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第64話 キルワ王国のダンジョン探索(19)
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――翌朝。
現在、私は宿屋1階のリビングでご飯とお味噌汁と生姜焼きを食べ終えて、緑茶を啜っていた。
ちなみにアネットさんとユーリエさんは、迷宮探索の用意をしている。
二人が用意している理由は簡単で、昨日、冒険者ギルドの受付女性に教えられた迷宮探索の予定が今日だから。
朝早く集合場所に行くことになったので、二人は装備の最終チェックをしているところ。
ちなみに私の装備と言えば村娘が着るような赤く染色された木綿のワンピースと下着だけで、靴は走りやすいように魔法で精錬した運動靴を履いていたりする。
そう――! 明らかに迷宮に潜る恰好ではない!
「エミさんは、何の用意もしなくて大丈夫なの?」
緑茶のお代わりを湯飲みに注ぎながら、メルサさんが語りかけてくる。
「はい。全部、アイテムボックスに入っていますので!」
「そうなのね……。でも、その服装で迷宮に入るのは危険だと思うわよ?」
「そうでしょうか?」
それは、分かっています。
だけど、一つ問題があって……。
私が魔法で作れるのは、あくまでも大学までに習った科学の授業の再現にすぎない。
日本で暮らしていた時は、よく映画で自衛隊の人とかが良く分からない迷彩服とか色々と着こんでいたのを見た事がありますけど、じつは知らない材質や物を作ることはできない。
そこが、私の魔法の弱点と言えば弱点。
あくまでも、地球の科学を応用した魔法に過ぎないから、本当の魔法ではないのかも知れない。
つまり、本当の意味では弱点は腐るほどあったりする。
それを吐露するつもりはないけど……。
「でも、エミさんは、ブレイズさんを倒したから大丈夫よね?」
「アネットさんとユーリエさんも居ますし、王国の騎士団の方も同行されるという事なので大丈夫だと思います」
「そう。無理はしないようにね」
「はい。ごちそうさまでした」
両手を合わせて、食材と料理人に感謝する。
そこで階段が軋む音が聞こえてくる。
「二人とも、もうエミさんの食事は終わったわよ?」
階段から降りてきたのはユーリエさんとアネットさん。
アネットさんは、鉄で作られた重装備をしていて――、ユーリエさんはライトアーマーを着こんでいる。
二人とも、黒色で装備を染めている。
どうして、色をつけているの? と、私は首を傾げてしまったけど、何か理由があるのかも知れない。
「エミは、もう食事していたのか?」
「はい。二人とも食事しておいた方がいいのでは?」
「もう失敗できひんよって、今日はこのままでいくよ」
「そうなのですか」
やはり前回の迷宮探索が失敗したのが、尾を引いているのかも知れない。
「そう言うと思って携帯食を作っておいたから、迷宮探索中にお腹が空いたら食べてね」
そう言いながらバゲットを差し出してきたメルサさん。
「メルサさん、私が受け取ってアイテムボックスの中に入れておきます」
「エミさん、よろしくね」
「はいっ」
彼女から受け取りアイテムボックスに入れたあと、私達はキルワ王国の騎士団との待ち合わせ場所へと向かう為に、宿を後にした。
現在、私は宿屋1階のリビングでご飯とお味噌汁と生姜焼きを食べ終えて、緑茶を啜っていた。
ちなみにアネットさんとユーリエさんは、迷宮探索の用意をしている。
二人が用意している理由は簡単で、昨日、冒険者ギルドの受付女性に教えられた迷宮探索の予定が今日だから。
朝早く集合場所に行くことになったので、二人は装備の最終チェックをしているところ。
ちなみに私の装備と言えば村娘が着るような赤く染色された木綿のワンピースと下着だけで、靴は走りやすいように魔法で精錬した運動靴を履いていたりする。
そう――! 明らかに迷宮に潜る恰好ではない!
「エミさんは、何の用意もしなくて大丈夫なの?」
緑茶のお代わりを湯飲みに注ぎながら、メルサさんが語りかけてくる。
「はい。全部、アイテムボックスに入っていますので!」
「そうなのね……。でも、その服装で迷宮に入るのは危険だと思うわよ?」
「そうでしょうか?」
それは、分かっています。
だけど、一つ問題があって……。
私が魔法で作れるのは、あくまでも大学までに習った科学の授業の再現にすぎない。
日本で暮らしていた時は、よく映画で自衛隊の人とかが良く分からない迷彩服とか色々と着こんでいたのを見た事がありますけど、じつは知らない材質や物を作ることはできない。
そこが、私の魔法の弱点と言えば弱点。
あくまでも、地球の科学を応用した魔法に過ぎないから、本当の魔法ではないのかも知れない。
つまり、本当の意味では弱点は腐るほどあったりする。
それを吐露するつもりはないけど……。
「でも、エミさんは、ブレイズさんを倒したから大丈夫よね?」
「アネットさんとユーリエさんも居ますし、王国の騎士団の方も同行されるという事なので大丈夫だと思います」
「そう。無理はしないようにね」
「はい。ごちそうさまでした」
両手を合わせて、食材と料理人に感謝する。
そこで階段が軋む音が聞こえてくる。
「二人とも、もうエミさんの食事は終わったわよ?」
階段から降りてきたのはユーリエさんとアネットさん。
アネットさんは、鉄で作られた重装備をしていて――、ユーリエさんはライトアーマーを着こんでいる。
二人とも、黒色で装備を染めている。
どうして、色をつけているの? と、私は首を傾げてしまったけど、何か理由があるのかも知れない。
「エミは、もう食事していたのか?」
「はい。二人とも食事しておいた方がいいのでは?」
「もう失敗できひんよって、今日はこのままでいくよ」
「そうなのですか」
やはり前回の迷宮探索が失敗したのが、尾を引いているのかも知れない。
「そう言うと思って携帯食を作っておいたから、迷宮探索中にお腹が空いたら食べてね」
そう言いながらバゲットを差し出してきたメルサさん。
「メルサさん、私が受け取ってアイテムボックスの中に入れておきます」
「エミさん、よろしくね」
「はいっ」
彼女から受け取りアイテムボックスに入れたあと、私達はキルワ王国の騎士団との待ち合わせ場所へと向かう為に、宿を後にした。
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