本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫@書籍化作家

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第18話 港町ケイン(7)

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「いらっしゃいませ」
「何か稼げる仕事の依頼とかは無いか?」

 まずは、冒険者ギルドの受付嬢に話しかける。
 受付嬢は、「かしこまりました」と、返答すると「冒険者ギルドカードを見せてください」と告げてきた。

「これでよろしく頼む」
「えーと、冒険者ランクはFですね。そうしますと……、採取関係の仕事か、町の中での雑用がメインになります」
「それじゃ採取で――」
「畏まりました。それでは、現在、依頼が出ていますのが薬草の採取と、毒消し草の採取、あとは鉄の鉱石の採取になります」
「依頼料が高いのは……」
「鉄の鉱石採取になりますが、それは量に応じてという形になります。重さと量を考えますと、冒険者ランクがFランクの方は薬草の採取からがいいと思います」
「なるほど……」

 たしかに、アイテムボックスを持たない身だと、薬草採取の方が軽くていい。
 鉄などの鉱石は、嵩張るからな。
 しかも量を考えると薬草の採取の方がいいと提案までしてくる。
 この受付嬢、只者ではない。
 名前は、ソフィアか。
 とりあえず有用な冒険者ギルドの受付嬢は仕事を受ける時でも短い時間で効率化できるので、名前を憶えておいて損はない。

「それじゃ薬草採取で頼む。あとは、採取中にモンスターが出た場合に、それを討伐した場合はどうなる?」
「あまりお薦めはしていませんが、どうしても逃げられない場合、戦って討伐した場合はモンスターの一部を持ってきて頂ければ少額ですが討伐金をお支払いしています」
「つまり一部ではなく、全部を持ってくれば?」
「ゴブリン、オーガーなどの人型の魔物は、買い取れませんが討伐金は出ます。ケイン周辺ですと、大型の猪や、普通の猪、オークなどが買取対象になります」
「なるほど。分かった」
「はい。それでは、薬草採取という事で依頼を、カズマさんの依頼を受けましたので頑張ってください」

 依頼を受けたあと、俺とエミリアは速やかに冒険者ギルドの外へと出る。
 もう時刻は、結構経っている。
 あと数時間で、日が暮れるだろう。
 それまでに薬草の採取依頼を達成するか、オークか猪を狩ってお金を稼がないと今日の宿代が払えない。

「エミリア、急ぐぞ」
「はい!」

 幸い、体感的に20分程度走ったところでケインの港町を囲っている城壁を唯一通り抜けられる門が見えてきた。
 
「止まれ! 見た事が無い奴らだな。旅人か?」
「ああ、アリアから来た冒険者だ。冒険者ギルドから薬草採取の仕事を請け負った。外に出てもいいか?」
「それなら問題ない。一応、身分証の提示をいいか?」
「これでいいか?」
「ああ、問題ない。通ってよし!」

 門を守っている衛兵に許可を貰い、俺とエミリアは港町ケインの門を潜り抜ける。
 そして、門から少し離れたとこで――、

「エミリアについては何も言及してこなかったな」
「たぶん、カズマさんの奴隷だと思ったからだと思います」
「――ん? そうなのか?」
「はい。これを見てください」

 エミリアが指差した場所。
 そこはエミリアの首であり、首には鈴がついた首輪がついている。

「それって……」
「カズマさんが、私を狙っている奴隷商人から私を守ってくれた事は何となく察しがつきましたので面倒ごとにならないように体裁だけ整えました」

 そう言い切るエミリア。
 そこまで言い切られると俺としても――。


「そうか」

 としか言いようがない。
 


  
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