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第85話 打ち上げ
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「何と! Sランク冒険者になれば、冒険者ギルドと契約をしている宿屋に泊まった時に宿代が無料になる!」
「へー。ちなみに森の宿は……」
「ん……。たしか対象外のはずだが?」
「何故に?」
「一応、Sランク冒険者が泊まる宿は、それなりに格式のある宿と言う事になっている。もちろん用心棒も兼ねてだから無料にしてくれるというのもあるからな」
「なるほど……。なら、Sランク冒険者になる必要は無さそうですね」
「まてまて! まだ特典はある!」
「何でしょうか?」
「ドワーフの最新の武器や防具などが破格の値段で入手可能だ」
そのブレイズさんの言葉に、冒険者ギルド内がざわつく。
そこで私は思い至る。
どうしてブレイズさんが、ドワーフの武器が破格で入手できると胸を張って発言してきたのかを。
私も、前世では日本でゲームをしていたことがある。
その中でドワーフが作った武器や防具というのは普通の人が作ったモノよりも品質が高いというのは常識だった。
それは、この世界でも同じなのかも知れない。
ただ、私は自分で武器や防具を生成できるので必要ないけど。
「私としては、そこまで過度なランクは必要ないと思います」
「はぁー。まぁ本人が言うのなら仕方ないか」
「――なら!」
「ああ、任せておけ! Sランク冒険者にはなってもらう事は確定事項だから、エミが納得できるような特典と王室を掛けあって出来るか確認してみるからな! まぁ、まだ結婚が決まっていない王子と婚約を特典にするという方法も――」
「ブレイズさん! さすがに、それは言い過ぎです!」
ブレイズさんの横で、ジッとしていたリアナさんが突っ込みをしてくる。
良かった、結婚は女の一大事だから、リアナさんも、そのへんは常識があると。
「本当にもう。エミさん、すいません。王太子殿下は国民に人気がありますので、さすがに、冒険者ギルドの一存ではお約束はできませんので、一度、ギルドマスター経由で王宮に確認してみますね」
「いえ。おかまいなく」
どうやら、この異世界は王宮に嫁ぐのは女の幸せのようなので、私は速攻で断っておいた。
報酬をもらい、宿屋で打ち上げをすることになった私達は、宿屋に戻り、メルサさんのご飯に舌鼓を打つ。
もちろんエルフの伝統料理と言う事だけあって日本食のオンパレード。
予算はいくらでもあるので、今日くらいは自分へのご褒美ということにしておこっと。
「そういえば、エミは本当に店を出すのか?」
「そうですね」
「お金が貯まったの?」
「はい。あと、これは今までの滞在費です」
私は金貨を1枚、袋から取り出しメルサさんに渡す。
「すぐに出ていくの?」
「いえ。しばらくは、滞在してもいいですか?」
「いいわよ」
日本食が出てくる宿屋をそう簡単に手放したりはできない。
たぶん店を持っても、ここで暮らすのがいいと思う。
「へー。ちなみに森の宿は……」
「ん……。たしか対象外のはずだが?」
「何故に?」
「一応、Sランク冒険者が泊まる宿は、それなりに格式のある宿と言う事になっている。もちろん用心棒も兼ねてだから無料にしてくれるというのもあるからな」
「なるほど……。なら、Sランク冒険者になる必要は無さそうですね」
「まてまて! まだ特典はある!」
「何でしょうか?」
「ドワーフの最新の武器や防具などが破格の値段で入手可能だ」
そのブレイズさんの言葉に、冒険者ギルド内がざわつく。
そこで私は思い至る。
どうしてブレイズさんが、ドワーフの武器が破格で入手できると胸を張って発言してきたのかを。
私も、前世では日本でゲームをしていたことがある。
その中でドワーフが作った武器や防具というのは普通の人が作ったモノよりも品質が高いというのは常識だった。
それは、この世界でも同じなのかも知れない。
ただ、私は自分で武器や防具を生成できるので必要ないけど。
「私としては、そこまで過度なランクは必要ないと思います」
「はぁー。まぁ本人が言うのなら仕方ないか」
「――なら!」
「ああ、任せておけ! Sランク冒険者にはなってもらう事は確定事項だから、エミが納得できるような特典と王室を掛けあって出来るか確認してみるからな! まぁ、まだ結婚が決まっていない王子と婚約を特典にするという方法も――」
「ブレイズさん! さすがに、それは言い過ぎです!」
ブレイズさんの横で、ジッとしていたリアナさんが突っ込みをしてくる。
良かった、結婚は女の一大事だから、リアナさんも、そのへんは常識があると。
「本当にもう。エミさん、すいません。王太子殿下は国民に人気がありますので、さすがに、冒険者ギルドの一存ではお約束はできませんので、一度、ギルドマスター経由で王宮に確認してみますね」
「いえ。おかまいなく」
どうやら、この異世界は王宮に嫁ぐのは女の幸せのようなので、私は速攻で断っておいた。
報酬をもらい、宿屋で打ち上げをすることになった私達は、宿屋に戻り、メルサさんのご飯に舌鼓を打つ。
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予算はいくらでもあるので、今日くらいは自分へのご褒美ということにしておこっと。
「そういえば、エミは本当に店を出すのか?」
「そうですね」
「お金が貯まったの?」
「はい。あと、これは今までの滞在費です」
私は金貨を1枚、袋から取り出しメルサさんに渡す。
「すぐに出ていくの?」
「いえ。しばらくは、滞在してもいいですか?」
「いいわよ」
日本食が出てくる宿屋をそう簡単に手放したりはできない。
たぶん店を持っても、ここで暮らすのがいいと思う。
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