本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫@書籍化作家

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第52話 黄色い太陽がまぶしいぜ!

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「ふっ、太陽が黄色いな……」

 ――というセリフを言いつつも、外は晴天とは程遠い雨。
 サーッと降り注ぐ雨を見つつ、湿気で不快になりそうなところを、風属性魔法LV1の魔法であるエアで室内を乾燥させ不快感を無くす。

 ベッドの方へと視線を向けると、そこには裸のエミリアが幸せそうに寝ており、昨日の昼間から翌朝の今日まで致してしまった事が伺える。
 というより、獣人は一度、伴侶が決まると伴侶に対してはだけは性に対して積極的になるようだ。

「何と言うか――」

 とても疲れた。
 違う意味で色々と――。
 まぁ、良い疲れなので俺も文句はない。

 ――コンコン。

「はい」
「朝食ですが、起きて来られなかったようですので――」
「あ、今行きます」
「分かりました」

 時計という概念が異世界に来てから、かなり曖昧になった事もあり、度々、こう言う事がある。

「エミリア」

 エミリアの銀色に輝く髪の毛。
 それは腰まで伸ばしているだけあって、布団の上には彼女の髪の毛が広がっており、それは煌びやかに光っており、まるで夜空の瞬きのように見える。
 俺は、彼女の顔にかかっている髪を指で退かす。
 どうやら、エミリアもかなり疲れているからなのか、名前を呼んでも身じろぎしない。

「仕方ないな」

 身支度を整えて食堂にいく。
 朝食の献立は、魚の切り身が入ったスープと、ミートローフ、ロールパンと言ったモノ。
 幾らかのお金を渡し、部屋で食べられるようにし――、トレイを借りて部屋へ戻る。

「カズマさん?」

 部屋に戻り、トレイをテーブルの上に置くと、置いた音に目を覚ましたのかエミリアが話しかけてくる。

「目を覚ましたか。おはよう」
「おはようございます。えっと、それは……」
「宿の人が用意してくれた朝食だ。部屋で食べられるようにと頼んで持ってきた」
「そう……ですか……」
「朝食を食べられるか?」
「はい。少し待っていてくださいね」

 一応、俺は部屋から出る。
 しばらくしてから「カズマさん、いいですよ」と、部屋の中から声が聞こえてくる。
 部屋に入れば、すでにエミリアは白のワンピースを着ていた。
 髪の毛は、リボンでポニテールのように纏められていて、銀色の髪は背中に流されている。
 二人で朝食を食べたあとは、トレイを返しに行く。
 
「お客さん」
「何だ?」
「昨日は、ずいぶんとお楽しみだったようだね」

 店の女将さんが、トレイと食器を返しにきた俺の顔を見ながらニヤニヤしつつ話しかけ絵くる。

「……」
「違うわよ? もう雨も止んだみたいだからね。ベッドメイキングしておくから、外出でもしてきたらどうだい?」
「分かった」

 どうやら、女将さんは此方に気を使ってくれたようだ。
 たしかに、部屋のベッドは色々な意味で使えないからな。
 
「これで頼む」

 俺は銀貨を1枚渡す。

「あいよ! じゃ、あの別嬪さんでも連れて湖の畔でデートでもしてきたらどうだい? ここの兵士は優秀だから、魔物も入ってこられないからね」
「心遣い感謝する」
「いいってことよ」

 女将さんに教えられたデートスポットを視界内のMAPにチェックを入れて部屋へ戻る。

「お帰りなさい。カズマさん」
「ああ、ただいま。――エミリア、少し外に行かないか?」
「――え? お出かけですか?」
「ああ、いい場所があるって女将さんに教えてもらったんだ」
「そうですね……。雨も上がったみたいですからね。行きましょう」

 エミリアを供だって俺は宿から出る。




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