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第17話 枢機卿との対談(2)
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一瞬の思考――。
無言になった私に対して、スペンサー枢機卿は指を組むと口を開くと、「今回、大聖堂に来られた事に関しましては黙っておきますので、邸宅に戻られた方が宜しいかと思いますが?」と、語り掛けてくる。
その言葉に私は、小さく溜息をつく。
本来、対談の場で溜息をつくのは悪手ではあったけど、いまは利用させて頂こう。
「何か?」
私の態度が気に障ったのか、枢機卿は問いかけてくる。
「いえ。枢機卿も気が早いと思いまして。私が何の理由もなく、大聖堂に足を運ぶと本当にお考えですか?」
「それでは――、何か理由でもあって来られたのですかな?」
「その事は、すでにご理解されているかと思われます」
「ふむ……」
枢機卿は、私の目を真っ直ぐに見てくる。
彼だって無能ではない。
無能なら、教会の枢機卿にまで上り詰めることなんてできる訳がない。
きっと答えは出ている。
だけど、それを口にされることはない。
「枢機卿、私が考えておりますのは教会にとっても有益な事と考えております」
「ほう。それは、先ほどクララ様が言われた、こちらが理解しているという部分ですかな?」
「そうなります」
「では、具体的に教えて頂けますかな?」
「すでに分かっているのではありませんか?」
「我々は聖職者ではありますが、全知全能の神ではありませんゆえ」
つまり、こちらから情報の開示をしろ! と、相手は言ってきている。
それは相手に此方の弱みを見せることになってしまう。
だけど……、話が一歩も進まないどころか、劣勢に追い込まれている現状では……。
――仕方ないです。かなりの悪手ではあるけどカードを一枚切るしか……。
「枢機卿」
「何ですかな?」
「今回、このような場を設けて頂けたことを感謝いたしますわ」
「――ッ!」
そこでスペンサー枢機卿の顔色が変わった。
私が言いたい事を理解してくれたのだという事が――、違う意味で理解してくれた証。
「なるほど……。つまり、そういう……」
「はい。そういうことです」
スペンサー枢機卿は以前から私に会いに来るために何度も王宮に来ていた。
つまり、それは私を利用する――、もしくは何かしらの頼みがあったと言い換えてもいい。
そして、私に会えなかったということは、事前に王宮側が却下していたからに他ならない。
――ということは、この対談自体がアウトだという事。
しかも、私の立場は、かなり危うい物なわけで……、本来であるのなら私を大聖堂に入れるべきでは無かった。
「スペンサー枢機卿、私としては特に気にしてはおりません」
無言になった私に対して、スペンサー枢機卿は指を組むと口を開くと、「今回、大聖堂に来られた事に関しましては黙っておきますので、邸宅に戻られた方が宜しいかと思いますが?」と、語り掛けてくる。
その言葉に私は、小さく溜息をつく。
本来、対談の場で溜息をつくのは悪手ではあったけど、いまは利用させて頂こう。
「何か?」
私の態度が気に障ったのか、枢機卿は問いかけてくる。
「いえ。枢機卿も気が早いと思いまして。私が何の理由もなく、大聖堂に足を運ぶと本当にお考えですか?」
「それでは――、何か理由でもあって来られたのですかな?」
「その事は、すでにご理解されているかと思われます」
「ふむ……」
枢機卿は、私の目を真っ直ぐに見てくる。
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無能なら、教会の枢機卿にまで上り詰めることなんてできる訳がない。
きっと答えは出ている。
だけど、それを口にされることはない。
「枢機卿、私が考えておりますのは教会にとっても有益な事と考えております」
「ほう。それは、先ほどクララ様が言われた、こちらが理解しているという部分ですかな?」
「そうなります」
「では、具体的に教えて頂けますかな?」
「すでに分かっているのではありませんか?」
「我々は聖職者ではありますが、全知全能の神ではありませんゆえ」
つまり、こちらから情報の開示をしろ! と、相手は言ってきている。
それは相手に此方の弱みを見せることになってしまう。
だけど……、話が一歩も進まないどころか、劣勢に追い込まれている現状では……。
――仕方ないです。かなりの悪手ではあるけどカードを一枚切るしか……。
「枢機卿」
「何ですかな?」
「今回、このような場を設けて頂けたことを感謝いたしますわ」
「――ッ!」
そこでスペンサー枢機卿の顔色が変わった。
私が言いたい事を理解してくれたのだという事が――、違う意味で理解してくれた証。
「なるほど……。つまり、そういう……」
「はい。そういうことです」
スペンサー枢機卿は以前から私に会いに来るために何度も王宮に来ていた。
つまり、それは私を利用する――、もしくは何かしらの頼みがあったと言い換えてもいい。
そして、私に会えなかったということは、事前に王宮側が却下していたからに他ならない。
――ということは、この対談自体がアウトだという事。
しかも、私の立場は、かなり危うい物なわけで……、本来であるのなら私を大聖堂に入れるべきでは無かった。
「スペンサー枢機卿、私としては特に気にしてはおりません」
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