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第29話 モンスターの襲撃(1)
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「――で、ここまでが屋台やらが並んでる場所で、その角を曲がると一般の店が並んでる場所になるなぁ」
「へー」
私は、頷きつつユーリエさんの後を追うようにして角を曲がる。
「普通に屋台や露店がありますね」
「ダンジョンが出来て、冒険者が増えたのも関係あるんや……」
「たしかに、人口が増えて商業が発達するのは良くありますからね」
「どういうことだ?」
後ろで歩いていたアネットさんが話に加わってくる。
「簡単に言えば、経済というのは需要と供給が重要という意味です。消費する人口が増えれば、その需要を満たそうと供給が増える。つまり屋台や露店が増えたという事は、流入している冒険者の需要を満たそうとしていると考えた方が早いということです」
「なるほど……」
屋台で購入したオークの串焼きを食べながら頷いてくるアネットさん。
何度も頷いているので、理解しているかどうかは、また別問題だけど。
「それにしても、エミはんの話し方は、誰かに教わったん?」
「どういうことですか?」
「エミさんは、立ち振る舞いや話し方に品があるように思えるさかい。それ言葉の選び方が博識やねんなあ?」
「そうですか。村では普通でした」
「エミの村は、どういう村なのか気になるよな」
「そうやね」
二人と一緒に個人商店と言っても差し障りの無い店を見て回る。
武器屋、防具屋、道具屋、さらに薬屋や錬金屋に占い師など色々な店舗がある。
大型スーパーしか知らない私にとっては興味がそそられる店が非常に多くてみているだけで時間が潰せる。
気がつけば日は沈みかけていて夕方になっていた。
「もう遅いで、そろそろ帰りまひょか」
「そうですね。――で、アネットさんはその荷物はどうするつもりなのですか?」
アネットさんは途中から盾を購入したり、短剣などを何本も買っていた。
さらにアクセサリーも多数。
大金が入ると人はお金の使い方が荒くなると聞いたことがあるけど、アネットさんはその典型みたい。
「アイテムボックスに入れてもらえないか? 頼む! エミ!」
「仕方ないですね」
私は溜息をつきながら、アネットさんが購入したアイテムを、アイテムボックスに入れていく。
「これで全部ですか?」
「そうだな。それじゃ――」
アネットさんが私の問いかけに応じてきようとしたところで、「きゃあああああ」と、言う悲鳴が聞こえてきた。
「悲鳴? 一体、何がおきたん?」
突然の悲鳴に、周囲を見渡したあと、煉瓦の壁をよじ登っていくユーリエさん。
そして――、高いところから遠くを見たあと口を開く。
「町中で魔物が湧いたみたいやね」
「――え? 町中なのに?」
「へー」
私は、頷きつつユーリエさんの後を追うようにして角を曲がる。
「普通に屋台や露店がありますね」
「ダンジョンが出来て、冒険者が増えたのも関係あるんや……」
「たしかに、人口が増えて商業が発達するのは良くありますからね」
「どういうことだ?」
後ろで歩いていたアネットさんが話に加わってくる。
「簡単に言えば、経済というのは需要と供給が重要という意味です。消費する人口が増えれば、その需要を満たそうと供給が増える。つまり屋台や露店が増えたという事は、流入している冒険者の需要を満たそうとしていると考えた方が早いということです」
「なるほど……」
屋台で購入したオークの串焼きを食べながら頷いてくるアネットさん。
何度も頷いているので、理解しているかどうかは、また別問題だけど。
「それにしても、エミはんの話し方は、誰かに教わったん?」
「どういうことですか?」
「エミさんは、立ち振る舞いや話し方に品があるように思えるさかい。それ言葉の選び方が博識やねんなあ?」
「そうですか。村では普通でした」
「エミの村は、どういう村なのか気になるよな」
「そうやね」
二人と一緒に個人商店と言っても差し障りの無い店を見て回る。
武器屋、防具屋、道具屋、さらに薬屋や錬金屋に占い師など色々な店舗がある。
大型スーパーしか知らない私にとっては興味がそそられる店が非常に多くてみているだけで時間が潰せる。
気がつけば日は沈みかけていて夕方になっていた。
「もう遅いで、そろそろ帰りまひょか」
「そうですね。――で、アネットさんはその荷物はどうするつもりなのですか?」
アネットさんは途中から盾を購入したり、短剣などを何本も買っていた。
さらにアクセサリーも多数。
大金が入ると人はお金の使い方が荒くなると聞いたことがあるけど、アネットさんはその典型みたい。
「アイテムボックスに入れてもらえないか? 頼む! エミ!」
「仕方ないですね」
私は溜息をつきながら、アネットさんが購入したアイテムを、アイテムボックスに入れていく。
「これで全部ですか?」
「そうだな。それじゃ――」
アネットさんが私の問いかけに応じてきようとしたところで、「きゃあああああ」と、言う悲鳴が聞こえてきた。
「悲鳴? 一体、何がおきたん?」
突然の悲鳴に、周囲を見渡したあと、煉瓦の壁をよじ登っていくユーリエさん。
そして――、高いところから遠くを見たあと口を開く。
「町中で魔物が湧いたみたいやね」
「――え? 町中なのに?」
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