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第95話 貸店舗を探して(4)
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「それよりも、どうしますか?」
「2階を確認させてもらってもいいですか?」
「いいですよ」
1階奥の階段を上がっていく。
2階は、ガランとした大部屋になっていて木製の柱以外は、壁や敷居などは一切ない。
「ガストさん。1階と2階はリフォームをしても大丈夫ですか?」
「たとえば、どのような手を加えられるのですか?」
「配管を通したり水場を作ったりとですけど……」
「現状復帰が出来るのでしたら問題はありません」
「そうですか」
それなら特に問題は無さそう。
「分かりました。ここの物件で決めたいと思います」
「一応、確認しておきますが、ここはダンジョンから近い場所です。それでも宜しいでしょうか?」
「はい。問題ありません」
「分かりました。それでは、こちらの建物を借りられるということで――、書類作成をしておきます。一応、金貨1枚を毎月支払って戴くことになりますが、宜しいでしょうか?」
金貨1枚……日本円に換算して10万円ほどだけど、店舗を借りる金額としては安いと思い頷く。
西池袋だと1フロアを借りるのに2000万円とか必要な物件とかあるし……。
「それでは、書類作成ですが、明日、また商業ギルドに足を運んで頂くことは出来ますか?」
「今日の契約ではないのですね」
「はい。当日の契約は、大家にも話を通さないといけないため、難しいので――」
「そうですか。では、明日、伺いますね」
「お待ちしております」
彼との会話が終わったあとは、私はガストさんと別れて宿に戻る。
「おかえりなさい。店舗の方は見つかったようね」
「え?」
「エミさんも、宿に泊まるようになってから、それなりに経つもの。宿泊客の表情を見て上手くいっているかどうかの判断くらいはつくわ」
「そんなに顔に出ていましたか?」
「ええ。分かりやすいくらいに」
少し早めの夕食を食べたあとは、お風呂に入り就寝。
翌朝になり、私は商業ギルドへ行き、無事に登録を終えることが出来た。
「そういえば、エミ様は、どのような商売を始められるのですか?」
書類を確認し終わったあと、封書に入れたガストさんが話しかけてくる。
「薬関係を取り扱う店舗を始めようと思っています」
「なるほど……」
私の話を聞いたガストさんは少し渋い表情をする。
「何か問題でもあるのですか?」
「問題というよりも、薬師ギルドに登録をする必要があるのです」
「薬師ギルド……」
「はい。ご存知ではありませんか?」
「いえ。知っていますけど、薬関係に関しては、とくに規定はなかったはずですけど……」
少なくともセルトラ王国では、毒薬を扱う時にだけ申請登録の義務があったと思う。
「以前に大麻などを無許可で販売した人間がおりまして――、それが何の問題も認識されていなかった薬だったため、犠牲者が出た事があったのです。そこで、キルワ王国は全ての薬店に対して、登録をするように決定したのです」
「そうなのですか」
「2階を確認させてもらってもいいですか?」
「いいですよ」
1階奥の階段を上がっていく。
2階は、ガランとした大部屋になっていて木製の柱以外は、壁や敷居などは一切ない。
「ガストさん。1階と2階はリフォームをしても大丈夫ですか?」
「たとえば、どのような手を加えられるのですか?」
「配管を通したり水場を作ったりとですけど……」
「現状復帰が出来るのでしたら問題はありません」
「そうですか」
それなら特に問題は無さそう。
「分かりました。ここの物件で決めたいと思います」
「一応、確認しておきますが、ここはダンジョンから近い場所です。それでも宜しいでしょうか?」
「はい。問題ありません」
「分かりました。それでは、こちらの建物を借りられるということで――、書類作成をしておきます。一応、金貨1枚を毎月支払って戴くことになりますが、宜しいでしょうか?」
金貨1枚……日本円に換算して10万円ほどだけど、店舗を借りる金額としては安いと思い頷く。
西池袋だと1フロアを借りるのに2000万円とか必要な物件とかあるし……。
「それでは、書類作成ですが、明日、また商業ギルドに足を運んで頂くことは出来ますか?」
「今日の契約ではないのですね」
「はい。当日の契約は、大家にも話を通さないといけないため、難しいので――」
「そうですか。では、明日、伺いますね」
「お待ちしております」
彼との会話が終わったあとは、私はガストさんと別れて宿に戻る。
「おかえりなさい。店舗の方は見つかったようね」
「え?」
「エミさんも、宿に泊まるようになってから、それなりに経つもの。宿泊客の表情を見て上手くいっているかどうかの判断くらいはつくわ」
「そんなに顔に出ていましたか?」
「ええ。分かりやすいくらいに」
少し早めの夕食を食べたあとは、お風呂に入り就寝。
翌朝になり、私は商業ギルドへ行き、無事に登録を終えることが出来た。
「そういえば、エミ様は、どのような商売を始められるのですか?」
書類を確認し終わったあと、封書に入れたガストさんが話しかけてくる。
「薬関係を取り扱う店舗を始めようと思っています」
「なるほど……」
私の話を聞いたガストさんは少し渋い表情をする。
「何か問題でもあるのですか?」
「問題というよりも、薬師ギルドに登録をする必要があるのです」
「薬師ギルド……」
「はい。ご存知ではありませんか?」
「いえ。知っていますけど、薬関係に関しては、とくに規定はなかったはずですけど……」
少なくともセルトラ王国では、毒薬を扱う時にだけ申請登録の義務があったと思う。
「以前に大麻などを無許可で販売した人間がおりまして――、それが何の問題も認識されていなかった薬だったため、犠牲者が出た事があったのです。そこで、キルワ王国は全ての薬店に対して、登録をするように決定したのです」
「そうなのですか」
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