではあまりはしゃぐ事の無いように注意しておいた方がいい。
瞼を開け――、桜の方を見る。
すると、フーちゃんの小さな背中の上に乗った桜と、露天風呂の中を高速で犬掻き――、泳いでいるフーちゃんの姿が視界に入る。
いつも桜の頭の上に乗っているフーちゃんの上に乗っているとか……。
すぐに桜をフーちゃんの上から退かす。
「桜、フーちゃんは子供なんだから乗ったらダメだ。それと風呂場では、静かに入るように!」
「はい……」
「わん……」
何故か知らないが、フーちゃんまでシュンとして答えてきた。
風呂から出たあとは、すでに畳の上に布団が敷かれ寝床の用意がされており、すぐに寝ることが出来た。
朝になり目を覚ますと、フーちゃんの姿が見当たらないことに気が付く。
そして――、廊下に続く部屋の扉が少しだけ空いている。
「まさか!?」
桜は、まだ寝ているから寝かせておく。
すぐに部屋から出て、宿のオーナーに迷惑が掛からないうちにログハウスの中を調べるが――、やはりフーちゃんの姿が見当たらない。
「どこに行ったんだ?」
「月山様、どうかなさいましたか?」
ログハウスの中を見て回っていると、長谷川さんが調理場から出てきた。
どうやら朝食を作っていたようで味噌汁の良い匂いがしてくる。
「実は、うちの犬が――」
途中まで言いかけたところで、庭の方から「わんっ!」という叫び声が聞こえてきた。
そちらへ視線を向けると、フーちゃんが尻尾を振ってタタタッと軽快な歩きで近寄ってくると俺に飛びついてくる。
「見つかったみたいで良かったですね」
「どうもすいません。うちの犬が――」
「いえいえ、お気になさらず」
「フーちゃん、人に心配を掛けるようなことはしたらダメだぞ?」
「くーん」
まあ、見つかったならいいか。
桜を起こしたあとは、朝食を食べる。
料理の献立は鮎の塩焼きや目玉焼き、そしてお味噌汁や海苔と言った日本風であった。
「おじちゃん、これって何?」
「それは鮎って魚だよ」
「あゆ?」
「川魚だからおいしいよ」
「そうなの?」
桜が、鮎を口に運んでいるが、表情から察するに好みではないように見える。
まぁ食べ物の好みは人それぞれだからな。
「わんっ!」
「おじちゃん」
「どうした?」
「フーちゃんがね。昨日の夜に、ここに居る人達を狙ってきた大型の獲物を狩ったらしいの」
「大型の獲物?」
俺は両掌に乗るくらいの小さな子犬であるフーちゃんを見る。
少なくとも、フーちゃんくらいの大きさだとバッタとか、昆虫程度を倒すのが関の山だろう。
助手席には、函館市内の貴金属買取の店舗を全部制覇した結果、100万円の入った封筒が4つ置かれている。
「思ったよりお金になったな」
結城村周辺の町よりも、ずっと貴金属を買い取ってくれる店が多かったのは幸いだ。
これは札幌まで足を運べば、今回の装飾品に関しては全部捌けるかも知れない。
スマートフォンで、近くの貴金属を売買可能な店を調べていくが――、近隣だと室蘭のみと出る。
「いまは……」
車の時計――、スマートフォン共に午後7時を示している。
室蘭までの距離は200キロ近くあり移動には3時間ほど掛かってしまう。
そうなると……。
「今日は函館市内でホテルを借りるのがベストか」
まずは近くのホテルに電話して空き室があるのか確認するが――、夏休み中ということもあり空きが殆どない。
いくつも電話をしてようやく空き室が取れたのは山間の中の宿。
金額は一人7000円くらいだが、犬を連れても良いと言う事だったので即予約。
――車を函館市内から室蘭に向けて走らせる。
国道5号線を北上し大沼を超え――、森町から山の方へ続く道へとハンドルを切る。
「ここは、冬の時期は閉鎖される道路なのか……」
積雪時や冬の時期は道路が通れませんと言う看板が幾つか立っている。
それどころか熊や鹿に注意という看板から落石注意という看板まで見えたりする。
「熊か……。まぁ会う事はないと思うけど突っ込んで来られたら車が半壊するかも知れないな」
民家も殆どない――、電柱だけが存在する山間の道路を登っていく。
すると、突然――、視界が開けた。
目の前には川が流れており――、そして車が一台ギリギリ通れるくらいの鉄橋が掛かっている。
「こっちでいいんだよな?」
カーナビで確認するが、どうやら宿はこの先にあるようだ。
アクセルを踏み込み鉄橋を超える。
そして、しばらく走っていると山間の中にポツンとログハウスのような建物が見えてきた。
「ログハウスの宿バンガロー」
丁度、車のライトに照らされた看板には予約した宿の名前が確認できる。
駐車場は、砂利を敷いただけのモノ。
一般自動車が10台停まれるかどうかの駐車場に車を停める。
「桜、桜」
「……むにゃ――、おじちゃん?」
「今日の宿に到着したから」
「うん……」
眠そうな目を擦りながら桜はフーちゃんを頭の上に載せたまま車から降りる。
桜の小さな手を手にとり、ログハウスの中に入ると入口で待っていてくれたのか、「いらっしゃいませ! バンガローへようこそ!」と張りのある声で20歳後半の女性が声をかけてくる。
「予約していた月山ですが――」
「はい。伺っています。私、オーナーの長谷川(はせがわ) 香奈(かな)と申します。お部屋の用意は出来ていますので、そちらのスリッパをご利用ください」
彼女の言葉に頷きながら桜の靴を脱がせてスリッパを履かせたあと部屋まで案内してもらう。
宿中は掃除が行き届いているばかりか、調度品は木で作られたモノばかり。
色彩も派手なモノは使われていないから好感がもてる。
「こちらがお部屋になります」
室内に通され――、中を見るが8畳一間の部屋。
基本的な作りは普通のホテルと大差はない。
奥の窓際には、テーブルに二つの椅子が置かれており、そこから窓外を見ることが出来る。
「くーっ」
部屋の中を見ていると桜のお腹から音が――。
「お客様、お食事の用意が出来ておりますので」
「ありがとうございます」
食堂にいくと鍋と肉と野菜にご飯から多種多様な山菜がテーブルの上に置かれている。
「本日は熊鍋の日ですので……」
「くまなべ?」
桜が首を傾げながら興味津々に熊肉を見ている。
フーちゃんも「くんくん」と匂いを嗅いで居るように見えるが、それにしても熊肉か――、たしか話によると獣臭いと聞いたことがあるが……。
「熊って生物の肉を鍋にかけることだよ」
「よく分からないの」
そういえば熊って説明を求められると、なんて説明していいのか分からないよな。
とりあえず熊鍋は美味しかった。
桜にもフーちゃんにも大好評であった。
夕飯後、露天風呂へ――。
ペット可と書かれている宿泊施設なだけあって、お風呂も犬と一緒に入って良いらしく、俺と桜とフーちゃんで風呂に入っていると、フーちゃんは露天風呂の中でぷかーっと浮いている。
「おじちゃん! フーちゃんの犬かき早いの!」
「ワンっ!」
露天風呂は、大人が30人一度に入っても余裕があるほど広い。
その中を、フーちゃんは犬掻きをしている。
その速度は、大人が走るのと遜色ない。
桜の言う通り、たしかに泳ぐ速度が速い。
俺は桜とフーちゃんを横目で見ながら露天風呂の中で肩まで浸かり目を閉じる。
さすがに長時間運転しただけあって疲れている。
「きゃっきゃっ」
「わんっわんっ!」
桜とフーちゃんが露天風呂の中で遊んでいる声が聞こえてきて――、それと同じくバシャバシャと音も聞こえてくる。
今日は、俺達の他に宿泊客が居ないらしいから良いが、他に宿泊客が居た場合、迷惑が掛かってしまうな。
とりあえず、露天風呂ではあまりはしゃぐ事の無いように注意しておいた方がいい。
瞼を開け――、桜の方を見る。
すると、フーちゃんの小さな背中の上に乗った桜と、露天風呂の中を高速で犬掻き――、泳いでいるフーちゃんの姿が視界に入る。
いつも桜の頭の上に乗っているフーちゃんの上に乗っているとか……。
すぐに桜をフーちゃんの上から退かす。
「桜、フーちゃんは子供なんだから乗ったらダメだ。それと風呂場では、静かに入るように!」
「はい……」
「わん……」
何故か知らないが、フーちゃんまでシュンとして答えてきた。
風呂から出たあとは、すでに畳の上に布団が敷かれ寝床の用意がされており、すぐに寝ることが出来た。
朝になり目を覚ますと、フーちゃんの姿が見当たらないことに気が付く。
そして――、廊下に続く部屋の扉が少しだけ空いている。
「まさか!?」
桜は、まだ寝ているから寝かせておく。
すぐに部屋から出て、宿のオーナーに迷惑が掛からないうちにログハウスの中を調べるが――、やはりフーちゃんの姿が見当たらない。
「どこに行ったんだ?」
「月山様、どうかなさいましたか?」
ログハウスの中を見て回っていると、長谷川さんが調理場から出てきた。
どうやら朝食を作っていたようで味噌汁の良い匂いがしてくる。
「実は、うちの犬が――」
途中まで言いかけたところで、庭の方から「わんっ!」という叫び声が聞こえてきた。
そちらへ視線を向けると、フーちゃんが尻尾を振ってタタタッと軽快な歩きで近寄ってくると俺に飛びついてくる。
「見つかったみたいで良かったですね」
「どうもすいません。うちの犬が――」
「いえいえ、お気になさらず」
「フーちゃん、人に心配を掛けるようなことはしたらダメだぞ?」
「くーん」
まあ、見つかったならいいか。
桜を起こしたあとは、朝食を食べる。
料理の献立は鮎の塩焼きや目玉焼き、そしてお味噌汁や海苔と言った日本風であった。
「おじちゃん、これって何?」
「それは鮎って魚だよ」
「あゆ?」
「川魚だからおいしいよ」
「そうなの?」
桜が、鮎を口に運んでいるが、表情から察するに好みではないように見える。
まぁ食べ物の好みは人それぞれだからな。
「わんっ!」
「おじちゃん」
「どうした?」
「フーちゃんがね。昨日の夜に、ここに居る人達を狙ってきた大型の獲物を狩ったらしいの」
「大型の獲物?」
俺は両掌に乗るくらいの小さな子犬であるフーちゃんを見る。
少なくとも、フーちゃんくらいの大きさだとバッタとか、昆虫程度を倒すのが関の山だろう。
528
お気に入りに追加
1,954
あなたにおすすめの小説
最強の英雄は幼馴染を守りたい
なつめ猫
ファンタジー
異世界に魔王を倒す勇者として間違えて召喚されてしまった桂木(かつらぎ)優斗(ゆうと)は、女神から力を渡される事もなく一般人として異世界アストリアに降り立つが、勇者召喚に失敗したリメイラール王国は、世界中からの糾弾に恐れ優斗を勇者として扱う事する。
そして勇者として戦うことを強要された優斗は、戦いの最中、自分と同じように巻き込まれて召喚されてきた幼馴染であり思い人の神楽坂(かぐらざか)都(みやこ)を目の前で、魔王軍四天王に殺されてしまい仇を取る為に、復讐を誓い長い年月をかけて戦う術を手に入れ魔王と黒幕である女神を倒す事に成功するが、その直後、次元の狭間へと呑み込まれてしまい意識を取り戻した先は、自身が異世界に召喚される前の現代日本であった。
どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ
ボケ猫
ファンタジー
日々、異世界などの妄想をする、アラフォーのテツ。
ある日突然、この世界のシステムが、魔法やレベルのある世界へと変化。
夢にまで見たシステムに大喜びのテツ。
そんな中、アラフォーのおっさんがレベルを上げながら家族とともに新しい世界を生きていく。
そして、世界変化の一因であろう異世界人の転移者との出会い。
新しい世界で、新たな出会い、関係を構築していこうとする物語・・・のはず・・。
おっさんの異世界建国記
なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。
【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜
櫛田こころ
ファンタジー
料理人の人生を絶たれた。
和食料理人である女性の秋吉宏香(あきよしひろか)は、ひき逃げ事故に遭ったのだ。
命には関わらなかったが、生き甲斐となっていた料理人にとって大事な利き腕の神経が切れてしまい、不随までの重傷を負う。
さすがに勤め先を続けるわけにもいかず、辞めて公園で途方に暮れていると……女神に請われ、異世界転移をすることに。
腕の障害をリセットされたため、新たな料理人としての人生をスタートさせようとした時に、尾が二又に別れた猫が……ジビエに似た魔物を狩っていたところに遭遇。
料理人としての再スタートの機会を得た女性と、猟りの腕前はプロ級の猫又ぽい魔物との飯テロスローライフが始まる!!
おっかなびっくり料理の小料理屋さんの料理を召し上がれ?
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
転生幼女具現化スキルでハードな異世界生活
高梨
ファンタジー
ストレス社会、労働社会、希薄な社会、それに揉まれ石化した心で唯一の親友を守って私は死んだ……のだけれども、死後に閻魔に下されたのは願ってもない異世界転生の判決だった。
黒髪ロングのアメジストの眼をもつ美少女転生して、
接客業後遺症の無表情と接客業の武器営業スマイルと、勝手に進んで行く周りにゲンナリしながら彼女は異世界でくらします。考えてるのに最終的にめんどくさくなって突拍子もないことをしでかして周りに振り回されると同じくらい周りを振り回します。
中性パッツン氷帝と黒の『ナンでも?』できる少女の恋愛ファンタジー。平穏は遙か彼方の代物……この物語をどうぞ見届けてくださいませ。
無表情中性おかっぱ王子?、純粋培養王女、オカマ、下働き大好き系国王、考え過ぎて首を落としたまま過ごす医者、女装メイド男の娘。
猫耳獣人なんでもござれ……。
ほの暗い恋愛ありファンタジーの始まります。
R15タグのように15に収まる範囲の描写がありますご注意ください。
そして『ほの暗いです』
駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ
壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。
幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。
「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」
泣きじゃくる彼女に、彼は言った。
「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」
「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」
そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。
※2019年10月、完結しました。
※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。
王太子様に婚約破棄されましたので、辺境の地でモフモフな動物達と幸せなスローライフをいたします。
なつめ猫
ファンタジー
公爵令嬢のエリーゼは、婚約者であるレオン王太子に婚約破棄を言い渡されてしまう。
二人は、一年後に、国を挙げての結婚を控えていたが、それが全て無駄に終わってしまう。
失意の内にエリーゼは、公爵家が管理している辺境の地へ引き篭もるようにして王都を去ってしまうのであった。
――そう、引き篭もるようにして……。
表向きは失意の内に辺境の地へ篭ったエリーゼは、多くの貴族から同情されていたが……。
じつは公爵令嬢のエリーゼは、本当は、貴族には向かない性格だった。
ギスギスしている貴族の社交の場が苦手だったエリーゼは、辺境の地で、モフモフな動物とスローライフを楽しむことにしたのだった。
ただ一つ、エリーゼには稀有な才能があり、それは王国で随一の回復魔法の使い手であり、唯一精霊に愛される存在であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる