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第14話 ユーリエさん改造計画(1)
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冒険者全員の分の剣を強化した後は、ユーリエさんと供にドラゴンが解体される様子を離れた場所から見守る。
「あれ、どうなっとるの? ごっつい切れ味やね。ええな……。うちも欲しい」
横に座っているユーリエさんが、すごく期待した瞳で私を見てくる。
しかも、スルーしていると、何度もチラッチラッと――。
「……」
「なぁはぁ、エミはん」
さらに無視していると、私の肩を掴んで揺さぶってくるユーリエさん。
「揺らさないでください。ユーリエさん」
「だってやって――、冒険者には武器が重要やねん」
「そんな事を言われても……」
私は弓の構造には詳しくないし……。
そもそも、どうやれば弓が作れるのかすら知らないから、事象を想像して魔法を使う事すらできない。
ただ、拳銃などは作り方の原理は知ってはいるけど、そんなモノを作って、この世界で量産されたら軍事バランスが崩れるどころの騒ぎじゃないし……。
そうなると、出来ることは一つしかないよね。
「仕方ないですね」
「作ってくれるん? なんぞ催促したみたい」
「思いっきり催促していますけどね。とりあえず弓を貸してもらえますか?」
「よろしゅうお願い致します」
差し出された弓。
それに改造することは、知識の無い私には出来ない。
だけど、何かしらの威力を引き上げる為の技術を投入する事なら出来そう。
そうすると、弓の材質だけを変化させるくらいしか、私には無理。
とりあえず土の中に埋めてから、手を地面につきながら頭の中で弓を構成している物質を全てナノカーボンチューブに変換へと置換することを想像する。
そして魔法を発動!
「できましたっ」
土の中から掘り起こした弓は、木材が主流だった茶色から、ナノカーボンチューブの色合いの黒へと変化している。
ちなみに、弓を引いてもまったく引けない。
身体強化魔術を使えば引けなくはないけど、結構というか、かなり固いので、身体強化魔術を使えないユーリエさんが扱い切れるかどうか分からないけど……。
「おお、これが――、うちの新しい武器……って? あれ? 固くて引かれへん!? エミ」
「はい。それは力が無いと引けない仕様になっていますので」
「どうにかならんの?」
「それだけは無理です。ただ――」
私は、ユーリエさんから弓と矢を借りて、身体強化魔術を使いながら矢を番えつつ、放つ。
矢は、凄まじい速さで飛び大木に突き刺さり――、粉々に砕けた。
「――なっ!? 矢が!?」
「威力がありすぎて既存の矢だと完全な力を発揮できない感じですね」
「……ど、どうなっとんの?」
「ちょっと待ってください」
私は地中内の砂鉄を集めて固めて、鋼鉄製の矢を作り出す。
そして、次は鋼鉄製の矢をセットし弓を引き放つ。
矢は、大木に突き刺さると同時に、大木を穿ち、真っ二つに切り裂くばかりか後方の多大木へと深々と突き刺さる。
「とりあえず、こんな感じです」
「ちょっと理解が追い付かへん。どうなってるん?」
「簡単に説明するなら、身体強化魔術を使い弓を扱いました。つまり――」
「つまりエミはんと同じくらいの力が無いと扱えへんってことか」
「そんな感じです」
「ちなみにどのくらいの力があればええん?」
「ちょっと握力を比べてみますか?」
「せやな」
ユーリエさんと握手し、お互いに思いっきり握りしめる。
「ぎゃやあああああああ」
ゴキゴキバキッメキッと言う音と共に、私は慌てて手を離したけど、すでに後の祭り。
ユーリエさんの右手は再起不能なまでにグロい事になっています。
骨とか折れたり割れたりしている状態で皮膚を突き破って――。
「ユーリエさん。回復魔法をかけます」
とりあえず私は、ユーリエさんの再起不能になった右手を治療する。
「ほんま助かったわ。もう少し手加減してほしいわ」
「すいません」
私も、加減をするのを完全に忘れていました。
「とりあえず、ユーリエさんの体を鍛えましょう! 私も手伝いますので」
「――え? うちはもう……」
「大丈夫です! 筋肉には超回復というのがありますので、私の回復魔法を使えばユーリエさんは、すぐに筋力があがります!」
「あれ、どうなっとるの? ごっつい切れ味やね。ええな……。うちも欲しい」
横に座っているユーリエさんが、すごく期待した瞳で私を見てくる。
しかも、スルーしていると、何度もチラッチラッと――。
「……」
「なぁはぁ、エミはん」
さらに無視していると、私の肩を掴んで揺さぶってくるユーリエさん。
「揺らさないでください。ユーリエさん」
「だってやって――、冒険者には武器が重要やねん」
「そんな事を言われても……」
私は弓の構造には詳しくないし……。
そもそも、どうやれば弓が作れるのかすら知らないから、事象を想像して魔法を使う事すらできない。
ただ、拳銃などは作り方の原理は知ってはいるけど、そんなモノを作って、この世界で量産されたら軍事バランスが崩れるどころの騒ぎじゃないし……。
そうなると、出来ることは一つしかないよね。
「仕方ないですね」
「作ってくれるん? なんぞ催促したみたい」
「思いっきり催促していますけどね。とりあえず弓を貸してもらえますか?」
「よろしゅうお願い致します」
差し出された弓。
それに改造することは、知識の無い私には出来ない。
だけど、何かしらの威力を引き上げる為の技術を投入する事なら出来そう。
そうすると、弓の材質だけを変化させるくらいしか、私には無理。
とりあえず土の中に埋めてから、手を地面につきながら頭の中で弓を構成している物質を全てナノカーボンチューブに変換へと置換することを想像する。
そして魔法を発動!
「できましたっ」
土の中から掘り起こした弓は、木材が主流だった茶色から、ナノカーボンチューブの色合いの黒へと変化している。
ちなみに、弓を引いてもまったく引けない。
身体強化魔術を使えば引けなくはないけど、結構というか、かなり固いので、身体強化魔術を使えないユーリエさんが扱い切れるかどうか分からないけど……。
「おお、これが――、うちの新しい武器……って? あれ? 固くて引かれへん!? エミ」
「はい。それは力が無いと引けない仕様になっていますので」
「どうにかならんの?」
「それだけは無理です。ただ――」
私は、ユーリエさんから弓と矢を借りて、身体強化魔術を使いながら矢を番えつつ、放つ。
矢は、凄まじい速さで飛び大木に突き刺さり――、粉々に砕けた。
「――なっ!? 矢が!?」
「威力がありすぎて既存の矢だと完全な力を発揮できない感じですね」
「……ど、どうなっとんの?」
「ちょっと待ってください」
私は地中内の砂鉄を集めて固めて、鋼鉄製の矢を作り出す。
そして、次は鋼鉄製の矢をセットし弓を引き放つ。
矢は、大木に突き刺さると同時に、大木を穿ち、真っ二つに切り裂くばかりか後方の多大木へと深々と突き刺さる。
「とりあえず、こんな感じです」
「ちょっと理解が追い付かへん。どうなってるん?」
「簡単に説明するなら、身体強化魔術を使い弓を扱いました。つまり――」
「つまりエミはんと同じくらいの力が無いと扱えへんってことか」
「そんな感じです」
「ちなみにどのくらいの力があればええん?」
「ちょっと握力を比べてみますか?」
「せやな」
ユーリエさんと握手し、お互いに思いっきり握りしめる。
「ぎゃやあああああああ」
ゴキゴキバキッメキッと言う音と共に、私は慌てて手を離したけど、すでに後の祭り。
ユーリエさんの右手は再起不能なまでにグロい事になっています。
骨とか折れたり割れたりしている状態で皮膚を突き破って――。
「ユーリエさん。回復魔法をかけます」
とりあえず私は、ユーリエさんの再起不能になった右手を治療する。
「ほんま助かったわ。もう少し手加減してほしいわ」
「すいません」
私も、加減をするのを完全に忘れていました。
「とりあえず、ユーリエさんの体を鍛えましょう! 私も手伝いますので」
「――え? うちはもう……」
「大丈夫です! 筋肉には超回復というのがありますので、私の回復魔法を使えばユーリエさんは、すぐに筋力があがります!」
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