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第17話 お風呂に入りましょう。
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セルトラ王国の国境を超えてから3日が経過した。
いま、私達が護衛するキャラバンは広大で豊かな森林を抜けて、踝まで伸びている草原の中、まっすぐに南へ伸びる道を進んでいる。
「そろそろ時間だな」
サイさんが幌馬車から外を見ながら、私の方を見てくる。
「よし! 今日は、このへんで野営をするぞ!」
幌馬車から野営の準備をする為に、アネットさん、私、ユーリエさんは幌馬車から降りる。
そんな中で、「ふう、今日も順調に進んだな」と、私達が乗る幌馬車の馬を操る御者のセバットさんが呟いている。
「セバットさん」
「ああ、今日も頼むよ」
「はい」
「それじゃ、このへんに頼めるか?」
「分かりました!」
私は、地面に大きな穴を魔術で作り、火の魔法で焼き入れをする。
きちんと土を焼いて固めておかないと水を生成して入れた際に泥水になってしまうから。
水を生成し穴の中に入れると、少し大きめの湖が形成された。
大きさ的には、小学校のプールくらいの大きさ。
ただし、深さは30センチほどと浅い。
「こんなものでいいですか?」
「ああ、十分だ」
「それにしても、エミの魔法は何でもありだな」
私とセバットさんが話していたところで後ろからサイさんが話しかけてくる。
「そんな事ないですよ。村では良くあったことです」
「そうなのか?」
「はい」
馬の水場を作ったあとは、人が使う飲み水を大気中の水素原子と酸素原子を結び付け樽の中へと入れる。
30人近くの水の量という事もあり、量は200リットルほど。
野営で使う水の用意が終わったところで、後ろから付いてきていた幌馬車も次々と停まり、皆さん向かってくる。
「サイ。今日は、ここで野営か?」
「はい。すでにエミが水の用意をしてくれました」
「なるほど……。エミは、本当にすごいとしか言いようがない魔術師だな。見習いとは思えない」
「そんなことないですよ。それより、今日も夕食は――」
「ああ、ドラゴンの肉を出しておいてくれ」
「分かりました」
さすがに毎日がA5ランクの牛肉だと、私は食欲が湧かなくなってくるのだけれど、高級な肉で、しかも私のアイテムボックスは時間経過が無いので、冒険者や商人の人達からは、とても好評。
私は、アイテムボックスからドラゴンの肉を出して簡易テーブルの上に置く。
そのあとは、森の中で見つけた日本のキノコや山菜などを採り出し、借りた鍋と包丁で料理をする。
所謂、山菜料理というもの。
お肉ばかりだと胃もたれがすごいもの。
下処理が済んだあとは、魔術を使いお風呂場を作る。
もう私が特異な人だというのはキャラバンの人達には知られているので、下手に手を抜くような真似はしない事にしたので、キャラバンに参加しドラゴンの解体が終わった日から、毎日のように男女それぞれの露天風呂を作りお風呂に入っている。
もちろん食後のあとなので、お風呂の用意だけ先にする感じ。
日本でも作っていた山菜料理を、商人や冒険者の方に振る舞ったけど、皆さん、お肉が好きだったようなので、あまり好評ではなかったのは残念。
食事が終わったあとは、私、アネットさん、そしてユーリエさんと3人で露天風呂に入る。
「やっぱり一日の終わりはお風呂ですよね」
「お風呂って……、浴場は基本的に貴族の特権だぞ? エミ」
「うちの村では――」
「よぉあることやろ? エミはん」
「はい」
いま、私達が護衛するキャラバンは広大で豊かな森林を抜けて、踝まで伸びている草原の中、まっすぐに南へ伸びる道を進んでいる。
「そろそろ時間だな」
サイさんが幌馬車から外を見ながら、私の方を見てくる。
「よし! 今日は、このへんで野営をするぞ!」
幌馬車から野営の準備をする為に、アネットさん、私、ユーリエさんは幌馬車から降りる。
そんな中で、「ふう、今日も順調に進んだな」と、私達が乗る幌馬車の馬を操る御者のセバットさんが呟いている。
「セバットさん」
「ああ、今日も頼むよ」
「はい」
「それじゃ、このへんに頼めるか?」
「分かりました!」
私は、地面に大きな穴を魔術で作り、火の魔法で焼き入れをする。
きちんと土を焼いて固めておかないと水を生成して入れた際に泥水になってしまうから。
水を生成し穴の中に入れると、少し大きめの湖が形成された。
大きさ的には、小学校のプールくらいの大きさ。
ただし、深さは30センチほどと浅い。
「こんなものでいいですか?」
「ああ、十分だ」
「それにしても、エミの魔法は何でもありだな」
私とセバットさんが話していたところで後ろからサイさんが話しかけてくる。
「そんな事ないですよ。村では良くあったことです」
「そうなのか?」
「はい」
馬の水場を作ったあとは、人が使う飲み水を大気中の水素原子と酸素原子を結び付け樽の中へと入れる。
30人近くの水の量という事もあり、量は200リットルほど。
野営で使う水の用意が終わったところで、後ろから付いてきていた幌馬車も次々と停まり、皆さん向かってくる。
「サイ。今日は、ここで野営か?」
「はい。すでにエミが水の用意をしてくれました」
「なるほど……。エミは、本当にすごいとしか言いようがない魔術師だな。見習いとは思えない」
「そんなことないですよ。それより、今日も夕食は――」
「ああ、ドラゴンの肉を出しておいてくれ」
「分かりました」
さすがに毎日がA5ランクの牛肉だと、私は食欲が湧かなくなってくるのだけれど、高級な肉で、しかも私のアイテムボックスは時間経過が無いので、冒険者や商人の人達からは、とても好評。
私は、アイテムボックスからドラゴンの肉を出して簡易テーブルの上に置く。
そのあとは、森の中で見つけた日本のキノコや山菜などを採り出し、借りた鍋と包丁で料理をする。
所謂、山菜料理というもの。
お肉ばかりだと胃もたれがすごいもの。
下処理が済んだあとは、魔術を使いお風呂場を作る。
もう私が特異な人だというのはキャラバンの人達には知られているので、下手に手を抜くような真似はしない事にしたので、キャラバンに参加しドラゴンの解体が終わった日から、毎日のように男女それぞれの露天風呂を作りお風呂に入っている。
もちろん食後のあとなので、お風呂の用意だけ先にする感じ。
日本でも作っていた山菜料理を、商人や冒険者の方に振る舞ったけど、皆さん、お肉が好きだったようなので、あまり好評ではなかったのは残念。
食事が終わったあとは、私、アネットさん、そしてユーリエさんと3人で露天風呂に入る。
「やっぱり一日の終わりはお風呂ですよね」
「お風呂って……、浴場は基本的に貴族の特権だぞ? エミ」
「うちの村では――」
「よぉあることやろ? エミはん」
「はい」
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