婚約破棄された国から追放された聖女は隣国で幸せを掴みます。

なつめ猫

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第96話 販売するものを考えましょう(1)

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 前例があると、必ず何かしらの資格や許可が必要になってしまう。
 そこは日本と同じなのね――、と心の中で呟きながら。

「はい。――ですが、高ランク冒険者の方でしたら信用度も高いため、薬師ギルドの許可も降りやすいと思います」
「そうですか……」

 とりあえず、薬師ギルドとのコネを作って、しばらく様子見するのがいいかも。
 初級の魔道具なら、聖女の力を使えば作れるし、それで商売をするのがいいのかも。

「一応、薬師ギルドの場所は、商業ギルドの真向いの建物ですよ」

 どうも私が、すぐに薬師ギルドにいくと勘違いしているようで、場所を教えてくれた。

「いえ。すぐには――。とりあえず何を売るかは今後のことを考えてみようかと」
「そうですか。エミ様は、冒険者ギルドカードからも高レベルの冒険者と言う事は、ご理解しておりますので、ダンジョンから産出したアイテムを売るだけでも、かなりの稼ぎになると思いますよ?」
「そう言うつもりはないのですが……」

 それに、ダンジョンから持ち帰ったアイテムを販売してお金を稼ぐとか、そんな何とかの迷宮みたいなロールプレイングゲームが前世にあったような気もするけど、私は、そういう危険なモノには興味はないので、遠回しに断っておく。

「そうですか。それは残念です。それと商業ギルドカードの方ですが維持費として年間費で銀貨1枚が必要になりますので、ご注意ください」
「分かりました」

 銀貨1枚で1万円くらいだから、クレジットカードの年間費くらいの価格。
 高いのかどうかと考えたら、町中で商売出来る事を考えれば安いのかも知れない。

「そういえば商業ギルドカードは、町の外でも利用は可能なのですか?」
「はい。各国の商業ギルドは協力関係にあります。どこのギルドも、その国の王侯貴族の資本が介入しているため、同盟関係にある国では、共通してギルドカードを利用する事が可能です」
「なるほど……」

 つまり、戦時下もしくは国同士の間に何かしらの問題が起きた際には、利用できなくなる可能性があると。
 妃教育を受けていた時には、諸外国の情報などを教育されていたけど、国を跨いでの商業活動をする場合には、広い人脈と情報網が必要になってくるわね。
 下手したら商品を奪われる可能性もありそうだし、結構、大変かも? 町中で商売をしているのがいいかも知れない。

「それでは、今日は帰ります」
「はい。気を付けておかえりください」

 私はニーナさんに礼を言って商業ギルドの建物を後にした。




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