本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫@書籍化作家

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第86話 森林の中の町(4)

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 広場に戻ったところで、100人近い村人が横になっている様子が目に入ってきた。
 そして広場の外の家々から、次々と回復した村人により怪我人が運ばれてくる。

「エミリア」

 エミリアは丁度、10歳くらいの男の子を運んでいた所だったので、近づいて話しかける。

「カズマの方はどうでしたか?」
「俺の方は、全員を助けることが出来た。エミリアの方は?」
「リオンちゃんの範囲回復魔法で何とか……、でも回復まで時間がかかっていて――」
「分かった。早急に回復させる必要がある村人は俺が治していく。エミリアは、他に怪我人が居ないか見て回ってくれ」
「わかりました」

 エミリアが抱えている男の子に『ヒールLV10』を掛けた後、広場で徐々に回復し続けている村人を一人一人に回復魔法をかけていく。
 そして10分ほどが経過した所で運ばれてくる村人はいなくなった。

「とりあえず、こんなもんか」

 一通り見た感じでは、治療は終わったようだ。
 リオンも常時発動させていた範囲回復魔法を解除して俺の傍へと近づいてくる。

「リオン、お疲れ様」
「マスター。もったいない言葉だ。マスターの命令に従うのは妾の本懐。気にすることはない」
「そうか。エミリアもお疲様」

 俺は、村人をずっと運んでいて疲れたように座り込んでいるエミリアの頭を撫でながら話しかけるが、どこか浮かない表情をしている。

「エミリア。どうかしたのか?」
「――いえ。でも、私の勘違いで無ければいいのですが……」
「何か気になる事でもあったのか?」
「はい。ここの村、女性の数が少なくないですか?」

 俺は、その言葉に村の広場を見渡す。
 たしかに女性の数は少ないように感じる。

「それに子供の数も……」

 たしかに人口100人以上の村の割には、子供が2人しか見られない。

「あの……」
「――ん? 貴方は?」

 俺に話しかけてきた60歳ほどの老人。
 背中は丸まっており、背丈は低く栄養状態も良いようには見受けられない。

「儂は、ウッドパルプの村の村長をしておりますクズキリと言います。失礼ですが、村を救って頂けた手際といい、かなり高位の冒険者の方と見受けられますが――」
「それは別にいいが、この村で何があったんだ?」
「それが……繁殖期に入ったオークが村を襲ってきたのです」

 オークか。
 それよりも繁殖期……。
 たしか、アルドガルド・オンラインの世界では、オークは男しかいなかったはず。
 つまり……。

「繁殖の為に女を連れ去ったのか」
「その通りで――。そこで高位の冒険者の方に、村の攫われた女子供を助けてほしいです」
「カズマ」
「分かっている」

 躊躇している時間はない。
 本当に繁殖の為に連れ去ったのが原因なら早くしなければ色々と手遅れになるからだ。

「リオン。魔物の匂いを辿ることはできるか?」
「もちろんだ。マスター」
 
 俺の問いかけに自信満々に頷いてくるリオン。

 

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