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第63話 ハイネ城炎上!(10)
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『ほう……、戻ってきたか。人間――』
俺が、戻ってきたのが、あまりにも意外だったのだろう。
その声からは戸惑いの色と……そして瞳からは好奇心の光が垣間見える。
『よかろう』
アクアドラゴンは口を大きく開くと、青白い閃光を放つ。
それは――。
「コールドブレス!?」
俺は、咄嗟に横に避け――、そして回避する。
だが、コールドブレスは俺が立っていた場所を凍り付かせるだけでなく大地をドーム状に切り抜き作られた大空洞の天井を崩落させる。
崩落し――、落下する岩は数十トンもの大きさがあり、それらが俺が入ってきた結界がある場所の壁を塞いでいく。
『さて――、何故、ここに来たのか? 妾の眠りを覚ましたのか、その理由を聞こうではないか? 人間』
どうやら、向こうは話し合いを所望しているようだ。
それなら、丁度いい。
「頼みがあってきた」
『頼みだと?』
「ああ、魔王という存在を知っているか?」
『知らんな』
「魔王というのは、人間と敵対している魔族のことだ」
『魔族? 聞いたことがないが……』
「魔物を操る術を持つ亜人のことだ」
『なるほど。亜人種のことであったか。だが、それが頼みとどう繋がるのだ?』
「魔王を倒す為に力を貸してほしい」
『ほう……。それは人間の世界を守るという理由でか? そのような些事に、妾の力を使いたいと? そのようなことかの?』
アクアドラゴンの口調と言うか雰囲気が変わる。
それは、相手の怒りを買ったと思われるような刺々しい雰囲気に。
『クククッ……フハハハハハッ。愚かな! 愚かな人間よ! 亜人種を人間が己の領分も弁えずに迫害したから、今があるのであろう? それなのに、その亜人種を倒す手助けを魔神ルーゼルトに作れらた神たる妾に頼むとは――、愚かであるぞ! 人間!』
その言葉に、俺は内心では理解していた。
そもそもアルドガルド・オンラインにおいて四竜を作ったのは最高神ヘルパトスと世界の覇権をかけて戦った魔神ルーゼントという公式設定がある。
そして、亜人も最高神ヘルパトスが有する人間と戦う為に魔神が作り出したことになっている。
ここの世界では、そのような細かい伝承はないようだが……、そもそも公式設定からサービス開始まで数千年の時が流れているのだから、この世界でも、そのような伝承は立ち消えている可能性だってある。
ただ、そこまで因縁があるとは思っても見なかったのが俺の誤算だとおも言えるが……。
「なら――、どうすれば力を貸してくれる?」
それでも話を続けなければ、そこで今回の依頼は失敗だ。
『さて、時間稼ぎは、この程度でよいかの』
「何? どういうことだ?」
『見るがよい』
アクアドラゴンが魔法を発動すると同時に、俺とアクアドラゴンの中間に巨大なモニターが出現する。
『遠見の水晶という魔法だ。そして、それは――』
「自分がターゲットとした相手の状況を見ることが出来る……」
『ほう……、よく知っておるな。人間』
感心したような声をアクアドラゴンがかけてくるが、俺の視線はモニターに映し出されている人物へと釘付けになっていた。
その人物の皮膚には無数の黒い文字が浮かびあがっているだけでなく、苦しみの声を上げている。
「エミリア!」
『その声が聴きたかったぞ! 人間! 愛しい者が目の前で、死ぬ様子を見ながら、自らの無力を噛みしめ汝も死ぬがよい!』
俺が、戻ってきたのが、あまりにも意外だったのだろう。
その声からは戸惑いの色と……そして瞳からは好奇心の光が垣間見える。
『よかろう』
アクアドラゴンは口を大きく開くと、青白い閃光を放つ。
それは――。
「コールドブレス!?」
俺は、咄嗟に横に避け――、そして回避する。
だが、コールドブレスは俺が立っていた場所を凍り付かせるだけでなく大地をドーム状に切り抜き作られた大空洞の天井を崩落させる。
崩落し――、落下する岩は数十トンもの大きさがあり、それらが俺が入ってきた結界がある場所の壁を塞いでいく。
『さて――、何故、ここに来たのか? 妾の眠りを覚ましたのか、その理由を聞こうではないか? 人間』
どうやら、向こうは話し合いを所望しているようだ。
それなら、丁度いい。
「頼みがあってきた」
『頼みだと?』
「ああ、魔王という存在を知っているか?」
『知らんな』
「魔王というのは、人間と敵対している魔族のことだ」
『魔族? 聞いたことがないが……』
「魔物を操る術を持つ亜人のことだ」
『なるほど。亜人種のことであったか。だが、それが頼みとどう繋がるのだ?』
「魔王を倒す為に力を貸してほしい」
『ほう……。それは人間の世界を守るという理由でか? そのような些事に、妾の力を使いたいと? そのようなことかの?』
アクアドラゴンの口調と言うか雰囲気が変わる。
それは、相手の怒りを買ったと思われるような刺々しい雰囲気に。
『クククッ……フハハハハハッ。愚かな! 愚かな人間よ! 亜人種を人間が己の領分も弁えずに迫害したから、今があるのであろう? それなのに、その亜人種を倒す手助けを魔神ルーゼルトに作れらた神たる妾に頼むとは――、愚かであるぞ! 人間!』
その言葉に、俺は内心では理解していた。
そもそもアルドガルド・オンラインにおいて四竜を作ったのは最高神ヘルパトスと世界の覇権をかけて戦った魔神ルーゼントという公式設定がある。
そして、亜人も最高神ヘルパトスが有する人間と戦う為に魔神が作り出したことになっている。
ここの世界では、そのような細かい伝承はないようだが……、そもそも公式設定からサービス開始まで数千年の時が流れているのだから、この世界でも、そのような伝承は立ち消えている可能性だってある。
ただ、そこまで因縁があるとは思っても見なかったのが俺の誤算だとおも言えるが……。
「なら――、どうすれば力を貸してくれる?」
それでも話を続けなければ、そこで今回の依頼は失敗だ。
『さて、時間稼ぎは、この程度でよいかの』
「何? どういうことだ?」
『見るがよい』
アクアドラゴンが魔法を発動すると同時に、俺とアクアドラゴンの中間に巨大なモニターが出現する。
『遠見の水晶という魔法だ。そして、それは――』
「自分がターゲットとした相手の状況を見ることが出来る……」
『ほう……、よく知っておるな。人間』
感心したような声をアクアドラゴンがかけてくるが、俺の視線はモニターに映し出されている人物へと釘付けになっていた。
その人物の皮膚には無数の黒い文字が浮かびあがっているだけでなく、苦しみの声を上げている。
「エミリア!」
『その声が聴きたかったぞ! 人間! 愛しい者が目の前で、死ぬ様子を見ながら、自らの無力を噛みしめ汝も死ぬがよい!』
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