本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫@書籍化作家

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第45話 お金は大事だよな

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「魔王軍って、そんなにバカスカ倒せる相手じゃないと思うんだが……」
「まぁそうですけどね」

 ソフィアが同意してくる。
 そして――、エミリアというと、テーブルで臥せっていた。

「カズマさん、頭が……」
「今日は、一日、ゆっくりするか。まぁ、借金があると言っても、そんなにすぐに取り立てが来るわけでもないんだろ?」
「はい。――ですけど、早めの支払いをお願いします。冒険者ギルドとしても金貨2万5千枚という大金を立て替えしていますので」
「だよな」

 普通に、日本円換算で25億円なんて大金を立て替えしたら、それなりの中規模の会社すら一瞬で倒産するレベルだ。
 何とかなっているのは、冒険者ギルドは国が管理しつつ、他所の国とも連携している超法規的な組織に他ならないからだ。

「とりあえず、今日は帰るわ。エミリア、帰るぞ」
「はい」

 宿に戻ったあとは、エミリアを宿に残し町の散策に出かける。
 まぁ散策と言っても莫大な借金があるから何か買える訳もないのが問題な所なのだが――。

 市場に行けば、祭りの飲酒から目を覚ました店主たちが店を開き始めていた。
 丁度、いい時間に来たのかも知れない。
 まぁ、たまには一人で出歩くのもいいな。

「お! 兄ちゃん。この串焼き買っていかないか? コカトリスの串焼きだよ!」
「1本もらおうか」

 財布の中から小銅貨を一枚取り出し、串焼きを一本買い食べながら市場を見て回る。
 
「それにしても……財布の中には金貨1枚か……」

 どこまで行っても金がないな。
 どうしたものか。
 とりあえず、当面の生活費として金貨10枚は確保しておきたいものだ。
 日も沈みかけ――、徐々に主婦層が増えていく。
 夕飯の材料の買い付けなのだろう。

「――さて、俺も帰るか」

 まぁ、ろくな露店はなかったが――。

「あ!」
「ん? ソフィアか。お前、仕事は?」
「今日の分は何とか……というより、16日ぶりの帰宅です」
「なるほど……デスマーチからは解放されたって事か」
「そうでもないんですけど……。カズマさんは、どうしておひとりで?」
「エミリアが二日酔いだからな。そういう場合は一人で居た方がいいだろうし」
「カズマさんは、気を使っているようで、気を使ってないですよね? そういう所は、女性に対してはマイナスポイントですので気を付けた方がいいですよ?」
「そうなのか? よくは知らないが――」
「カズマさんってモテそうなのに、その辺は、鈍いですよね?」
「――いや、俺はモテたことないぞ?」

 産まれてこの方、日本に居た頃はモテたことなんて一度もない。
 モテ期すら到来したことがない。
 なんだか自分で突っ込みを入れてて哀しくなってくる。

「そうなんですか? いまは借金漬けですけど、実力はありますから稼げる優良物件だと、私含めて冒険者ギルドの女性職員や女性冒険者から大人気ですよ?」
「つまり金か……」
「それ以外に何が?」

 バッサリと切ってくるソフィア。
 異世界も日本も、お金を稼ぐ人間がモテる法則は変わらないらしい。

  

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