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第四章 超古代文明遺跡編
第187話 貴族の到着と謁見(2)
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城壁から飛び降りて、視線を貴族の一団へと向けたあと、一糸乱れぬ行軍を続けていた兵士たちが一斉に、馬車と俺の間に割って入ってくる。
「貴様は、何者だ!」
完全武装した兵士たちの中から40代過ぎの髭面の男が近寄ってくると同時に、大きく叫んでくる。
40歳過ぎと言っても、体はボディビルダーの如く鍛え抜かれていて、一目で戦士だと分かるレベルで。
「エイジ・カンダだ。スペンサー伯爵領のスザンナ伯爵令嬢から命を受けて馳せ参じている。今は、王城と王宮の警備を国王陛下から一任されている」
「……少し待て!」
兵士たちが護衛している馬車へと駆け寄っていく兵士を遠目に見ていると、馬車の窓が開き、窓越しに馬車の中の人物と会話をしている。
しばらくすると馬車のドアが開く。
「待たせたな」
一際早く俺の場所へと戻ってきた兵士が頭を下げてくる。
「エイジ・カンダ。貴殿は、王都を魔族と魔王から守った英雄だとヨアヒム様が言っておられた。先ほどの無礼な態度、許してほしい」
「気にしないでください」
ここで、ゴネて面倒になるのはだるいから、さっさと許すことにする。
「エイジ・フォン・カンダ」
「えっと、貴方は……」
さっさと許したところで、馬車から降りてきた20代とも思わしき男が俺の名前を貴族流に呼んできた。
「私は、辺境伯シュライヒヤ―伯爵家の長男ヨアヒム・フォン・シュライヒャーだ。クレバスの名代として王都へとはせ参じた」
「そうですか……」
「ああ。それよりも、父上から、王都を救った英雄が、現在は王城を守護していると聞いていたが……」
つま先から、頭のてっぺんまでジロジロと貴族が俺を見ながら、語り掛けてくる。
「まるで普通の一般人と変わらないように見える」
「はあ……」
「まあ、いい」
俺の返答が気にいらないのか辺境伯の長男ヨアヒムと言う男が嘆息すると、
「覇気が、まったく感じられない。本当に、魔王を倒すことが出来たのか?」
何と言うか貴族だと言ったり失礼なやつだな。
「その点は、直接、国王陛下に確認された方がいいかと思います」
俺は、城壁の上へと視線を向けたあと手でサインを送る。
すると、すぐに王城の扉が開く。
「では、ヨアヒム様。国王陛下に、あとは聞いてもらえますか?」
「わかった。ジュレミア」
「はっ。お前は、ここでエイジ・フォン・カンダと待機だ」
「分かりました。ただ、現在の王城の中は何が起きるのか分かりません。数人の兵士を同行させた方がよろしいかと」
俺を置いてきぼりにして、二人だけで会話を進めているが、時折、俺だけでなく獣人族へも視線を向けてきているあたり、かなり意識してきているのが分かる。
「あのー」
「なんだね? エイジ・フォン・カンダ」
「その俺の名前ですが、それは国王陛下から?」
「そうだ。貴殿が、王城を守っていると国王陛下からの勅命書に書かれていたと、父上が言っていた」
「そうですか……。そしたらエイジとでも呼んでください」
「勅命書では、貴殿に敬意を示すようにと書かれていたから、それはできない」
「そうですか……」
どう見ても俺のことを尊重している雰囲気で対話はしてないんだがな……と、自分自身にツッコミを入れつつ、
「陛下は、謁見の間でお待ちしています。自分が、エスコートさせていただきます」
「…………分かった。では、ジュレミア、兵士を二人選出してくれ。エイジ・フォン・カンダ殿と、4人で陛下に会いに行ってくる」
「分かりました」
ジュレミアという男が、すぐに兵士を二人選ぶ。
「――では、エイジ・フォン・カンダ」
「はい」
「案内してもらえるか?」
「では、案内させてもらいます」
半ば、面倒だなと思いつつ、コローナたちの手前、あまり下手に出るのはまずいなと考えヨアヒムを国王陛下の部屋まで案内する。
部屋へ向かっている道中は、獣人族の警備達とは出会うこともなく安全に国王陛下が待っているはずの謁見の間の扉前に辿り着く。
――コンコン
少し大きめに! ゴン! ゴン! と、いう音が鳴り響くくらい強い音で謁見の間に繋がっている扉を叩く。
しばらくすると中から扉が開く。
「エイジ。どうだった?」
「連れてきた。シュライヒャー辺境伯家の関係者とのことだ」
「分かった。それでは入ってくれ」
内扉に立っていたロランが、内側から退くと、扉が大きく開かれていく。
謁見の間が良く見える形となるが、王城と王宮内には、俺と獣人族、そして現在は王城の城門に待機しているシュライヒャー辺境伯の私兵しかいない事から、謁見の間は静寂な空気に包まれていた。
「シュライヒャー伯爵が、登城されました!」
二人して謁見の間に入ると同時に、ロランが声を張り上げる。
ロランの方へと視線を移せば、ロランは頷くだけ。
おそらく、この一連の行動は最初から決まっていたのだろう。
「うむ。シュライヒャー伯爵よ。こちらへ寄れ」
「はっ!」
臣下の礼をヨアヒムがとったかと思うと、俺やロランが見ている中で陛下の御前で膝をつき首を垂れた。
「ふむ……。ヨアヒムで間違いないか?」
「はっ! 父、クレバスの名代として登城致しました」
「貴様は、何者だ!」
完全武装した兵士たちの中から40代過ぎの髭面の男が近寄ってくると同時に、大きく叫んでくる。
40歳過ぎと言っても、体はボディビルダーの如く鍛え抜かれていて、一目で戦士だと分かるレベルで。
「エイジ・カンダだ。スペンサー伯爵領のスザンナ伯爵令嬢から命を受けて馳せ参じている。今は、王城と王宮の警備を国王陛下から一任されている」
「……少し待て!」
兵士たちが護衛している馬車へと駆け寄っていく兵士を遠目に見ていると、馬車の窓が開き、窓越しに馬車の中の人物と会話をしている。
しばらくすると馬車のドアが開く。
「待たせたな」
一際早く俺の場所へと戻ってきた兵士が頭を下げてくる。
「エイジ・カンダ。貴殿は、王都を魔族と魔王から守った英雄だとヨアヒム様が言っておられた。先ほどの無礼な態度、許してほしい」
「気にしないでください」
ここで、ゴネて面倒になるのはだるいから、さっさと許すことにする。
「エイジ・フォン・カンダ」
「えっと、貴方は……」
さっさと許したところで、馬車から降りてきた20代とも思わしき男が俺の名前を貴族流に呼んできた。
「私は、辺境伯シュライヒヤ―伯爵家の長男ヨアヒム・フォン・シュライヒャーだ。クレバスの名代として王都へとはせ参じた」
「そうですか……」
「ああ。それよりも、父上から、王都を救った英雄が、現在は王城を守護していると聞いていたが……」
つま先から、頭のてっぺんまでジロジロと貴族が俺を見ながら、語り掛けてくる。
「まるで普通の一般人と変わらないように見える」
「はあ……」
「まあ、いい」
俺の返答が気にいらないのか辺境伯の長男ヨアヒムと言う男が嘆息すると、
「覇気が、まったく感じられない。本当に、魔王を倒すことが出来たのか?」
何と言うか貴族だと言ったり失礼なやつだな。
「その点は、直接、国王陛下に確認された方がいいかと思います」
俺は、城壁の上へと視線を向けたあと手でサインを送る。
すると、すぐに王城の扉が開く。
「では、ヨアヒム様。国王陛下に、あとは聞いてもらえますか?」
「わかった。ジュレミア」
「はっ。お前は、ここでエイジ・フォン・カンダと待機だ」
「分かりました。ただ、現在の王城の中は何が起きるのか分かりません。数人の兵士を同行させた方がよろしいかと」
俺を置いてきぼりにして、二人だけで会話を進めているが、時折、俺だけでなく獣人族へも視線を向けてきているあたり、かなり意識してきているのが分かる。
「あのー」
「なんだね? エイジ・フォン・カンダ」
「その俺の名前ですが、それは国王陛下から?」
「そうだ。貴殿が、王城を守っていると国王陛下からの勅命書に書かれていたと、父上が言っていた」
「そうですか……。そしたらエイジとでも呼んでください」
「勅命書では、貴殿に敬意を示すようにと書かれていたから、それはできない」
「そうですか……」
どう見ても俺のことを尊重している雰囲気で対話はしてないんだがな……と、自分自身にツッコミを入れつつ、
「陛下は、謁見の間でお待ちしています。自分が、エスコートさせていただきます」
「…………分かった。では、ジュレミア、兵士を二人選出してくれ。エイジ・フォン・カンダ殿と、4人で陛下に会いに行ってくる」
「分かりました」
ジュレミアという男が、すぐに兵士を二人選ぶ。
「――では、エイジ・フォン・カンダ」
「はい」
「案内してもらえるか?」
「では、案内させてもらいます」
半ば、面倒だなと思いつつ、コローナたちの手前、あまり下手に出るのはまずいなと考えヨアヒムを国王陛下の部屋まで案内する。
部屋へ向かっている道中は、獣人族の警備達とは出会うこともなく安全に国王陛下が待っているはずの謁見の間の扉前に辿り着く。
――コンコン
少し大きめに! ゴン! ゴン! と、いう音が鳴り響くくらい強い音で謁見の間に繋がっている扉を叩く。
しばらくすると中から扉が開く。
「エイジ。どうだった?」
「連れてきた。シュライヒャー辺境伯家の関係者とのことだ」
「分かった。それでは入ってくれ」
内扉に立っていたロランが、内側から退くと、扉が大きく開かれていく。
謁見の間が良く見える形となるが、王城と王宮内には、俺と獣人族、そして現在は王城の城門に待機しているシュライヒャー辺境伯の私兵しかいない事から、謁見の間は静寂な空気に包まれていた。
「シュライヒャー伯爵が、登城されました!」
二人して謁見の間に入ると同時に、ロランが声を張り上げる。
ロランの方へと視線を移せば、ロランは頷くだけ。
おそらく、この一連の行動は最初から決まっていたのだろう。
「うむ。シュライヒャー伯爵よ。こちらへ寄れ」
「はっ!」
臣下の礼をヨアヒムがとったかと思うと、俺やロランが見ている中で陛下の御前で膝をつき首を垂れた。
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