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第137話 城塞都市デリアⅡ(8)
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仮眠というか、本眠に近い休みを取ったあと冒険者ギルドに到着。
「あっ、カズマさん!」
建物の中へ入り、ギルドマスターを呼んでもらおうとカウンターに近づくと見知らぬ冒険者ギルドの受付嬢が、俺の名前を呼んできた。
「君は?」
「デリア支店で働いているカレンと言います」
そう話しかけてきたのは、ファンタジー世界ならではのピンク色のツインテールの女性。
あまり奇抜な髪色をした女性は見たことは、この世界に来てから殆ど無かったから失念していたが、アルドガルド・オンラインの世界において基本的な髪色の特色というのは大きく分けられている。
ちなみに髪色は黒髪、金髪、白髪、この辺が一般的で、それ以外はイベントキャラや、重要なキャラと言った立ち位置のキャラが多い。
つまり……、俺に話しかけてきたカレンという冒険者ギルドで働いている女性は、【そういう立ち位置】にいるキャラと言うことになる。
ただ、俺には彼女のようなキャラに心当たりがない。
まぁ、アルガルド・オンラインよりも前の世界なのだから仕方の無い事なのかも知れないが……。
「カズマだ。それよりもギルドマスターに会いたいんだが?」
「分かりました。すぐに確認を取ってきます」
彼女は、そのまま冒険者ギルドの関係者以外が立ち入り禁止区域とされている通路を走っていく。
「重要なキャラじゃないのか……」
何か事件が起きると思っていただけに少し肩透かしの部分はあるが、余計な問題が起きないことは良い事だと自分に言い聞かせる。
「カズマさんっ」
しばらくすると俺の名前を大きな声で叫びなら子走りで近づいてくるカレンと受付嬢。
「話は通してくれたのか?」
「はい! すぐにお会いしたいとのことです」
「分かった。案内してくれ」
すでに時刻はお昼を過ぎている。
本来なら、宿を引き払っていなければいけない時間であったが、エミリアと色々と情事をしていたので、いまだにエミリアとリオンは滞在しているというグダグダっぷりだ。
「おおっ、待っていたぞ」
「すまない。遅くなった」
ギルドマスターの部屋に入ると同時に話しかけてきた城塞都市デリアの冒険者ギルドマスターのラムド。
俺は、言葉を返しながら勧められたソファーへ座る。
「龍籠の用意は既に済んでいる。――で、すぐに出立するのか?」
ラムドの問いかけに俺は頭を左右にふる。
「まだ、しばらくデリアに滞在するという事か?」
「いや、そうじゃない」
「なら、すぐに出るということか?」
「ああ、デリアから今日中に出立することは確定しているんだが……」
「歯切れが悪いな? 何か、問題でも起きたのか?」
「問題というか……龍籠についてだが、うちのパーティメンバーの中に空が苦手な奴がいてな。それで龍籠を利用できなくなった」
「つまり陸路で王都まで向かうということか?」
「そうなる」
俺の答えに無言になるラムド。
「何か問題でもあるのか?」
「――いや、じつはな……。魔王軍がリーン王国の王都に攻撃を仕掛けてきているという事は知っていると思うが……」
「ああ、それはソフィアから聞かされているな」
「じつはな、攻連絡が取れなくなってから一週間以上が経過しているんだ。もしかしたら王都は危険な状況に置かれているのかも知れない。何せ、魔王軍四天王は人を凌駕した力の持ち主だからな」
「たしかにな……」
そりゃ王都が陥落しているかも知れないとなったら、すぐにでも手練れを王都に送りたいというのは分かる。
まぁ、もしかしたら最初からソフィアは四天王を倒した俺を王都へ送るのが目的で依頼をかけた可能性もありそうだが……。
「あっ、カズマさん!」
建物の中へ入り、ギルドマスターを呼んでもらおうとカウンターに近づくと見知らぬ冒険者ギルドの受付嬢が、俺の名前を呼んできた。
「君は?」
「デリア支店で働いているカレンと言います」
そう話しかけてきたのは、ファンタジー世界ならではのピンク色のツインテールの女性。
あまり奇抜な髪色をした女性は見たことは、この世界に来てから殆ど無かったから失念していたが、アルドガルド・オンラインの世界において基本的な髪色の特色というのは大きく分けられている。
ちなみに髪色は黒髪、金髪、白髪、この辺が一般的で、それ以外はイベントキャラや、重要なキャラと言った立ち位置のキャラが多い。
つまり……、俺に話しかけてきたカレンという冒険者ギルドで働いている女性は、【そういう立ち位置】にいるキャラと言うことになる。
ただ、俺には彼女のようなキャラに心当たりがない。
まぁ、アルガルド・オンラインよりも前の世界なのだから仕方の無い事なのかも知れないが……。
「カズマだ。それよりもギルドマスターに会いたいんだが?」
「分かりました。すぐに確認を取ってきます」
彼女は、そのまま冒険者ギルドの関係者以外が立ち入り禁止区域とされている通路を走っていく。
「重要なキャラじゃないのか……」
何か事件が起きると思っていただけに少し肩透かしの部分はあるが、余計な問題が起きないことは良い事だと自分に言い聞かせる。
「カズマさんっ」
しばらくすると俺の名前を大きな声で叫びなら子走りで近づいてくるカレンと受付嬢。
「話は通してくれたのか?」
「はい! すぐにお会いしたいとのことです」
「分かった。案内してくれ」
すでに時刻はお昼を過ぎている。
本来なら、宿を引き払っていなければいけない時間であったが、エミリアと色々と情事をしていたので、いまだにエミリアとリオンは滞在しているというグダグダっぷりだ。
「おおっ、待っていたぞ」
「すまない。遅くなった」
ギルドマスターの部屋に入ると同時に話しかけてきた城塞都市デリアの冒険者ギルドマスターのラムド。
俺は、言葉を返しながら勧められたソファーへ座る。
「龍籠の用意は既に済んでいる。――で、すぐに出立するのか?」
ラムドの問いかけに俺は頭を左右にふる。
「まだ、しばらくデリアに滞在するという事か?」
「いや、そうじゃない」
「なら、すぐに出るということか?」
「ああ、デリアから今日中に出立することは確定しているんだが……」
「歯切れが悪いな? 何か、問題でも起きたのか?」
「問題というか……龍籠についてだが、うちのパーティメンバーの中に空が苦手な奴がいてな。それで龍籠を利用できなくなった」
「つまり陸路で王都まで向かうということか?」
「そうなる」
俺の答えに無言になるラムド。
「何か問題でもあるのか?」
「――いや、じつはな……。魔王軍がリーン王国の王都に攻撃を仕掛けてきているという事は知っていると思うが……」
「ああ、それはソフィアから聞かされているな」
「じつはな、攻連絡が取れなくなってから一週間以上が経過しているんだ。もしかしたら王都は危険な状況に置かれているのかも知れない。何せ、魔王軍四天王は人を凌駕した力の持ち主だからな」
「たしかにな……」
そりゃ王都が陥落しているかも知れないとなったら、すぐにでも手練れを王都に送りたいというのは分かる。
まぁ、もしかしたら最初からソフィアは四天王を倒した俺を王都へ送るのが目的で依頼をかけた可能性もありそうだが……。
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