本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫@書籍化作家

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第23話  港町ケイン防衛戦(1)

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「結構、金持ちが多いんだな」
「えっと……そうじゃなくて……。大型の魔物や獲物を倒せる冒険者が、此処にはいないので……」

 俺が疑問を素直に口に出したのだが、ソフィアは視線を泳がせつつ、事情を端的に話してくれた。

「つまり、強い冒険者とか、強くなりそうな冒険者は――」
「はい。もっと内陸というか、北の――海峡を越えた大陸に移動してしまいます」
「なるほど……」

 そうなると、今、この町にいる冒険者は、大型の獲物を倒すことが出来ない冒険者だけが居るってことになる。
 それって町の治安的にどうなのだろうか?

「それって、ここを守れるのか?」
「一応、リーン王国から兵士は派遣されてきていますので」
「それならいいが……」
「ただ――、最近は魔物の猛攻が王都の方ですごいらしく、殆どの兵が引きあげています。今、ケインに居る兵士の方は門番をしているガサラさんくらいで」
「――ん? つまり兵士は一人しかいない?」
「はい。正規兵は一人だけです」
「それは、かなりマズイのでは?」
「――ですが、幸い、今までは何とかなっていますので。それと、海神祭も例年よりは縮小傾向にありますが、行うつもりなので」
「祭りか……」
「そういえば、最近は冒険者とかは町の外に出たりは?」
「基本は、町の中で雑務だけをする感じです」

 それは、もう冒険者と言うのだろうか……。
 
「事情は大体理解できた。――と、なると近くに出る大型の魔物や動物などの獲物は倒してしまっていいのか?」
「はい。獣人の方がいらっしゃれば、問題なく討伐できると思いますので、カズマさんの冒険者カードは既にランクDにしておきましたので頑張ってください! すごく期待していますので!」

 目をキラキラを光らせて俺を応援してくるソフィア。
 おそらくだが、期待のルーキーが来た! と、言う感じなのかも知れないな。



 台車を借りたあとは、一人一台。
 俺とエミリアの2台体制で港町の出入り口へと向かう。

「――お、昨日の二人か。今日も討伐か?」
「まあな」
「間引きしてくれると助かる。がんばってくれ」

 昨日とは打って変わってフレンドリーな対応。

「昨日よりも、あっさりと通してくれましたね」
「ああ、そのことだが――」

 俺は、台車が置かれている倉庫でソフィアから聞いた話をエミリアへ説明する。
 最初は、「そうなんですか」と、聞いていたエミリアであったが、話が進むにつれて表情は険しくなっていく。

「カズマさん、ここの町って大丈夫なんでしょうか?」
「わからん」

 正直、俺は、この世界の底辺の冒険者の実力を知らない。
 そして、ゲーム内では猪や大型の猪は、レベルが1でも倒せる相手だ。
 もしレベル1の相手にでも苦戦するようなら、他の魔物が出たら町は成す術もなく滅びる。
 ただ、会話して仲良くなった奴らがいる町が燃える光景は見たくはない。

「とりあえず魔物とモンスターの間引きが最優先だな」
 
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