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第71話 想いと思い(3)第三者視点
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次期、国王陛下としての王太子の任から解かれたラインハルトは、その足でマルク公爵家へと来ていた。
理由は、寝たままのクララの容態が気になったからであった。
「これは、ラインハルト様」
公爵邸に到着し出迎えたのは、ディアナであった。
「これは、マルク公爵夫人様」
「ラインハルト様。私の娘と婚姻を継続しているのですから、様付けは必要ありませんわ」
「すまない」
「いえ。それよりも、ラインハルト様が来られて助かりました」
「どういうことでしょうか?」
意味深な言葉に、ラインハルトは怪訝な表情をする。
ただマルク公爵夫人の様子を見るに何かあったというのは彼でも分かった。
何せ、玄関先まで公爵夫人が出迎えに来る事は殆どなかったからであった。
「もしかして――。クララの身に何か?」
そのラインハルトの問いかけに無言で頷くディアナ。
「すぐにクララに合わせて頂けますか?」
「ええ」
すでに勝手知ったるは我が家のごとく、ディアナよりも先行し廊下を小走りしクララの寝室の前に到着するラインハルト。
彼は、扉をノックするのも面倒とばかりに扉を開く。
「スペンサー枢機卿……」
すると室内には、精霊教会のトップである教皇にまで上り詰めたスペンサー枢機卿が、クララの傍らの椅子に座り額に手を当てている光景が、ラインハルトの視界に入った。
「これは、ラインハルト様」
「スペンサー枢機卿、これは一体どういうことか!?」
近くまで寄ると、ラインハルトはクララの容態を見て取り顔色を変える。
クララの表情は、白を通り越し薄っすらと彼女が寝ているベッドが見えていた。
その様子に驚いたラインハルトは声を荒げたが――。
「ラインハルト様、静かに――。それと早急に魔法師団長を呼んでくださるよう王城へ使いを向けてください」
「どういうことだ? どうして、クララの体が透けているのだ!」
「それは……」
「以前に接吻をすればクララは治ると言っていたではないか!」
あまりにも予期せぬことに感情が爆発し声を荒げるラインハルト。
「そうです。ですが、どうやらクララ様は『忘却の魔法』どころか、最上位の『永遠の眠り』の魔法を聖女としての力を使い実行したようなのです」
「永遠の眠り?」
「はい。忘却の魔法を高いレベルの魔力で実行した時に発現される魔法とされておりますが、この魔法の恐ろしい点は、この世界から存在が消滅して尚且つ自身に都合のいい忘却夢を見続けるという魔法なのです。まさか、クララ様がそのような魔法を発動できるとは……」
「つまり、どういうことなのだ?」
「クララ様は、普通の手段では目覚めさせる事は出来ないということです」
理由は、寝たままのクララの容態が気になったからであった。
「これは、ラインハルト様」
公爵邸に到着し出迎えたのは、ディアナであった。
「これは、マルク公爵夫人様」
「ラインハルト様。私の娘と婚姻を継続しているのですから、様付けは必要ありませんわ」
「すまない」
「いえ。それよりも、ラインハルト様が来られて助かりました」
「どういうことでしょうか?」
意味深な言葉に、ラインハルトは怪訝な表情をする。
ただマルク公爵夫人の様子を見るに何かあったというのは彼でも分かった。
何せ、玄関先まで公爵夫人が出迎えに来る事は殆どなかったからであった。
「もしかして――。クララの身に何か?」
そのラインハルトの問いかけに無言で頷くディアナ。
「すぐにクララに合わせて頂けますか?」
「ええ」
すでに勝手知ったるは我が家のごとく、ディアナよりも先行し廊下を小走りしクララの寝室の前に到着するラインハルト。
彼は、扉をノックするのも面倒とばかりに扉を開く。
「スペンサー枢機卿……」
すると室内には、精霊教会のトップである教皇にまで上り詰めたスペンサー枢機卿が、クララの傍らの椅子に座り額に手を当てている光景が、ラインハルトの視界に入った。
「これは、ラインハルト様」
「スペンサー枢機卿、これは一体どういうことか!?」
近くまで寄ると、ラインハルトはクララの容態を見て取り顔色を変える。
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その様子に驚いたラインハルトは声を荒げたが――。
「ラインハルト様、静かに――。それと早急に魔法師団長を呼んでくださるよう王城へ使いを向けてください」
「どういうことだ? どうして、クララの体が透けているのだ!」
「それは……」
「以前に接吻をすればクララは治ると言っていたではないか!」
あまりにも予期せぬことに感情が爆発し声を荒げるラインハルト。
「そうです。ですが、どうやらクララ様は『忘却の魔法』どころか、最上位の『永遠の眠り』の魔法を聖女としての力を使い実行したようなのです」
「永遠の眠り?」
「はい。忘却の魔法を高いレベルの魔力で実行した時に発現される魔法とされておりますが、この魔法の恐ろしい点は、この世界から存在が消滅して尚且つ自身に都合のいい忘却夢を見続けるという魔法なのです。まさか、クララ様がそのような魔法を発動できるとは……」
「つまり、どういうことなのだ?」
「クララ様は、普通の手段では目覚めさせる事は出来ないということです」
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