婚約破棄された国から追放された聖女は隣国で幸せを掴みます。

なつめ猫

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第101話 聖女なんて知りませんけど?(1)

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 数日間、市場を回って調査した結果、得られたのは工業系製品は思ったよりも値打ちが張るという結論だった。
 でも、考えてみれば、それは当然のことであり、産業革命前のヨーロッパでも同じような事が言えたから、機械化による大量製造という恩恵は非常に大きいと思う。

 ちなみに、食料品に関しては肉などが安い。
 理由は、魔物の肉などが出回っているから。
 チキン関係が、コカトリスの肉と肉屋さんで説明を受けた時には驚きを通り越して驚愕した。
 そして、現在は商業ギルドにきている。
店舗の改装工事の立ち会いも終わった後、職人との契約が済んだと連絡が私の停まっている宿にきたからだ。

「それではエミさん。ドライバーの作成は、手を上げられた10か所の工房で作ると言う事で宜しいでしょうか?」
「はい。それで、お願いします」
「分かりました」
「――では、ネジの方に関してはエミさんの村から運んでくるということで」
「はい」
「それと、国境を超える際にはある程度の関税がかかりますので、そこは注意してください」
「そうですか」

 まぁ、私の場合は魔法で作るから関税とか掛からないけどね。
 書類にサインをしたあと、控えを受け取りアイテムボックスへと入れる。

「――では、工事の完了についてですが、一週間ほど見て欲しいと建築ギルドから連絡がありましたので、それ以降に出店の準備を進めて頂けますか?」
「分かりました」

 話しが一通り済み、商業ギルドから出る。
 そして宿に向かう前に市場に向かう。
 何か珍しいモノが売っていないかな? と、言う好奇心からであったけど。
 大通りを歩き向かっていたところで、咄嗟に私は路地に身を隠す。

「どうして、お姉さまが此処に……」

 徒歩移動する方が多い王都では馬車での移動は目立つ。
 一瞬、視界の端で捉えた馬車に不穏なモノを感じ取った私は、馬車のエンブレムを見て路地に隠れた訳だけど……。

 そして、馬車の中へと視線を向けたところで、絶句した。
 そこには見間違うはずもない私のお姉さまが座っていた。

「まさか……、私の存在がバレた? そんなことが……」

 あるわけないよね……。
 そもそも王太子殿下が、私に婚約破棄を告げてきた訳だし、私は何も悪くないはず。
 それに、私の変装は完璧なはず!




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