本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫@書籍化作家

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第20話 港町ケイン(9)

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 薬草の採取はエミリアに任せて、俺は気配感知のスキルを覚えたので周囲を探索し獲物を仕留めていく。

「大猪5匹と、猪が3匹か……」

 十分な戦果と言える。
 そして、エミリアの方も3時間でクエストクリア分の薬草の採取は終えている。

「かなりの量ですね」
「だな。とりあえず、アイテムボックスの中に入れておくか。――あと、俺がアイテムボックスもっているのは内緒な」
「分かっています。自分のスキルを他人に教えるような冒険者はいないですから」

 倒した獲物をアイテムボックスの中に全部入れた俺とエミリアは港町に戻る。
 もちろん門を超える前には、大猪を1匹出しておくという細かい芸当は忘れない。

「これを、お前ひとりで倒したのか?」
 
 とりあえずステータスだけは、MAXまで強化しているので大猪の足を持ち引き摺りながら入口に辿りつくと門兵が呆気にとられた表情で俺に話しかけてきていた。

「――いえ。エミリアにも手伝ってもらって」
「あー、なるほど……。獣人は、力だけはあるからな。それにしても、上手くやったな」

 どうやら門兵を騙すことには成功したらしい。
 俺達は門を潜りぬけることが出来――、ケインの港町へと入る。
 それから10分ほどで冒険者ギルドに到着した俺達は、エミリアを先に冒険者ギルドに先に行かせて、俺は獲物が盗まれないように待機。
 しばらくすると、受付のソフィアを連れたエミリアが冒険者ギルドの建物から出てきた。

「これは……すごいですね」

 まず第一声が、俺に話しかけてくる訳でもなく、獲物を見て驚いた感想だった。

「だろう? とりあえず、こいつを買い取ってくれないか?」
「――あ、カズマさん。お疲れ様です。これを買い取ってしまっても?」
「もちろんだ」
「――そ、それでは! すぐに査定しますので!」

 ソフィアが、冒険者ギルドの中に戻っていき、すぐにガタイのいい身長が2メートル近い大男を4人連れてくる。
 全員が黒と白のコントラストの服を着ているので、その統一感から、冒険者ギルドの職員だというのが一目で分かった。

「それでは、今回のお支払いは、巨大猪の討伐という事で、金貨100枚となります」

 金貨100枚か。
 日本円に換算すると1000万円換算だ。
 悪くはない。

「それで、頼む」
「畏まりました」

 袋で金貨を貰ったあとは、俺は振り返る。
 そして……、先ほどから、俺達の動向をジッと見ていた冒険者の連中へと視線を向ける。

「金は天下の周り物! 今日は、俺の驕りだ! みんな好きな物を食べて飲んでくれ!」

 俺達に、卑しい視線や、妬みの視線を向けてきていた連中は、一斉に「オオオオッ!」と言う声を上げ、注文を始める。
 もう日が沈み、仕事が終わった連中が100人近くいるので、その歓声は非常に大きいが――。

「カズマさん、良かったんですか?」

 俺のことを心配したソフィアが話しかけてくるが――。

「まぁ、これから皆には世話になるからな。このくらいは安いモノだ」
「そうですね」

 エミリアは頷き――、冒険者ギルドの受付嬢は「なるほど」と、俺の考えに理解を示してくれた。

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