本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫@書籍化作家

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第95話 城塞都市デリア(1)

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 ウッドパルプの村を出てから、2日が過ぎたころ、次の町の光景が地平線の彼方にうっすらと見えてきた。

「おい。今日は、町で休めそうだぞ?」
「本当ですか?」
「美味しい物があればよいの」

 幌馬車の中で魔法講義を受けていたエミリアと、講師役のリオンが顔を出す。
 リオンとしては初めての生徒? なので熱心に教えているようだ。
 元々、最強の力と固有スキルに固有魔法まで所持して作られたリオンにとっては段階を踏んで強くなっていく不完全な存在は興味の対象らしい。

「そうだな」
「それですとリーン王国の王都の一歩手前に来たという事ですね」

 俺は、そう問いかけてくるエミリアに頷く。
 そして――昼間だという事もありハッキリと見えてくる城塞都市デリアの全容。
 地下鉱山を保有しているだけあり、リーン王国の王都の次に大きい都市である事から人口も2万人規模と、11世紀のロンドンと同じ人口を誇る。

「大きい町ですね」

 遠くから見ているだけで、巨大な城壁に囲まれているのは見て取れた。
 エミリアは、俺の横に座ると、体を預けてくる。
 
「そうだな」

 俺は言葉を返しながら馬の手綱を操り、人口だけで言えばハイネの4倍に迫る城塞都市デリアへと幌馬車を走らせた。



 ――時間にしては2時間ほど。

「なるほど、港町ケインからリーン王国の王都までの依頼で移動していると……」

 城塞都市を囲む出入り口の一つである城門前で冒険者ギルドカードを衛兵に見せつつ。

「ああ、そうだ」
「なるほど……。名前は……、カズマと……。とくに手配などは掛かってはいないな。よし! おーい門を上げてくれ!」

 20代の若い衛兵が声を張り上げる。
 すると、門が上っていく。
 どうやら、城塞都市デリアは城門が左右で開くタイプのモノでは無いらしい。

「それにしても、ずいぶんと物々しい警備だな」

 俺は城壁の上を見ながら衛兵に話しかける。

「ああ、なんでも世界を救う為に召喚した勇者3人組が全員、魔王軍についたらしい。ハイネ領主から情報が少し前に届いてから町はパニックさ」
「なるほど……」

 そうなると通信系の物は無かったのか。
 ハイネ領主が送ってくるくらいだもんな。

「そういえば、あんたはハイネ領から来たんだよな?」
「まぁ、そうだが?」
「それなら新しい情報とかないのか? ここを治めている総督府の御偉いさんは続報を待っているんだよ」
「そうだな……」

 まぁ、ハイネ領主が、俺達がハイネに到着する前に城塞都市デリアに兵士を派兵して情報を送っていたのなら、俺達が持つ情報は価値があるだろう。

「気が向いたら考えて――」
「気が向かなくても来てもらうぞ? 冒険者」

 俺が、言いかけたところで、言葉を被せてくる女の声。
 視線を向ければ開かれた城門の内側――、つまり町側の方から甲冑を来た人間が近づいてきた。



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