58 / 105
第58話 キルワ王国のダンジョン探索(13)
しおりを挟む
肉体を魔力で強化した状態で、地面を蹴りつける。
視神経を強化している事もあり、刹那の時間でブレイズさんとの距離を詰めると同時に、彼は「チッ!」と舌打ちすると共に、フランベルジュを地面へと叩きつけるけど――、土砂が巻き上がる前に、私の肩はブレイズさんとぶつかり彼を弾き飛ばす。
「――な!?」
私とブレイズさんと戦っていた様子を見学していた誰かが驚いたような声を上げていたけれど、私はそれを強化された聴覚で拾い上げると共に、空中に待機させていたダガーをブレイズさんへと射出する。
だが10本にも及ぶダガーが、ブレイズさんへと着弾する寸前で全て打ち砕かれた。
「魔法障壁!?」
「あたりだ!」
強化された視力は、何が起きたのかを魔力の動きを察知することで拾い上げ、それを私の思考が理解する。
そして、全てのダガーを粉砕したブレイズさんが、こんどは私の方へと向かってきた。
その速さは、尋常ではなく明らかに身体能力を私と同じように強化しているのは見て取れた。
――キンッ!
彼が袈裟切りしてきたフランベルジュの刃を私の小太刀が受け止め――、そして……、そのまま斬り裂く!
「――ッ!?」
目を見開くブレイズさん。
さらに私は得物を失ったブレイズさんの腹に空気弾を放ち彼を吹き飛ばす。
空中を時速100キロ近い速度で30メートル程の距離を吹き飛んだ彼は、冒険者ギルドの建物の壁をブチ破り、その姿を消す。
あとに残ったのは、砕けた建物の壁と――、舞い上がった埃。
「副ギルドマスター!」
「ブレイズさん!」
10秒ほど空いた所で、見学にきていた冒険者ギルドの職員たちが慌ててブレイズさんの方へと駆け寄っていく。
「これは……、ちょっとやり過ぎたかも知れないです」
私は、小さく一人呟きながら魔力操作を行う。
それにより、元々は黒髪と黒瞳だった容姿は、金髪碧眼へと変化する。
「これは酷い……」
「重症だわ。教会へ司祭様を――」
そんな声が聞こえてくる。
声の出どころは吹き飛ばされて壁に激突したブレイズさんの方から。
もちろん切羽詰まった声は冒険者ギルドの職員の人達。
「すいません。治療します」
自分で致命的なダメージを与えておいて治療とは一体? という突っ込みを心の中で独白しながら、ブレイズさんの方へと向かう。
案の定、彼の容態はかなり酷いモノ。
日本だったら放送事故で明らかにお蔵入りの状況。
「ここまで酷い状態では普通の回復魔法では難しい」
「とりあえず、貴女は副ギルドマスターが力試しをするって言ったから、こんな事になっても大丈夫だとは思うけれど……、町の中で此処までの事をしたら衛兵に何か聞かれることは覚悟しないと駄目よ?」
冒険者ギルドの方々が、私を警戒して語り掛けてくる。
「とりあえず、私は治療魔法も使えますので」
一刻を争う状態と言う事もあり、私は両手をブレイズさんの胸元に添えて回復魔法を発動させる。
もちろん人体の設計図などは前世の日本で基礎教養として中学や高校で習っていたので、それを応用する。
「……うっ。一体……」
私の回復魔法は、ブレイズさんの体を完璧に治療を行えたようで、しばらくしてブレイズさんは意識を取り戻した。
視神経を強化している事もあり、刹那の時間でブレイズさんとの距離を詰めると同時に、彼は「チッ!」と舌打ちすると共に、フランベルジュを地面へと叩きつけるけど――、土砂が巻き上がる前に、私の肩はブレイズさんとぶつかり彼を弾き飛ばす。
「――な!?」
私とブレイズさんと戦っていた様子を見学していた誰かが驚いたような声を上げていたけれど、私はそれを強化された聴覚で拾い上げると共に、空中に待機させていたダガーをブレイズさんへと射出する。
だが10本にも及ぶダガーが、ブレイズさんへと着弾する寸前で全て打ち砕かれた。
「魔法障壁!?」
「あたりだ!」
強化された視力は、何が起きたのかを魔力の動きを察知することで拾い上げ、それを私の思考が理解する。
そして、全てのダガーを粉砕したブレイズさんが、こんどは私の方へと向かってきた。
その速さは、尋常ではなく明らかに身体能力を私と同じように強化しているのは見て取れた。
――キンッ!
彼が袈裟切りしてきたフランベルジュの刃を私の小太刀が受け止め――、そして……、そのまま斬り裂く!
「――ッ!?」
目を見開くブレイズさん。
さらに私は得物を失ったブレイズさんの腹に空気弾を放ち彼を吹き飛ばす。
空中を時速100キロ近い速度で30メートル程の距離を吹き飛んだ彼は、冒険者ギルドの建物の壁をブチ破り、その姿を消す。
あとに残ったのは、砕けた建物の壁と――、舞い上がった埃。
「副ギルドマスター!」
「ブレイズさん!」
10秒ほど空いた所で、見学にきていた冒険者ギルドの職員たちが慌ててブレイズさんの方へと駆け寄っていく。
「これは……、ちょっとやり過ぎたかも知れないです」
私は、小さく一人呟きながら魔力操作を行う。
それにより、元々は黒髪と黒瞳だった容姿は、金髪碧眼へと変化する。
「これは酷い……」
「重症だわ。教会へ司祭様を――」
そんな声が聞こえてくる。
声の出どころは吹き飛ばされて壁に激突したブレイズさんの方から。
もちろん切羽詰まった声は冒険者ギルドの職員の人達。
「すいません。治療します」
自分で致命的なダメージを与えておいて治療とは一体? という突っ込みを心の中で独白しながら、ブレイズさんの方へと向かう。
案の定、彼の容態はかなり酷いモノ。
日本だったら放送事故で明らかにお蔵入りの状況。
「ここまで酷い状態では普通の回復魔法では難しい」
「とりあえず、貴女は副ギルドマスターが力試しをするって言ったから、こんな事になっても大丈夫だとは思うけれど……、町の中で此処までの事をしたら衛兵に何か聞かれることは覚悟しないと駄目よ?」
冒険者ギルドの方々が、私を警戒して語り掛けてくる。
「とりあえず、私は治療魔法も使えますので」
一刻を争う状態と言う事もあり、私は両手をブレイズさんの胸元に添えて回復魔法を発動させる。
もちろん人体の設計図などは前世の日本で基礎教養として中学や高校で習っていたので、それを応用する。
「……うっ。一体……」
私の回復魔法は、ブレイズさんの体を完璧に治療を行えたようで、しばらくしてブレイズさんは意識を取り戻した。
134
投稿内容がバグっていた為、再度、修正しました。
お気に入りに追加
669
あなたにおすすめの小説
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星里有乃
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」
まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。
【本日付けで神を辞めることにした】
フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。
国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。
人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
アルファポリスに先行投稿しています。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

【完結】婚約破棄寸前の悪役令嬢は7年前の姿をしている
五色ひわ
恋愛
ドラード王国の第二王女、クラウディア・ドラードは正体不明の相手に襲撃されて子供の姿に変えられてしまった。何とか逃げのびたクラウディアは、年齢を偽って孤児院に隠れて暮らしている。
初めて経験する貧しい暮らしに疲れ果てた頃、目の前に現れたのは婚約破棄寸前の婚約者アルフレートだった。

スキルがないと追い出されましたが、それには理由がありますし、今は幸せです。
satomi
恋愛
スキルがないからと婚約破棄をされたうえに家から追い出されたギジマクス伯爵家の長女リンドラ。
スキルに関して今は亡きお母様との約束で公開していないが、持っている。“降水量調節”。お母様曰く「自然の摂理に逆らうものだから安易に使ってはダメ。スキルがあることを秘密にしなさい。この人なら大丈夫!って人が現れるまでは公開してはダメよ」ということで、家族には言っていません。
そんなリンドウが追い出されたあと、路上で倒れていた所、公爵様に拾われましたが……
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる