本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫@書籍化作家

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第68話 ハイネ城炎上!(15)

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『ば、ばかな……。これだけの力を持つ人間がいるはずが……』

 驚愕と恐怖を織り交ぜた声。
 それを俺は思考の片隅で聞き流しながら、アクアドラゴンの懐に一瞬で入ると同時に、雷撃最強魔法テンペストを纏ったグレートソードを横薙ぎに振るう。

「レベル10の雷属性魔法! テンペスト・ソード!」

 数十億ボルトもの巨大な雷撃――、それは太陽系でも最大の惑星である木星に発生する雷と同程度の威力を誇り地球であるなら一都市を消滅させるほどのエネルギーを秘めている。
 その天文学的なエネルギーが集約した力はアクアドラゴンの神壁を称号「魔神」との相乗効果により、抵抗すら許さずに消し飛ばす。

『ば、ばかな……。神の力を消し飛ばすだと!? ま、まて! まつのだ!』
「黙れよ!」

 俺はさらにアクアドラゴンの体に、グレートソードを突き刺す。

『ギャアアアアアアアアアアア』

 大空洞内に響き渡る竜の断末魔と共に大空洞内が崩壊を始める。
 俺は視線を大気中に浮かんでいるノイズ交じりの画面へと視線を向ける。
 そこには、エミリアの姿あり、体に浮かんでいた呪詛が完全に消えていた。
 視界内のコンフィグにも、残り時間が消えていた事から呪詛は消えたのだろう。

『ま、まさか……魔神様の生まれ代わりだとは……』
「何?」

 さすがに俺も、まだ息があったことに驚く。
 俺の最強の雷撃魔法を纏った攻撃すら耐えるとは、やはり四竜は化け物のようだ。

『最高神でないのなら……妾の神壁を突破破壊できるのは魔神様だけ……。申し訳ありませぬ』
「……死んでないのに、エミリアの呪詛が解けたのは――」
『妾が解きました』
「なるほどな」
『魔神様』
「カズマだ。とりあえず、お前は殺しておく」
『待って下され!』
「命乞いか? 俺を散々、罵っておいて?」
『魔神様――、いえ! カズマ様! 貴方様の先ほどの指示に従いまする』
「ほう……。それはつまり、俺の命令に従って魔王軍と戦うということか?」
『御意に!』 
「偽りはないだろうな?」
『我が創造主様に、嘘偽りなど申しませぬ』
「そうか」

 俺は、グレートソードをアイテムボックスに戻しながら溜息をつく。

「――なら、戦いは此処でおわりだ。貴様には俺の軍門に下ってもらう。いいな?」
『はっ。――で、お願いがあるのですが……』
「なんだ?」
『妾と契約を……』
「契約をする必要があるのか?」
『そうしなければ、ここの――、竜の巣からは妾は出られませぬ』
「なるほど……。――で、どうすれば契約が出来る?」
『妾の額の竜玉に手を触れてくだされ』
「そんなものがあったか?」

 そう呟いた所で、アクアドラゴンの額が割れる。
すると直径1メートルほどの淀んだアクアマリンの宝玉が、迫り出してきた。

「なかなかグロいな」
『……触れてくだされ』
「お、おう……」

 若干、引き気味になりながら、アクアマリンに手を触れる。
 ほんのりと温かい。
 あと、変な液体でネバネバするのが気持ち悪い

 そんなことを思っているとアクアドラゴンの体が光始める。
 すでに、俺が触れているアクアマリンは、澄んだ青色に代わっていて脈動を続けており――、あまりの明るさに目を背けたところで、手の平から感じていたネバネバな温かみが消失する。

「魔神様」
「――ん?」

 視線を元に戻すが10メートル以上もの巨大な水竜の姿はない。

「魔神様、こちらです」
「こちらって……」

 足元を見ると、そこには10歳くらいの幼女が青いワンピースを着て立っていた。
 髪の毛は青く、ツインテールにしてあり肌の色は透き通るように白い。
 さらに、瞳も水のように澄んだ青。
 そして――、その額には青い宝石が存在していた。

「ま、まさか……」
「はっ! エンブリオンでございます!」
「……これは予想外だ」
「魔神様は生まれ変わりと言っても全ての記憶は御持ちではない様子。ですが――、気にすることはありませぬ」

 何か言っているが、この幼女バージョン。
 アルドガルド・オンラインでは、擬人化されたバージョンとしてプレイヤーからの人気は絶大だった代物だが……、それを此処で見る事になるとは……。

「とりあえず、脱出するぞ」

 次々と連鎖的に崩壊していく大空洞内。
 あと少しで大空洞内は完全に消え去るだろう。
 俺は、水竜アクアドラゴンであるエンブリオンを連れて、岩盤が崩壊した事で姿を現した結界の中へと飛び込んだ。
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