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第78話 正体がバレそう!?(1)
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「パール様、こちらのエミという人物とは知り合いなのですか?」
「――いや、どうやら勘違いだったようだ。それよりも、貴女は、賢者というのは本当なのですか?」
「一応、そう言う事になっています」
「なるほど……」
「パール様。彼女の実力は、王宮魔術師など足元にも及ばないほどです」
「ほう……。それは、頼もしい冒険者が滞在してくれているな。エミとやら」
「はい」
私は、近衛騎士団団長であるパールさんの言葉に返答しながら、必死に考えながら続く言葉を口にする。
「パール様」
「何かな?」
「私は、名もなき村出身です。そのため、常識というのを弁えてはおりません。ですから、王宮へご同行するのは……」
「つまり、エミ殿は王宮には来たくはないということか? 報告はすぐに終わると思う。それに王に気にいられれば、賢者にして王宮魔術師よりも優れているのならば、貴族の位を受けることも褒美を得ることも可能だろう」
「そういうのは必要ありませんので」
後ろでは、アネットさんとユーリエさんが笑っている。
私だって、いま発言した内容が不敬になると言う事くらいは承知していますけど、王家とはなるべく関わりたくはない。
「ふむ。そこまで言うのなら致し方ないな」
私の言葉遣いを咎めることもなく、パールさんが引いてくれる。
「パール様!」
「仕方あるまい。王宮魔術師よりも優れている者に対して、無理難題を押し付けて敵対されてはかなわないからな」
「それは、そうですが……」
「ロドリア様、お心を砕いて頂いて申し訳ありません」
私は、少しだけ上目遣いに、彼を見上げる。
「ま、まぁ……。致し方ないな……」
この人、かなりチョロいです。
「ずいぶんと、ロドリアの扱いが上手いな。まぁいい。ロドリア」
「はっ」
「城に戻り報告をするようにな」
「少し、お待ちください。エミ、アイテムボックスからダンジョン内で回収したアイテムを出してくれ」
「分かりました」
忘れるところでした。
私は砂金の入った棺や、膨大な量のオーガーの死体や、大蜘蛛の死体を出していく。
砂金をアイテムボックスから出した時点で、近衛騎士団の方々は驚き――、数百体に及ぶオーガーの死体が積み上げられていくごとに、その表情は驚愕へと変っていく。
最後に、大蜘蛛の死体を出したところで――。
「ロドリア」
「はっ」
「彼女は、エミと言ったな?」
「はい。そうですが?」
「本当に賢者なのか?」
「そう冒険者ギルドの方から報告書が上がってきていますが?」
「この魔物の死体の量を入れられる人物に私は一人心当たりがあるのだが?」
「それは……」
ロドリアさんが言い終える前に、パールさんが私の肩を掴んでくる。
「アマーリエ様ではありませんか?」
「人違いです」
私は即答した。
「――いや、どうやら勘違いだったようだ。それよりも、貴女は、賢者というのは本当なのですか?」
「一応、そう言う事になっています」
「なるほど……」
「パール様。彼女の実力は、王宮魔術師など足元にも及ばないほどです」
「ほう……。それは、頼もしい冒険者が滞在してくれているな。エミとやら」
「はい」
私は、近衛騎士団団長であるパールさんの言葉に返答しながら、必死に考えながら続く言葉を口にする。
「パール様」
「何かな?」
「私は、名もなき村出身です。そのため、常識というのを弁えてはおりません。ですから、王宮へご同行するのは……」
「つまり、エミ殿は王宮には来たくはないということか? 報告はすぐに終わると思う。それに王に気にいられれば、賢者にして王宮魔術師よりも優れているのならば、貴族の位を受けることも褒美を得ることも可能だろう」
「そういうのは必要ありませんので」
後ろでは、アネットさんとユーリエさんが笑っている。
私だって、いま発言した内容が不敬になると言う事くらいは承知していますけど、王家とはなるべく関わりたくはない。
「ふむ。そこまで言うのなら致し方ないな」
私の言葉遣いを咎めることもなく、パールさんが引いてくれる。
「パール様!」
「仕方あるまい。王宮魔術師よりも優れている者に対して、無理難題を押し付けて敵対されてはかなわないからな」
「それは、そうですが……」
「ロドリア様、お心を砕いて頂いて申し訳ありません」
私は、少しだけ上目遣いに、彼を見上げる。
「ま、まぁ……。致し方ないな……」
この人、かなりチョロいです。
「ずいぶんと、ロドリアの扱いが上手いな。まぁいい。ロドリア」
「はっ」
「城に戻り報告をするようにな」
「少し、お待ちください。エミ、アイテムボックスからダンジョン内で回収したアイテムを出してくれ」
「分かりました」
忘れるところでした。
私は砂金の入った棺や、膨大な量のオーガーの死体や、大蜘蛛の死体を出していく。
砂金をアイテムボックスから出した時点で、近衛騎士団の方々は驚き――、数百体に及ぶオーガーの死体が積み上げられていくごとに、その表情は驚愕へと変っていく。
最後に、大蜘蛛の死体を出したところで――。
「ロドリア」
「はっ」
「彼女は、エミと言ったな?」
「はい。そうですが?」
「本当に賢者なのか?」
「そう冒険者ギルドの方から報告書が上がってきていますが?」
「この魔物の死体の量を入れられる人物に私は一人心当たりがあるのだが?」
「それは……」
ロドリアさんが言い終える前に、パールさんが私の肩を掴んでくる。
「アマーリエ様ではありませんか?」
「人違いです」
私は即答した。
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