本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫@書籍化作家

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第135話 城塞都市デリアⅡ(6)

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 それよりもデリカシーとか言われても、目の前にいる奴はドラゴンだからな。
 それに配慮しろと言われても困る。

「とりあえずだ。明日、冒険者ギルドに向かった足で王都へと向かうことになるから心しておいてくれ」
「はい」
「了解した。マスター」
「セリアンさん、いいですか?」
「あら? 話しは終わったの?」

 俺達が話している席から少し離れた場所のカウンターでグラスを拭いていた宿屋の娘の母親――、セリアンさんが近づいてくる。

「――それで、何かようかしら?」
「明日、王都へ向かうことになったので」
「あ、そういうことね。宿に泊まるのは明日までということね?」
「はい。それで支払いに関してですが、前渡ししておきたいのですが……」
「分かったわ。先に清算をしておきたいということね」

 セリアンさんが提示してきた宿代。
 それは明らかに……。

「えっと……、この金額は……」

 俺は震える声で、セリアンさんに金額が間違っているのではないのか? と、懇願するような眼差しで語り掛ける。

「夫が料理の腕の振るいがいがあるって喜んでいたわ」

 つまり、宿代ではなく料理の値段。
 そして――、普段の俺達が食べる量は一般的な量。
 つまり……。
 手渡された紙に書かれている金額は、間違いなく内訳は……。

「りーおーんー」
「ひっ! マスター!?」
「支払いの金額が金貨10枚とか、お前、どんだけ飯食っているんだ!?」
「カズマ、どうかしたのですか?」
「どうしたもこうしたもない。なぜかリオンが宿で大量の食事をした事になっている。そして、これが、その内訳だ!」

 俺は、セリアンさんに渡された紙をテーブルの上に置く。
 食べた料理の数は、1000を超える。

「流石の俺も、スープ寸胴5杯という請求は初めてみたぞ!」
「これは……すごいですね。リオンちゃん」
「うむ。仮にも妾は、最強の竜の一角! 食事も、最強で無くてはならないからの」
「いや、そこは、少しは気にしような」

 俺は溜息をつきながらアイテムボックスを起動し、金貨を取り出す。
 まさか、俺とエミリアが冒険者ギルドに赴き、買い物に行っている間に、金貨9枚分――、日本円にして90万円分の食事をするとは思わなかった。

 これから先が思いやられるぜ。
 生活費が大変になったらリオンを野谷にリリースしてもいいかも知れないな。

 まぁ、そんなことをしたらエミリアが悲しむだろうから出来ないけど。

「ありがとうございます。それでは、丁度、受け取りました」
「セリアンさん、うちのリオンが何かかなりお世話になりました」
「いえ、こちらこそ。とても助かりました。それに夫や私も助けて頂きまして」
「いえいえ。一応、助けて頂いたお礼と言うことで、3割引きしておきましたので」

 3割引きで金貨10枚とか、うちのパーティのエンゲル係数が普通に怖いな。
 

 
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