婚約破棄された国から追放された聖女は隣国で幸せを掴みます。

なつめ猫

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第22話 初めてのクエスト完了の報酬

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 キルワ王国は、人口が17万人程の大陸でも中規模の王国。
 王都の名前はスルトーン。
 キルワ王国の東方に位置しており、王都の人口は6万人ほど。
 商業が盛んな国であり、周辺国のルアン王国、ヘルバルト王国、アルゴ公国、水上国家アクアとの交易が主な収入源となっている。

妃教育を受けていた時には、そう聞いていたけど……。

「どうした? エミ」
「――いえ。鎧とか武器などを装備している方が多いなと思いまして」
「キルワ王国に半年前にダンジョンが出現したんだよな。――で、そのダンジョン攻略の為に冒険者が集まってきているから冒険者が多いんだよな」
「そうなのですか」

 アネットさんが、簡単に説明してくれる。
 どうやら、キルワ王国は最近では少し国内需要が変わったみたい。

「やけど商業都市の役割は代わってへんし」

 前を歩いていたユーリエさんが、アネットさんの説明に補足を入れてくる。

「お二人とも色々と知っておいでなのですね」
「まぁ、冒険者は足と情報が命やからね。危険な依頼を受けると死ぬさけ」
「だよなー」

 ユーリエさんの言葉にアネットさんが同意し、私は「なるほど」と、心の中で頷きながら二人の後を付いていく。
 しばらくすると、4階建ての茶色い煉瓦作りの建物の前に到着する。

「ここは……」
「王都スルトーンの冒険者ギルドやね」
「ここが、そうなのですか」

 外見には蔦が絡まっているような様子は見受けられないし、汚れてもいない。
 国が運営・管理をしているのだから、清潔感には気を付けているのかも知れない。

「ほら、二人ともさっさとクエスト報告をするぞ」
「せやね」
「はい」

 アネットさんを先頭に冒険者ギルドの建物内に入る。
 建物の中も小奇麗に整理整頓されていて、何と言うか銀行の窓口? と、行った印象を受けてしまう。
 私達と一緒に同行していた冒険者の方々の姿も見える。
 皆さん、すでに木の長椅子に座っていて、待っている様子が伺い知れることから、報告は済んだのかも知れない。

「クエスト完了の報告がしたい」

 私が冒険者ギルドの建物の中を見ている間に、アネットさんが受付の女性に話しかけていた。

「はい。それでは冒険者ギルドカードの提示をしてもらえますか?」
「ユーリエ! エミ! 一緒に、クエスト完了手続きして貰った方が早いから出してくれ」

 アネットさんの勧めで、ユーリエさんと私は冒険者ギルドカードを窓口の受付女性へ渡す。

「それでは手続きを致しますので、向こうでお待ちください」

 受付の女性は木製の長椅子を勧めてくる。
 やっぱり手続きには時間がかかるみたい。
 3人して椅子に座ったあとは、達成金がもらうまで、各々で時間が過ぎるのを待つ。

「アネットさんパーティの方々、お待たせしました」
「パーティ?」

 どうして同じパーティとして数えられているのか疑問ではあったけれど、クエスト完了報酬は金貨3枚。
 かなり色がついていた。
 もしかしたらドラゴン討伐をしたから、色をつけてくれたのかも。



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