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第14話 お母様からの手紙
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『どうして教会?』と、言う言葉が脳裏を横切る。
ただ、私としては都合が良いのも事実なので、「そうなのね」と、深く詮索する事なく言葉を返す。
「はい。それと、こちらを――」
「手紙?」
特に封蝋されていない封筒。
エイナから受け取り、封筒を開けて手紙を取り出し、視線を落とす。
その筆跡は、間違いなくお母様のもの。
「これって――」
どうして、こんな手紙が?
「エイナ、お母様は……」
「クララ様が、どのように行動されるのかをご存知でした」
「そうなのね……」
私の行動を予期していたのなら、手紙を用意しておくことも――。
そこまで思い至ったところで、手紙を読んでいく。
そこには、私の身を案じる内容や、現在、ラインハルト様が置かれている状況。
そして――、ラインハルト様を助けたいのなら、聖女として行動を起こすようにと書かれていた。
「これって! 私に話していい内容なの? 王家が、私には知らせないようと伏せている内容ではないの? 間者が居ると分かっていたのよね?」
「そのようです」
「――なら」
「ディアナ様は、クララ様がお苦しそうにしている様子を見て、とても心を痛めておりました。ただ――、そのことを公に話すのは謀れましたので、口頭では伝えなかっただけです」
「お母様……」
「それにクララ様に貴族としての意識を持つようにとのお考えでもありました」
「貴族の意識?」
「クララ様は、殿下への想いが先走りすぎていて周りが見えていない事に、ディアナ様は大変心配しておりました。周りを見て、適切な判断を下せなければ国王陛下が決定された事を聖女としての身分を手に入れたとしても覆すことはできませんので」
「だから、お母様は私に冷静になるようにと何度も――」
「はい。それと――」
一呼吸おき、エイナが口を開く。
「聖女として教会に認定されるという事は、貴族の籍から外れる事を意味します。その意味はご理解されていますか?」
「……分かっているわ」
聖女として任命される事は天啓を受けているのだから、問題なく認定はされると思う。
問題は、聖女になった場合には神に身を捧げるという事になるため、生涯結婚を許されることはない。
そして――、それは王国への反逆ともなる。
何故なら、王宮が勧めてきた王家との婚約に泥を塗る事になるのだから。
――だけど……、公爵家に表立って迷惑が掛かる事はない。
貴族籍からは抜けるのだから。
さらに教会という国でも不可侵の領域の――、しかも最高位でもある聖女の位を持つ聖職者に表立っての文句を言うことは王家であっても難しい。
ただ、表立って苦情を言えないだけで――。
「そうですか。――では、ディアナ様が出来るのは、ここまでです」
エイナは外へと視線を向ける。
私もつられて外を見ると馬車は何時の間にか、大聖堂の前に到着していた。
ただ、私としては都合が良いのも事実なので、「そうなのね」と、深く詮索する事なく言葉を返す。
「はい。それと、こちらを――」
「手紙?」
特に封蝋されていない封筒。
エイナから受け取り、封筒を開けて手紙を取り出し、視線を落とす。
その筆跡は、間違いなくお母様のもの。
「これって――」
どうして、こんな手紙が?
「エイナ、お母様は……」
「クララ様が、どのように行動されるのかをご存知でした」
「そうなのね……」
私の行動を予期していたのなら、手紙を用意しておくことも――。
そこまで思い至ったところで、手紙を読んでいく。
そこには、私の身を案じる内容や、現在、ラインハルト様が置かれている状況。
そして――、ラインハルト様を助けたいのなら、聖女として行動を起こすようにと書かれていた。
「これって! 私に話していい内容なの? 王家が、私には知らせないようと伏せている内容ではないの? 間者が居ると分かっていたのよね?」
「そのようです」
「――なら」
「ディアナ様は、クララ様がお苦しそうにしている様子を見て、とても心を痛めておりました。ただ――、そのことを公に話すのは謀れましたので、口頭では伝えなかっただけです」
「お母様……」
「それにクララ様に貴族としての意識を持つようにとのお考えでもありました」
「貴族の意識?」
「クララ様は、殿下への想いが先走りすぎていて周りが見えていない事に、ディアナ様は大変心配しておりました。周りを見て、適切な判断を下せなければ国王陛下が決定された事を聖女としての身分を手に入れたとしても覆すことはできませんので」
「だから、お母様は私に冷静になるようにと何度も――」
「はい。それと――」
一呼吸おき、エイナが口を開く。
「聖女として教会に認定されるという事は、貴族の籍から外れる事を意味します。その意味はご理解されていますか?」
「……分かっているわ」
聖女として任命される事は天啓を受けているのだから、問題なく認定はされると思う。
問題は、聖女になった場合には神に身を捧げるという事になるため、生涯結婚を許されることはない。
そして――、それは王国への反逆ともなる。
何故なら、王宮が勧めてきた王家との婚約に泥を塗る事になるのだから。
――だけど……、公爵家に表立って迷惑が掛かる事はない。
貴族籍からは抜けるのだから。
さらに教会という国でも不可侵の領域の――、しかも最高位でもある聖女の位を持つ聖職者に表立っての文句を言うことは王家であっても難しい。
ただ、表立って苦情を言えないだけで――。
「そうですか。――では、ディアナ様が出来るのは、ここまでです」
エイナは外へと視線を向ける。
私もつられて外を見ると馬車は何時の間にか、大聖堂の前に到着していた。
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