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第26話 朝食に白米と、お味噌汁が出てきました。
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小鳥の囀りが聞こえてくる。
私は、瞼をゆっくりと開け室内を見渡す。
そこは畳がある古風な日本風の部屋で、一言で言えば古き良き昔の日本旅館と言った様子であった。
ベッドから降りて洗面台を探そうとして、無い事に気がついたところで――。
「そうでした……」
私は、一気に現実に引き戻される。
ここは異世界であり、日本で死んだ私を女神様が転生させてくれた異世界。
日本風の室内に心地よさを感じながら寝て――、起きたから、日本に居た時の記憶に引き摺られて行動してしまった。
「駄目ね。私……」
アイテムボックスからタオルを取り出す。
そして、魔法で木の桶の中に水を出してから、洗顔してからタオルで拭く。
さっぱりとしたけど、まだ幾分か眠い。
2週間近くのキャラバンでの移動で、かなり疲労が蓄積しているのかもと考えながら、私は、白の無地のワンピースに着替えた。
――コンコン
「はい」
扉をノックする音が聞こえてくると共に、私は返事をする。
「朝食の準備が出来たから、用意が出来たら1階に来てください」
「はい」
メルサさんは、それだけ告げると、扉の前から立ち去ったのか階段を降りていく音と軋みが聞こえてきた。
「朝食……って、どんなのが出るのかしら?」
セルトラ王国に居た時に出された食事は基本的に西洋風の料理が多かった。
そのために、美味しくはあったけれど、口には合わなかった。
キルワ王国でも、昨日の夜に食べた食事はセルトラ王国と殆ど遜色は無かったので、たぶんベーコンと卵焼きとパンと言った献立と思い、部屋を出て1階まで階段を降りる。
私達が宿屋に入ってきた入口の正反対側に続く――、奥へと通じる廊下を歩き、突き当りの部屋へと入る。
そこは大きめのテーブルが中央に鎮座していて、そのテーブルを囲むようにして10個ほどの木の椅子が並べられていた。
「エミ、おはよー」
「エミはん、おはよー」
「おはようございます」
すでに、アネットさんもユーリエさんも起きていて席についていた。
私も2人と並ぶようにして椅子に座る。
「エミはん」
「はい?」
「昨日はよう眠れたん?」
「はい。おかげさまで」
「それは良かったな。エミは、ずいぶんと疲れていた様子だったからな」
「そうですか?」
私の疑問に二人は頷き返してくる。
「お待たせ」
話しをしていると、お盆を持った宿屋の主人のメルサさんは食堂に入ってくる。
そして、私達の前に並べられていく食事。
それは、明らかに私の知っているもので――、待ち焦がれたもの。
「これは……、お味噌汁と白米!」
異世界に転生してきてから初めて見た食事に、私は思わず叫んでいた。
私は、瞼をゆっくりと開け室内を見渡す。
そこは畳がある古風な日本風の部屋で、一言で言えば古き良き昔の日本旅館と言った様子であった。
ベッドから降りて洗面台を探そうとして、無い事に気がついたところで――。
「そうでした……」
私は、一気に現実に引き戻される。
ここは異世界であり、日本で死んだ私を女神様が転生させてくれた異世界。
日本風の室内に心地よさを感じながら寝て――、起きたから、日本に居た時の記憶に引き摺られて行動してしまった。
「駄目ね。私……」
アイテムボックスからタオルを取り出す。
そして、魔法で木の桶の中に水を出してから、洗顔してからタオルで拭く。
さっぱりとしたけど、まだ幾分か眠い。
2週間近くのキャラバンでの移動で、かなり疲労が蓄積しているのかもと考えながら、私は、白の無地のワンピースに着替えた。
――コンコン
「はい」
扉をノックする音が聞こえてくると共に、私は返事をする。
「朝食の準備が出来たから、用意が出来たら1階に来てください」
「はい」
メルサさんは、それだけ告げると、扉の前から立ち去ったのか階段を降りていく音と軋みが聞こえてきた。
「朝食……って、どんなのが出るのかしら?」
セルトラ王国に居た時に出された食事は基本的に西洋風の料理が多かった。
そのために、美味しくはあったけれど、口には合わなかった。
キルワ王国でも、昨日の夜に食べた食事はセルトラ王国と殆ど遜色は無かったので、たぶんベーコンと卵焼きとパンと言った献立と思い、部屋を出て1階まで階段を降りる。
私達が宿屋に入ってきた入口の正反対側に続く――、奥へと通じる廊下を歩き、突き当りの部屋へと入る。
そこは大きめのテーブルが中央に鎮座していて、そのテーブルを囲むようにして10個ほどの木の椅子が並べられていた。
「エミ、おはよー」
「エミはん、おはよー」
「おはようございます」
すでに、アネットさんもユーリエさんも起きていて席についていた。
私も2人と並ぶようにして椅子に座る。
「エミはん」
「はい?」
「昨日はよう眠れたん?」
「はい。おかげさまで」
「それは良かったな。エミは、ずいぶんと疲れていた様子だったからな」
「そうですか?」
私の疑問に二人は頷き返してくる。
「お待たせ」
話しをしていると、お盆を持った宿屋の主人のメルサさんは食堂に入ってくる。
そして、私達の前に並べられていく食事。
それは、明らかに私の知っているもので――、待ち焦がれたもの。
「これは……、お味噌汁と白米!」
異世界に転生してきてから初めて見た食事に、私は思わず叫んでいた。
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