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第4話 学院を追放されてしまったようです。
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体を突き上げる振動に、私はゆっくりと瞼を開けていく。
まず視界に入ったのは、マルク公爵家が所有する馬車内の風景であった。
「ここは……、馬車の――」
言葉を紡いだところで、口の中に激痛が走る。
それと共に、ラインハルト様に殴られて気を失ったことを思い出してしまう。
「クララ、大丈夫か?」
「……お兄様?」
そこで、ようやく私は自分自身がお兄様の太腿を枕にして寝ている事にきがつく。
「無事で何よりだ。それよりも怪我の方は大丈夫なのか?」
お兄様は、薄暗い馬車の中でも分かるくらい眉間に皺を寄せて感情を抑えているのが分かってしまう。
たぶん、お兄様は、すごく怒っている。
「はい……。ごめんなさい、お兄様」
「何故、謝る?」
「お兄様が、余計なことをするなと忠告してくれたのに、私は――」
そこで、お兄様は私の頭を撫でてくる。
「いいんだ。お前は正しいことをした。次期、王妃としての責務から逃げずに次期、国王となるであろう方に対して、その身を以て、正しい道を示した。そこには間違っていることなんかないし、謝る必要もない」
「お兄様……」
口の中が切れていて話すのは辛い。
だけど、言わなくてはいけない事があります。
「ありがとう。お兄様」
「久しぶりだな。お前が、そう素直なのは――」
お兄様は、私の頭を撫でながら、そう話しかけてくる。
「私は、どのくらい気を失っていましたか?」
「そうだな」
お兄様は、懐から懐中時計を取り出し時間を見る。
「一時間ほどか」
「一時間も……。ラインハルト様は、どうなりましたか?」
「どうもこうもない」
私の問いかけに、お兄様は苛立ったご様子。
「何かあったのですか?」
「ああ、貴族学院はクララの追放を独断で決めた」
「――え? どういうことですか?」
「分からない。だが、殿下が会場から出ていったあとに貴族学院の警備兵がパーティ会場に来たんだ。学院長を連れてな」
「サーバル様ですか?」
「ああ。――で、学院長はクララが問題を起こしたのだから学院から追放すると宣言した」
お兄様の言葉が一瞬、私には理解できなかった。
だって、学院長は人格者で知られた方だったから。
「そんなことが……」
「明らかに異常なことだ。俺は、クララの身に危険が及ぶと思い、貴族学院から出た」
「ほかの貴族の方は?」
「困惑しているだけで、何一つ言っていなかった。おそらく、今日参加していた貴族の子弟は、どう行動していいのか分からなかったのだろう」
「そうですか……」
――でも、学院長までもがラインハルト様の肩を持つとは思えなかった。
「とりあえず、まずは身の安全の確保が重要だ。いまは、マルク公爵領へ向かっているところだ」
「そうなのですか」
私は、自身に回復魔法をかけて口の中の傷を治しながら答える。
「一体、ラインハルト様はどうなさったのでしょうか……」
「知らん。どんな理由があろうと女を――、まして婚約者である自分の伴侶である女の顔を殴るなど男のする事ではない」
お兄様の怒りに満ちた声色。
「ふう、すまないな。本当は、クララが殴られる前に助けるべきだったのに」
「――いえ。命は無事でしたので」
「そういう問題ではないのだがな。それよりも、あとは国王陛下がどう決断されるのか、それ次第と言ったところだろう」
「そうですか……」
「まだ、公爵領までは遠い。少し休むといい」
「はい」
お兄様の言葉に私は瞼を閉じる。
そして思う。
一体、ラインハルト様も学院長もどうしてしまったのかと。
まず視界に入ったのは、マルク公爵家が所有する馬車内の風景であった。
「ここは……、馬車の――」
言葉を紡いだところで、口の中に激痛が走る。
それと共に、ラインハルト様に殴られて気を失ったことを思い出してしまう。
「クララ、大丈夫か?」
「……お兄様?」
そこで、ようやく私は自分自身がお兄様の太腿を枕にして寝ている事にきがつく。
「無事で何よりだ。それよりも怪我の方は大丈夫なのか?」
お兄様は、薄暗い馬車の中でも分かるくらい眉間に皺を寄せて感情を抑えているのが分かってしまう。
たぶん、お兄様は、すごく怒っている。
「はい……。ごめんなさい、お兄様」
「何故、謝る?」
「お兄様が、余計なことをするなと忠告してくれたのに、私は――」
そこで、お兄様は私の頭を撫でてくる。
「いいんだ。お前は正しいことをした。次期、王妃としての責務から逃げずに次期、国王となるであろう方に対して、その身を以て、正しい道を示した。そこには間違っていることなんかないし、謝る必要もない」
「お兄様……」
口の中が切れていて話すのは辛い。
だけど、言わなくてはいけない事があります。
「ありがとう。お兄様」
「久しぶりだな。お前が、そう素直なのは――」
お兄様は、私の頭を撫でながら、そう話しかけてくる。
「私は、どのくらい気を失っていましたか?」
「そうだな」
お兄様は、懐から懐中時計を取り出し時間を見る。
「一時間ほどか」
「一時間も……。ラインハルト様は、どうなりましたか?」
「どうもこうもない」
私の問いかけに、お兄様は苛立ったご様子。
「何かあったのですか?」
「ああ、貴族学院はクララの追放を独断で決めた」
「――え? どういうことですか?」
「分からない。だが、殿下が会場から出ていったあとに貴族学院の警備兵がパーティ会場に来たんだ。学院長を連れてな」
「サーバル様ですか?」
「ああ。――で、学院長はクララが問題を起こしたのだから学院から追放すると宣言した」
お兄様の言葉が一瞬、私には理解できなかった。
だって、学院長は人格者で知られた方だったから。
「そんなことが……」
「明らかに異常なことだ。俺は、クララの身に危険が及ぶと思い、貴族学院から出た」
「ほかの貴族の方は?」
「困惑しているだけで、何一つ言っていなかった。おそらく、今日参加していた貴族の子弟は、どう行動していいのか分からなかったのだろう」
「そうですか……」
――でも、学院長までもがラインハルト様の肩を持つとは思えなかった。
「とりあえず、まずは身の安全の確保が重要だ。いまは、マルク公爵領へ向かっているところだ」
「そうなのですか」
私は、自身に回復魔法をかけて口の中の傷を治しながら答える。
「一体、ラインハルト様はどうなさったのでしょうか……」
「知らん。どんな理由があろうと女を――、まして婚約者である自分の伴侶である女の顔を殴るなど男のする事ではない」
お兄様の怒りに満ちた声色。
「ふう、すまないな。本当は、クララが殴られる前に助けるべきだったのに」
「――いえ。命は無事でしたので」
「そういう問題ではないのだがな。それよりも、あとは国王陛下がどう決断されるのか、それ次第と言ったところだろう」
「そうですか……」
「まだ、公爵領までは遠い。少し休むといい」
「はい」
お兄様の言葉に私は瞼を閉じる。
そして思う。
一体、ラインハルト様も学院長もどうしてしまったのかと。
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