本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫@書籍化作家

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第7話 アリアの港町(2)

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 アリアの港町は、歌う森から移動した場所に存在する初心者が最初に立ち寄る港町だ。
 
「あれが海ですか……。初めてみました」

 呆然と呟くエミリア。
 その瞳は、らんらんと輝いていて好奇心に満ちているのが分かる。

「本当に、海を見たことがないのか」
「はい。ずっと山で暮らしてきましたから」
「なるほど……」

 たしかに俺達が出会った大国アルドノアの城下町、そこは四葉の形をしているローレンス大陸の北東の巨大な島アレフガルドの中心部に位置する。
 そして四方を海で囲まれてはいるが、海までは馬車でも3ヵ月の距離があり、長距離移動の依頼をこなす冒険者か、遠くまで買い付けでもいかない限り商人でも、一生、海を見ることはない。

「カズマさんは、海を見た事があるんですね」
「まぁな」

 俺は肩を竦めながら答える。
 まぁ、嘘は言っていない。
 この世界に来て1年間は勇者パーティで依頼をこなしてから事もあり港を利用したことはあるからだ。

「すごいですね。それで、あの出ている船に乗るんですか?」
「そうなるな」
「ここの島に暮らしてもいいのではと……」
「それはないな」

 歌う森は、初心者が最初に辿り着く場所だ。
 その為に出現するモンスターは、モンスターとは呼べないウサギや鹿やイノシシやアヒルくらいなもの。
 正直、一切! レベルが上らない。
 勇者一行が、強敵を倒してレベルを上げているのは分かっているので、こちらもレベルを上げて万全の状態にして置く必要がある。
 そのために、歌う森で満足している訳にはいかない。

「とりあえず、装備を整えて船からローレンス大陸に移動する形になるな」
「はい」

 エミリアを連れて港町に入る。
 そして、商店へと向かいアイテムの買取り所へ。
 もちろん買取り所に向かう前に。アイテムボックスから動物の毛皮を取り出した。。
 俺は買取をしている男に話しかける。

「これを買ってくれないか?」

 買取テーブルの上にアイテムを置き、男が毛皮の査定をしている間に、軒先を見るが碌な物が売っていない。
 このへんは初心者専用MAPと言ったところなのだろう。
 最初から強い武器や防具が手に入ったら、それはそれでバランスブレーカーだからな。
 しばらくして買取屋の査定が終わる。
 そして……、特に素性を聞かれる事もなく毛皮は全部売れる。
 お金も金貨4枚と中々な値段だ。
 中銅貨1枚で、一人一泊できるので、中銅貨800枚分、銅貨だと4000枚の価値がある。
 これで、半年以上は何もせずに食べていけるが、まずは武器を確保しないと戦うのは大変なので武器屋へと向かう。

 町の中を歩き、昔に何千回と通ったルートを通り武器屋の看板を見つけた。
 武器屋のトレードマークである盾と剣の絵が描かれており一目で武器屋と分かる作り。

「ここが武器屋みたいですね」
「そうだな。入るか」



 

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