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第172話 失意の慟哭(1) エミリアside
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私の身体を地竜は掴んだ後、砂の中へと潜った地竜は、私の身体に負荷が掛からないように泳いで移動する。
しばらく地竜は、砂の中を移動し――、体感時間としては1時間ほどで砂の中から飛び出て落ちる。
「ここは!?」
連れて来られた場所は砂漠の地下の深淵。
地底に存在している大空洞。
人口100人程度の村がまるまる入るほどの巨大な地底の空洞。
そこは私がよく知っている場所で――。
「懐かしいであろう?」
「それは……」
「まあ、よい。その祭壇の上に乗っておれ。お前が何をするのかは覚えているだろう?」
地竜は、私を黒の大理石で作られた祭壇の上に寝かせてくる。
契約を行ったモノが私の魂に干渉してきているのか、私の体は、指一本動かすことができない。
「同意の確認が出来ないのう。どういうことか?」
「……降臨の儀式を行わないと駄目なのでしょうか」
「何を言っている? お前は、それを代償にして助かったのだろう?」
「――でも、あの時は……」
「まぁよい。これを渡しておこう。お前は、お前の役目を忘れぬことだな。もし、契約を違えるような事があれば、お前を助けようとした者達の頑張りが全て無駄になるのだからな。それに貴様が贄として差し出してきた者達も浮かばれぬだろう?」
「――っ」
私は、その地竜の言葉に唇を噛みしめる。
「ほう……。これは……」
私から距離を離れていく地竜。
以前、私が降臨の儀式をした際には、私から片時も離れる事はなかったのに……。
「どこにいくのですか?」
「決まっている。お前の縁者が、どういう手段をとったかは知らぬが近づいてきている」
「リオンちゃんが!?」
「リオンというのか? あの水竜アクアドラゴンを、そういう名前で呼んでいるのか? よくエンブリオンが許可したものだ」
「待ってください! 約束が!」
私は地竜へ向けて声を張り上げる。
「一度は救った命を捨てにきているのだ。つまり、水竜は戦うつもりがあるということだ。つまり殺されても文句は言えない。そうことだ」
「そんなことを私が許すわけ――」
「愚かな――。たかが獣人の1人である汝と、四大属性を司る地竜の頂点たる我との力関係が同等だと思っておるのか? 本来であるのなら、エミリア、貴様には自身の意識で契約を遂行してもらいたかったが、致し方ないな」
「――なっ!」
地竜の目が赤く光ると共に、私の意識が暗闇の中へと呑まれていく。
意識を保とうとしても、まるで抵抗を許されず、強烈な眠気が襲ってくると同時に視界がぼやける。
「やめ……て……」
最後まで言い終える前に、私の意識は途絶えた。
しばらく地竜は、砂の中を移動し――、体感時間としては1時間ほどで砂の中から飛び出て落ちる。
「ここは!?」
連れて来られた場所は砂漠の地下の深淵。
地底に存在している大空洞。
人口100人程度の村がまるまる入るほどの巨大な地底の空洞。
そこは私がよく知っている場所で――。
「懐かしいであろう?」
「それは……」
「まあ、よい。その祭壇の上に乗っておれ。お前が何をするのかは覚えているだろう?」
地竜は、私を黒の大理石で作られた祭壇の上に寝かせてくる。
契約を行ったモノが私の魂に干渉してきているのか、私の体は、指一本動かすことができない。
「同意の確認が出来ないのう。どういうことか?」
「……降臨の儀式を行わないと駄目なのでしょうか」
「何を言っている? お前は、それを代償にして助かったのだろう?」
「――でも、あの時は……」
「まぁよい。これを渡しておこう。お前は、お前の役目を忘れぬことだな。もし、契約を違えるような事があれば、お前を助けようとした者達の頑張りが全て無駄になるのだからな。それに貴様が贄として差し出してきた者達も浮かばれぬだろう?」
「――っ」
私は、その地竜の言葉に唇を噛みしめる。
「ほう……。これは……」
私から距離を離れていく地竜。
以前、私が降臨の儀式をした際には、私から片時も離れる事はなかったのに……。
「どこにいくのですか?」
「決まっている。お前の縁者が、どういう手段をとったかは知らぬが近づいてきている」
「リオンちゃんが!?」
「リオンというのか? あの水竜アクアドラゴンを、そういう名前で呼んでいるのか? よくエンブリオンが許可したものだ」
「待ってください! 約束が!」
私は地竜へ向けて声を張り上げる。
「一度は救った命を捨てにきているのだ。つまり、水竜は戦うつもりがあるということだ。つまり殺されても文句は言えない。そうことだ」
「そんなことを私が許すわけ――」
「愚かな――。たかが獣人の1人である汝と、四大属性を司る地竜の頂点たる我との力関係が同等だと思っておるのか? 本来であるのなら、エミリア、貴様には自身の意識で契約を遂行してもらいたかったが、致し方ないな」
「――なっ!」
地竜の目が赤く光ると共に、私の意識が暗闇の中へと呑まれていく。
意識を保とうとしても、まるで抵抗を許されず、強烈な眠気が襲ってくると同時に視界がぼやける。
「やめ……て……」
最後まで言い終える前に、私の意識は途絶えた。
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