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第199話 エピローグ2(3)
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「そういえば、カズマ殿と一緒に旅をされていると言う事は、エミリア殿の冒険者なのですかな?」
「一応は――」
「うむ。妾も冒険者である」
幼女に変化しているリオンが無い胸を張ってベルガルとエミリアの間に割って入る。
「どれどれ」
自信満々と言った様子で、これ見よがしにリオンが取り出した冒険者ギルドカード。
それを受け取ったベルガルの表情が青く変わっていく。
「Sランク冒険者ですと!? しかも城塞都市デリアの冒険者ということは王族関係者からも許可を得ているということで……」
何か気になるワードが出てきたが、それは横に置いておくとしよう。
「――ということは、まさか……。エミリア殿も?」
「一応は……」
「まさか、世界でもほとんどいないとされているSランク冒険者が、3人もいるとは……」
「主」
「何だ? イドル」
「我も冒険者ギルドカードというのが欲しい」
「それは冒険者ギルドに登録しないと駄目だな」
「冒険者ギルドに登録すれば、主と同じに?」
「まぁ、一応は同じ派閥に入ることになるな」
「なるほど……。――それは人間の?」
「そうだな」
「――では、すぐに人間の町に向かおうとしましょう」
「あとでな。それに、リーン王国の王都まで、あと少しだからな。連絡が取れなくなってから数か月。どうなっているか分からないし」
もしかしたら、すでに王都は滅んでいる可能性すらある。
その点を考慮すれば、しばらく冒険者ギルドに登録するのは無理だろう。
「――では、早く王都とやらに向かいましょうぞ! おい! 人間! すぐに出立できるように準備せぬか! 痛っ!?」
尊大な口調で、冒険者や兵士達に命令を下した地竜の頭を殴りつける。
せっかく獣人の好感度が上がっているのに、余計なことはしないでもらいたい。
「すでにベルガルとの話し合いは済んでいる。お前は、黙って居ろ」
「ですが――しかし……」
「もう一度、俺と戦うか?」
「分かりました!」
直立不動となるイドルを兵士や冒険者が見て色々な憶測を口にしていく。
主には、俺がそんなに強いのか? と言った内容であったが、中にはエミリアの尻に敷かれているのでは? と、言い出す奴もいる。
まぁどっちでもいいが……。
しばらくして幌馬車の用意が済む。
もちろんハーネルを掴むのはリオン。
そして、俺以外のイドルとエミリアは先に幌馬車へと乗っている。
「ベルガル、世話になったな」
「いや。こちらこそ。生き残りを集めて王都へ戻るつもりだ。王都が、どうなっているかは分からないが、もし王都で出会ったら、その時、話そう」
俺はベルガルと握手を交わす。
そして御者席に座ったところで思い出す。
「そういえばベルガル」
「どうした? 何か問題でも?」
「いや、特に問題はないんだが――兵士団長はどうした?」
「兵士団長は、商隊を先に追っている」
「そうか」
「ああ。では、カズマ殿。御武運を」
「ベルガルこそ頑張れよ」
「ああ」
挨拶を交わしたところで、リオンが走り出す。
もちろん馬車を引きながら。
「さあ、目指す目的は、王都リンガイアだ!」
「一応は――」
「うむ。妾も冒険者である」
幼女に変化しているリオンが無い胸を張ってベルガルとエミリアの間に割って入る。
「どれどれ」
自信満々と言った様子で、これ見よがしにリオンが取り出した冒険者ギルドカード。
それを受け取ったベルガルの表情が青く変わっていく。
「Sランク冒険者ですと!? しかも城塞都市デリアの冒険者ということは王族関係者からも許可を得ているということで……」
何か気になるワードが出てきたが、それは横に置いておくとしよう。
「――ということは、まさか……。エミリア殿も?」
「一応は……」
「まさか、世界でもほとんどいないとされているSランク冒険者が、3人もいるとは……」
「主」
「何だ? イドル」
「我も冒険者ギルドカードというのが欲しい」
「それは冒険者ギルドに登録しないと駄目だな」
「冒険者ギルドに登録すれば、主と同じに?」
「まぁ、一応は同じ派閥に入ることになるな」
「なるほど……。――それは人間の?」
「そうだな」
「――では、すぐに人間の町に向かおうとしましょう」
「あとでな。それに、リーン王国の王都まで、あと少しだからな。連絡が取れなくなってから数か月。どうなっているか分からないし」
もしかしたら、すでに王都は滅んでいる可能性すらある。
その点を考慮すれば、しばらく冒険者ギルドに登録するのは無理だろう。
「――では、早く王都とやらに向かいましょうぞ! おい! 人間! すぐに出立できるように準備せぬか! 痛っ!?」
尊大な口調で、冒険者や兵士達に命令を下した地竜の頭を殴りつける。
せっかく獣人の好感度が上がっているのに、余計なことはしないでもらいたい。
「すでにベルガルとの話し合いは済んでいる。お前は、黙って居ろ」
「ですが――しかし……」
「もう一度、俺と戦うか?」
「分かりました!」
直立不動となるイドルを兵士や冒険者が見て色々な憶測を口にしていく。
主には、俺がそんなに強いのか? と言った内容であったが、中にはエミリアの尻に敷かれているのでは? と、言い出す奴もいる。
まぁどっちでもいいが……。
しばらくして幌馬車の用意が済む。
もちろんハーネルを掴むのはリオン。
そして、俺以外のイドルとエミリアは先に幌馬車へと乗っている。
「ベルガル、世話になったな」
「いや。こちらこそ。生き残りを集めて王都へ戻るつもりだ。王都が、どうなっているかは分からないが、もし王都で出会ったら、その時、話そう」
俺はベルガルと握手を交わす。
そして御者席に座ったところで思い出す。
「そういえばベルガル」
「どうした? 何か問題でも?」
「いや、特に問題はないんだが――兵士団長はどうした?」
「兵士団長は、商隊を先に追っている」
「そうか」
「ああ。では、カズマ殿。御武運を」
「ベルガルこそ頑張れよ」
「ああ」
挨拶を交わしたところで、リオンが走り出す。
もちろん馬車を引きながら。
「さあ、目指す目的は、王都リンガイアだ!」
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