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第19話 教皇との対話(1)
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「ありがとうございます」
「いやはや――、こんな面倒事に巻き込んでおいて、謝意を述べられても困りますな」
「その分は、聖女としてキチンと仕事をしますので」
「まだ決まってはおりませんが?」
「スペンサー枢機卿の事を信頼しております」
「仕方ないですな。それでは、少しお待ち頂けますかな?」
スペンサー枢機卿の言葉に私は頷く。
彼が出ていったあと、椅子へと深々と座りながら小さく一呼吸し胸元に手を当てながら、これからの事を考える。
精霊神教は、久しぶりに天啓を受けた聖女を囲わないという事はないと思う。
問題は、それは普段の何も問題が無かった場合に限るという点。
しかも、今回は王宮側に干渉すると前もって言ってあるし、王太子との確執の話は既に教会側は把握しているから、私を聖女として認定はしていても、教会側で聖女として迎い入れるかどうかは別問題。
「あとはスペンサー枢機卿が、聖女に対して、どのくらいの価値を見出しているのかによるわね」
そう――、私というマイナス要因を引いても、聖女という存在が教会にとって必要であったのなら教皇様との話し合いの場まで連れていってくれるはず。
「ずいぶんと時間が掛かるわね」
思わず一人呟いてしまう。
枢機卿が部屋から出て行って2時間近く経過しているから。
高鳴る鼓動の律動を抑えつつ待つ。
――コンコン
「はい。どうぞ」
「失礼致します」
そう断りながら室内に入ってきたのは、白いローブを身に纏った20代後半の女性。
精霊神教のシスターというのは一目で分かった。
「クララ・フォン・マルク様、教皇様がお待ちです」
「分かったわ」
私は、スペンサー枢機卿ではなくシスターが使いとして出された事に少し違和感を覚えながら椅子から立ち上がる。
部屋から出て女性のあとに付いていく。
しばらく歩くと、人が5人ほど横に並んで歩けるほど広い通路へと出る。
通路の両端には、精霊神教が崇める4属性の精霊神の石像が奉られていることから、私は自分が何処にいるのか、すぐに察することが出来た。
今、私が歩いている場所は教皇の間へと通じる通路で、妃教育の時に何度か通ったことがある場所。
主に枢機卿、聖女の資格のある者か王家の血筋の者か教皇様の身の回りを世話する聖職者しか通ってはならない場所。
そこを通り、教皇の間に向かっていると言うという事は、色よい返事を期待してもいいのかも知れない。
しばらく通路をまっすぐに歩くと、両開きの木目の扉の前に到着すると、私を案内してきた女性が扉を数度ノックし――、
「クララ・フォン・マルク様をお連れ致しました」
と告げると中から老人の声で「入りたまえ」と、声が聞こえてきた。
「いやはや――、こんな面倒事に巻き込んでおいて、謝意を述べられても困りますな」
「その分は、聖女としてキチンと仕事をしますので」
「まだ決まってはおりませんが?」
「スペンサー枢機卿の事を信頼しております」
「仕方ないですな。それでは、少しお待ち頂けますかな?」
スペンサー枢機卿の言葉に私は頷く。
彼が出ていったあと、椅子へと深々と座りながら小さく一呼吸し胸元に手を当てながら、これからの事を考える。
精霊神教は、久しぶりに天啓を受けた聖女を囲わないという事はないと思う。
問題は、それは普段の何も問題が無かった場合に限るという点。
しかも、今回は王宮側に干渉すると前もって言ってあるし、王太子との確執の話は既に教会側は把握しているから、私を聖女として認定はしていても、教会側で聖女として迎い入れるかどうかは別問題。
「あとはスペンサー枢機卿が、聖女に対して、どのくらいの価値を見出しているのかによるわね」
そう――、私というマイナス要因を引いても、聖女という存在が教会にとって必要であったのなら教皇様との話し合いの場まで連れていってくれるはず。
「ずいぶんと時間が掛かるわね」
思わず一人呟いてしまう。
枢機卿が部屋から出て行って2時間近く経過しているから。
高鳴る鼓動の律動を抑えつつ待つ。
――コンコン
「はい。どうぞ」
「失礼致します」
そう断りながら室内に入ってきたのは、白いローブを身に纏った20代後半の女性。
精霊神教のシスターというのは一目で分かった。
「クララ・フォン・マルク様、教皇様がお待ちです」
「分かったわ」
私は、スペンサー枢機卿ではなくシスターが使いとして出された事に少し違和感を覚えながら椅子から立ち上がる。
部屋から出て女性のあとに付いていく。
しばらく歩くと、人が5人ほど横に並んで歩けるほど広い通路へと出る。
通路の両端には、精霊神教が崇める4属性の精霊神の石像が奉られていることから、私は自分が何処にいるのか、すぐに察することが出来た。
今、私が歩いている場所は教皇の間へと通じる通路で、妃教育の時に何度か通ったことがある場所。
主に枢機卿、聖女の資格のある者か王家の血筋の者か教皇様の身の回りを世話する聖職者しか通ってはならない場所。
そこを通り、教皇の間に向かっていると言うという事は、色よい返事を期待してもいいのかも知れない。
しばらく通路をまっすぐに歩くと、両開きの木目の扉の前に到着すると、私を案内してきた女性が扉を数度ノックし――、
「クララ・フォン・マルク様をお連れ致しました」
と告げると中から老人の声で「入りたまえ」と、声が聞こえてきた。
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