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第6話 アリアの港町(1)
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「人間は強いか……」
「私、何か変なことを言いましたか?」
「――いや。特に何も……」
たしかに、レベルの上がった人間はステータスなどが強化されるので強い。
それは確かだが……。
アルドガルド・オンラインを忠実に近い形で、この世界は存在しているとしたら、一般の人間のステータスは、10から20。
あとはレベルが上るたびに自動でステータスは職業に応じて配布される。
つまり、どんなにレベルが上ってもレベルの上限が99で決まっている以上、ステータスの上限は3桁を超える事はまずない。
その為に、プレイヤーには転生システムというのが実装され、レベルが1上がるたびに取得できるポイントが1なので何度も転生を繰り返すユーザーが多かった。
俺は20年間、ゲームをしていて100回を超える転生をしていたので、10000ポイント近くのポイントを有しているに過ぎない。
「まぁ、復讐とかを考えていないのなら、ゆっくりとするのも良いかも知れないな。俺も面倒事は困るし」
「そう……ですよね……」
まぁ、俺を裏切った奴は許さないがな。
とくに俺を中学の頃から虐めるだけで飽き足らず、今度は殺しにきた。
そんな連中をどうして許せるのか……。
ただ、俺も社会人としての経験が20年近くあるので気持ちを落ち着かせる術は身に着けている。
いま、論理的に考えていられるのは、そのためだ。
人間は経験が大事だと言うが本当の事なんだな。
「そういえばカズマさんは、これからどうするおつもりですか? やっぱり裏切られた仲間を?」
「――それは分からない」
「そうですよね。あそこまで……」
俺がズタボロで路地裏に転がっているのを思い出したのだろう。
その声は沈んでいた。
知り合って間もないというのに優しい子だ。
しかも美少女で、スタイルも良いし、服も和服を改造して露出を増やしたような服装をしているし。
俺が高校生の時だったら一発で惚れていた可能性がある。
「気にする必要はない」
言葉を返しながら、俺は幹に身体を預けて瞼を閉じる。
もう暗かった事もあり、すぐに睡魔が襲ってきて、俺は眠りついた。
朝になり、出立の準備をしているところで――、
「そういえばカズマさん」
「何だ?」
「ここは動物しか出ないので『詠う森』だというのは分かるのですが、どのへんか分かりますか?」
この場所は、俺が転移で連れてきた。
つまり俺が現在地を知っていると踏んで聞いてきたのだろう。
「ああ、向こうに向かえばアリアの港町があるな」
俺は、視界内に表示されているMAPを見ながら、南の方角を指差した。
「私、何か変なことを言いましたか?」
「――いや。特に何も……」
たしかに、レベルの上がった人間はステータスなどが強化されるので強い。
それは確かだが……。
アルドガルド・オンラインを忠実に近い形で、この世界は存在しているとしたら、一般の人間のステータスは、10から20。
あとはレベルが上るたびに自動でステータスは職業に応じて配布される。
つまり、どんなにレベルが上ってもレベルの上限が99で決まっている以上、ステータスの上限は3桁を超える事はまずない。
その為に、プレイヤーには転生システムというのが実装され、レベルが1上がるたびに取得できるポイントが1なので何度も転生を繰り返すユーザーが多かった。
俺は20年間、ゲームをしていて100回を超える転生をしていたので、10000ポイント近くのポイントを有しているに過ぎない。
「まぁ、復讐とかを考えていないのなら、ゆっくりとするのも良いかも知れないな。俺も面倒事は困るし」
「そう……ですよね……」
まぁ、俺を裏切った奴は許さないがな。
とくに俺を中学の頃から虐めるだけで飽き足らず、今度は殺しにきた。
そんな連中をどうして許せるのか……。
ただ、俺も社会人としての経験が20年近くあるので気持ちを落ち着かせる術は身に着けている。
いま、論理的に考えていられるのは、そのためだ。
人間は経験が大事だと言うが本当の事なんだな。
「そういえばカズマさんは、これからどうするおつもりですか? やっぱり裏切られた仲間を?」
「――それは分からない」
「そうですよね。あそこまで……」
俺がズタボロで路地裏に転がっているのを思い出したのだろう。
その声は沈んでいた。
知り合って間もないというのに優しい子だ。
しかも美少女で、スタイルも良いし、服も和服を改造して露出を増やしたような服装をしているし。
俺が高校生の時だったら一発で惚れていた可能性がある。
「気にする必要はない」
言葉を返しながら、俺は幹に身体を預けて瞼を閉じる。
もう暗かった事もあり、すぐに睡魔が襲ってきて、俺は眠りついた。
朝になり、出立の準備をしているところで――、
「そういえばカズマさん」
「何だ?」
「ここは動物しか出ないので『詠う森』だというのは分かるのですが、どのへんか分かりますか?」
この場所は、俺が転移で連れてきた。
つまり俺が現在地を知っていると踏んで聞いてきたのだろう。
「ああ、向こうに向かえばアリアの港町があるな」
俺は、視界内に表示されているMAPを見ながら、南の方角を指差した。
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◇
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